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2019-07-04

【DAZN BASEBALL CARD 2019 メイキングストーリー】「面白い!」とスピード感が生んだDAZN&球団&BBMの「ルーキーカード」制作秘話

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DAZNがプロ野球球団とBBMカードとコラボして、DAZNカードを発売しました。DAZN視聴コードがついていて、「プレミアムカード」も限定数、封入されていて、しかも特別体験が当たるチケットが封入されているかもしれない、とコレクション性やワクワク感も十分です。新しいプロジェクトによって生まれたこのアイテムは、いわば「ルーキーカード」。チャレンジにかけるスタッフたちの思いを追いました。

「面白い」が出会った

 何か面白いことをしたいな、と漠然と思うことが、年に何度かある。何の根拠もきっかけもないのにいつも突然、その欲望は湧き出てきて、無性に何かをしたくなる。でも、当たり前だけれど、面白いことは都合よく転がってはいない。

 週刊ベースボールの編集部を通じて、DAZNの関係者がBBMカードのプロデューサーに面会を求めていると連絡があったのは、ちょうどそういう時期だった。

 DAZNの担当者は「カードというのは面白いな」と感じていた。

 DAZNでは通常、テレビCMやデジタル広告、スタジアムでのダイレクトプロモーションを活用して新しい顧客を獲得している。その中で、野球ファンは限定品を収集するのが好きだということが、現場での経験やデータで分かってきた。このインサイトに基づいてその層にどうやってリーチするかを考えたとき、「カードは手段として面白い」と感じたのだった。

 面白い、という感情は極めて主観的なので人それぞれだが、DAZNの担当者にとっては二つのポイントがあった。

 一つは、「別の角度からのアプローチ方法」としての面白さだ。潜在的にDAZNへ加入する可能性のある野球ファンの中でも、特に「ベースボールカードを集める」というクラスタに対しては通常のプロモーションではなかなかコミュニケーションが取れないという実感があった。ならば、DAZNがベースボールカードを作ってはどうか。そうすれば、これまでとは違った角度からファンの中に入っていって、一緒にスポーツを応援する環境ができるはずだ。

 もう一つは、他社にはできない独自のプロモーションを可能にするために、プロ野球の球団とBBMと三者でフィジカルな商品を作ることだった。スポーツのトレーディングカードブランドを確立しているBBMとの協業として世に出せば、カードとしての価値観をすぐに理解してもらえる。球団には例えばファンクラブの特典として導入してもらうことも検討できるし、販路をローカルの書店や家電量販店に広げていくなど、新しい「場所」でDAZNとプロ野球とBBMカードを訴求できる。

 BBMカードのプロデューサーには、直感が突き刺さった。これから面白いことが始まる。

 何よりも、BBMカードの歴史の中でやったことのないことを自分たちの手で積み上げていくなんて、楽しいに決まっているではないか。もちろん、これまでも「BBMカードとしての新しいこと」にはチャレンジしてきた。成功も失敗もあったが、そのどちらにも心を動かされてきたのだ。

 そう、面白いこと、とはつまり、新しいことを始めるときの心の動きのことだった。しかも今度は、球団とDAZNと一緒に物事を動かしていくのだ。刺激的!

 こうして、DAZNの担当者とBBMカードのプロデューサーの「面白い!」が出会った。

揺るぎなき「ゲームプラン」

 顔合わせを終えて、DAZNの担当者はどのような印象を持ち帰ったのだろうか。

「カードという商品を制作するにあたり、スポーツカードを手がける企業の中で最もブランドとして認知されているBBMさんへは真っ先にお声がけさせていただきました。詳細の企画の内容をご相談するにあたり、ノウハウやスピード感、そして何よりもDAZNの目線に立ち、このプロジェクトを通じてプロ野球をさらに盛り上げていこうという気概を感じて、協働で取り組みたいという気持ちが強くなったのです」

