文&写真/本間 暁
31日に東京・大田区総合体育館で世界王座返り咲きを狙う元WBC世界フライ級チャンピオン五十嵐俊幸(帝拳)。25日に行われた公開練習で披露してくれたメニューは、もちろんボクシングトレ(シャドー、ミット&サンドバッグ打ち、ダブルパンチングボール)もあったが、パンチを打つシーンは他の各紙誌ですでに報じられているので割愛。
「4年半前、八重樫(東)さんに負けたときは、減量が14kgくらいあって、体がまったく動かなかった。試合の数日前から動けなかったし、計量後の1日ではリカバリーしきれなかった」
一時はスーパーフライ級にクラスを上げ、「パワーアップしなければと、フィジカルトレーニングに励んだ」が、「所詮、僕はスピードの選手」と気づき、フライ級へカムバック。
「敢えて、筋力トレーニングをやめて、筋力を衰えさせた」のだという。
長らく二人三脚で歩んできた葛西裕一トレーナーが9月に独立し、新ジム『GLOVES』をスタート。ここで、“パフォーマー”として会員さんを指導することになったのも大きかった。
「会員さんと一緒に動くようになって、みるみる(体重が)落ちていったんです」
浜田剛史・帝拳ジム代表も、「この4年間で最高のコンディション」と太鼓判を押すように、五十嵐の動きは、かつてのスピードを取り戻したようだ。新たにコンビを組んでいる田中繊大トレーナーも、「距離感がこれまでとは全然違う。本当に良くなりました」と、復活をアピールする。
打ち終わりに、スウェーバックorダッキングandターン。さらに、リングを大きく広く動き回る。
これこそ、五十嵐俊幸の“原点”だ。
興味を惹いたのは、「4年くらい前に左肩手術をして、そのリハビリで始めた」というピッチング。
「おかげで両投げできるように。左でも投げられるようになったので」
元々の右投げと比べても、左投げのほうが絵になっていた。きっと、踏み出してウェイトを乗せる右足のバランスが鍛えられているからだろう。肩の可動域を広げる面でも効果的だ。
極めつけは、1本足サイドジャンプ。これは両足ともに、難なくこなしていた。
跳躍力、バランス感覚が示されるものだが、それらを実現するために必要なものは何か。
そこは各自で考えていただこう。
ひねくれ者ゆえの“別角度”からの見方。
しかし、これらもまた、五十嵐俊幸の「スピードボクシング」を支える礎なのである。
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