
アメリカンフットボールの「Xリーグ」は、4月22日、富士通スタジアム川崎で、春季東日本社会人選手権「パールボウル」トーナメントの1次リーグ戦2試合を行った。第1試合の富士通フロンティアーズ―明治安田ペンタオーシャンパイレーツは、2年連続ライスボウル王者の富士通が49-10で明治安田を破った。

【富士通 vs 明治安田】第1クオーター3分、富士通RBニクソンが59ヤードを走って先制TD
富士通が序盤から着々と得点を重ねて明治安田を降した。第1クオーター3分、富士通はRBとして先発したトラショーン・ニクソンが59ヤードの先制タッチダウン(TD)、6分にもニクソンがランで2本目のTDを決めた。第2クオーターにも、RB金雄一のラン、併用したQB高木翼、平本恵也のパスで、計3TDを重ねて明治安田を突き放した。後半も得点を重ねた富士通は、第3クオーターにキッキングのミスから明治安田にTDを奪われたが、その後をしっかり締めて順当に勝利を飾った。

【富士通 vs 明治安田】第1クオーター6分、富士通RBニクソンがこの日2本目のTD

【富士通 vs 明治安田】第2クオーター7分、富士通QB高木からのパスを受けたWR森田がTD
QBコービー・キャメロンと、RBジーノ・ゴードンが今オフに揃って引退、パスとランの主軸を失った開幕戦で、富士通は思い切った選手起用に出た。XリーグベストLBの一人、ニクソンを先発RBとしたのだ。奇策とも思えたが、アメフットでは攻守ともに対面するポジションについては熟知していることが多い。ニクソンは高校時代はRBもプレーしていた経験がある。
最初こそ2ヤードゲインに終わったが、2回目のキャリーでは、明治安田ディフェンスのタックルを跳ねのけてダウンフィールドに出ると、40ヤード4秒5台のタイムを記録したこともある快足を飛ばして先制TDを決めた。次のキャリーでも、タックルをかわして39ヤードを快走しTDを決めた。腰高な上に、ボールの保持もどこか頼りなげだが、いったんラインオブスクリメージ(LOS)を突破してしまうと、日本人のタックラーでは止めようのない決定力を見せた。
ニクソンのRB起用について藤田智ヘッドコーチ(HC)は「トライアウトです」と明言した。以前からの本人の希望もあって試したという。走りは「素人の(ランニング)バックだと思います。でもモノとして凄い」という。本職のLBは「ここで練習をする必要もあまりない。なのでオフェンスでプラスの部分が出るのなら」と起用の意図を説明した。
藤田HCは、キャメロンに変わる米国人QBについては「まだ決めていない」という。次戦(5月20日)のオービックシーガルズ戦については「今の状態では太刀打ちできない」と話したうえで、「一つ良いのは、(キャメロン、ゴードンらが抜けたことで)僕らが追いかける立場になったということ。3連覇とかそんなことはまったく誰も考えていない」とまとめた。次戦まで、およそ1カ月。ライバルとの一戦に何を準備して臨むかで、2018年のフロンティアーズフットボールを占うことができそうだ。
(文・写真/小座野容斉)

【富士通 vs 明治安田】第2クオーター11分、富士通QB平本がTDパスを決める

【富士通 vs 明治安田】勝利にもまったく表情を緩めない富士通の藤田HC
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