DAZNのカードに対する「面白い!」が形になった

 BBMのプロデューサーは、自分の直感が久々に当たったことを喜んでいた。

「スポーツの総合出版社として地に足をつけてビジネスを進めてきたBBMにとっては、同じように数多くのスポーツ映像を配信することによって普及や発展に寄与したいというDAZNさんの思いは心強かった。BBMカードの新しい可能性を広げていくチャンスをもらったわけで、この“面白さ”を今回のカードでしっかり表現しなければならないと思いました」

 実際の制作に入るところで、このプロジェクトを通して揺らいではいけない、いわゆる「ゲームプラン」が共有された。「通常のDAZN加入とは異なる点があるということを、シンプルかつ分かりやすく伝える」ことだ。

 これまでDAZNが行ってきたプロモーション活動で、顧客からの声によって「クレジットカードを登録したくない」という心理的障壁があることは分かっていた。一度、DAZNを試してみたい。でも、通常の加入方法ではクレジットカードの番号を入力することが求められる。それがどうしても不安で…というわけだ。

 ところが、今回のDAZNカードを購入して、裏面に記載されている視聴コードを入力して視聴すれば、クレジットカードの登録は必要ない。しかも、価格も通常よりも安く設定している。顧客はこれで悩みが解決できるし、DAZNとしては実際のサービスに直接触れてもらうきっかけが作れる。

 その目的のために、視聴コードとベースボールカードが一緒になっているユニークさが見て分かり、他の商品とは差別化を図ることができて、カードやパッケージの素材をプレミアム感が出るようなものにしよう、という考えがDAZNから提案された。

 次はBBMカードのデザイナーの出番だ。デザイナーはカードのデザインをするのではない。この「ゲームプラン」そのものを、まるごとデザインするのが役目なのだ。

ポリゴン柄で多様性を表現

 BBMカードのデザイナーもDAZNとの打ち合わせに参加して、それぞれの熱を自分の中に取り込んでいた。

「ターゲットについては、DAZNのサービスに親近感を持つ若い年齢層に届くように、かつ、BBMカードのコアなファンにも喜んでもらいたい、というお話でした。そこで、デザインラフを3パターン組んで、提案してみました」

 一つは、プレミアム感というところに軸足を置いて、ラメのきらめきをカードに刻み込むようなもの。

 一つは、毛筆で墨を払ったような流麗なモチーフを採用した、しっとりした雰囲気のあるもの。

 一つは、ポリゴン柄を配置することでDAZNのビジネスの多面性を表現し、新時代に進む力強さを印象づけるもの。

 どれも「DAZNブラック」と呼ばれる黒を基調にしたものが採用され、落ち着きと高級感はその時点で約束されていたが、最終的にはポリゴン柄のデザインが選ばれた。あとは、球団ごとにそれぞれを表現するカラーを差し込んだり、掲載する選手の人数に違いがあったので写真の配置バランスを微調整したり、球団の意見も取り込みながら細かいところまでブラッシュアップさせていったり、プレミアム版や特別体験が当たるチケットを作り込んでいくだけだった。

 一度、ベースのデザインが決まってしまえば、一気呵成に突っ走るだけだ。

 三者の「面白い!」が出会い、そこで生まれた不思議なチームワークがブーストとなり、DAZNとBBMのスポーツを盛り上げたいという使命、そしてスピード感を自慢とする2社の企業文化に背中を押されて走り抜け、無事に完成にこぎつけた。初めての試みは一つの結実を迎えた。

「昨年も数球団で販売したDAZNの視聴カードですが、今年のカードはデザインはもちろん、仕組みについても工夫を加えました。コレクションしたくなるような選手の写真を採用し、プレミアムという共有のテーマに沿った各チームのクリエイティブが表現され、さらに特別体験が当たるチケットが封入されているかもしれないというワクワク感も兼ね備えています。自信作です」

 DAZNの担当者は胸を張る。

 だが、これはゴールではない。

「プランニングから、球団との企画の交渉・調整、BBMとのカード制作、そして販売開始まで約3カ月。どんな案件でも前例がないことが多いので、とにかくスピード感を持って進めながら修正を重ね、最適化していくことが常に求められる文化の会社です。今回のプロジェクトも販売を開始したことはゴールではなく、ここからどれだけ商品の認知、関心を獲得し、購買につなげるか、試行錯誤しています」

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