2月23日の発売以降、大好評をいただいている「BBM女子プロレスカード2018 TRUE HEART」。
今回、初めてカード化され注目を集めているのが「アクトレスガールズ」の面々だ。
当初は「プロレスをなめているんじゃないか?」という内外からの厳しい声も少なからずあったというが、気が付けば業界内とって欠かすことのできない存在となっている。それは現在、他団体の大会に多くの選手が参戦していることからも明らかだ。
「アクトレスガールズ」のツートップと呼ばれているのが、初カード化にしていきなりKISSマークカードにも挑戦してくれた安納サオリ選手と万喜なつみ選手。
カード発売記念インタビュー第2弾として旗揚げメンバーである彼女たちに話を聞いてみると、舞台、ライブなどその活動もどんどん多様化している中で、プロレスへの思いもどんどん強くなっていることが存分に伝わってきた。
PROFILE
安納サオリ(あのう・さおり)
1991年2月1日、滋賀県大津市出身。舞台を中心に活動していたが、2015年5月31日、Actress girl'Z プロローグ大会に出場。同年9月6日、新木場1stリングでの旗揚げ戦で正式デビューを果たす(尾崎妹加&播磨佑紀戦。パートナーはまなせゆうな)。その後、他団体にも出場するようになり、エース格に成長した。17年7月30日、PURE-J後楽園大会で藤ヶ崎矢子を下し、第22代POP王座を獲得。団体にとっても初のベルト獲得だった。
万喜なつみ(まき・なつみ)
1995年7月19日、神奈川県横浜市出身。子役として芸能活動をする傍ら、高校までバトントワリングを経験。2015年5月31日、Actress girl'Z プロローグ大会に出場し、同年9月6日、新木場1stリングでの旗揚げ戦で正式デビューした(本間多恵戦)。身体能力の高さで注目を集め、現在はディアナ、Marvelous、PURE-Jなどにも参戦。ディアナではSareeeとタッグを結成し、MarvelousではLEVEL5入りを表明した。
BBM お二人は今回が待望の初カードです。これまで、女子プロレスのカードがあるということはご存知でしたか?
安納 あるということは知っていました。
万喜 ちらっと見たこと、ありましたし。
BBM カードになるってどんな気分なものでしょう?
安納 私、モーニング娘。が好きだったんですけど、そのカードをよく集めていたんです。だからあのとき、私が集めていたような心境でファンの方も買ってくださるのかなと思うんですよね。別に自分がアイドルになりたいわけではないんですけど、そういうカードになれたってことが、ね。
万喜 うん、嬉しい。
安納 自分が商品になっちゃうって不思議な感じで。今回、初めて週プロの選手名鑑にも「アクトレスガールズ」の枠ができて、さらにはこうしてカードにもしていただけるじゃないですか。本当にありがたいです。
万喜 でも後輩たちは最初からそうなれているので、それはちょっとうらやましい(笑)。
BBM さて、「アクトレスガールズ」とはいったい何なのか、というところからお話しを進めて行きたいと思います。おそらく団体名と思っている方も多いと思いますし。
安納 ジャンルなんです、「アクトレスガールズ」っていう。
万喜 「アクト・レスリング・ガールズ」の略なんですよね。「Beginning」というのは団体名で、この先、いくつかの団体ができていくことで、「アクトレスガールズ」というジャンルがより分かりやすくなると思うんですけど。
BBM ですから今回のカードから、皆さんの所属を「AWG」に統一しました。もともとは女優さんたちがプロレスにも挑戦という感じでしたが、いまはタレントさんといいますか、グラビアのお仕事をされている方などもおられますよね。
安納 そうですね、女優だけではないです。メンバーも本当に増えましたし。
BBM 他団体の試合と大きく異なるのが、オープニングアクトがあることなどですね。
安納 あれはリングアナの新井みずかさんに教わって。
万喜 アクトレスガールズにはダンスの先生が大勢いるので。振り付けもしてくれて、ダンスだけの練習日があったりして。あれはアクトレスの魅力って言っています。
安納 今年からはまた衣装も振り付けも変わってね。去年の大会を観た方は、今年のダンスも観ていただかないと!
BBM 一気に会場もリング上も華やかになりますからね。続いて歴史にいきますと、2015年5月31日にプロローグ大会があり、旗揚げ戦は9月6日に行われました。お二人はその2大会とも出場されていますが、正式なデビュー戦は9月ですよね?
安納 そうです。なので私たち2人と、いま初期メンバーとして在籍している本間多恵、角田奈穂の4人は、2015年9月6日がデビューとなります。
BBM 単刀直入に伺いますが、何故、リングに立つことを決めたのですか?
万喜 最初、ずっと断っていたんです。 何回も誘われて、何回も断って。でもそのうちに、これは新しいことだと思うようになって。私は子役の頃からずっと女優さんを目指してやってきて、でもその名前も価値も上げられないままずっときて。このまま趣味のような感じで終わるのは嫌だなと思ったんです。そのとき、この「万喜なつみ」という価値を少しでも上げられるんじゃないかと考えて、挑戦することに決めました。本当にプロレスのことは何も分からなかったけど、飛び込んでみようと思って。
安納 私の場合も、いつプロレスを辞めようかという気持ちしかなかったんですけど、例えば舞台だったら主役や脇役って分かれているものが、プロレスだと名前も紹介されて、一人ひとりが主役になれるステージだと気付いて。あぁ、これはいい世界だなと感じたんです。もちろん最初は、自分の武器になればという感じだったんですが、いまは武器とかじゃなく、プロレスがなければただの女なので……。
BBM 特にスポーツをされていたというわけでもないんですよね? でもスープレックスのブリッジなどとても綺麗ですし。
安納 バレエを少しやっていたってくらいです。ですから最初、練習で前転しただけでオエッてなっていました(笑)。
BBM 万喜選手はバトンをされていたんですよね。その動きを活かした回転技なども素晴らしいですし。
万喜 側宙ですね。そう言っていただけると嬉しいです。
BBM いま「ご職業は?」と聞かれたら、なんと答えますか?
万喜 「プロレスラー兼女優です!」って答えます。
安納 私もそうですね。
BBM プロレスへのウェイトが上がっていることが分かります。しかし改めて考えると、お二人ともまだキャリアは3年経っていないんですよね。それを考えると、ちょっと驚異的な進歩だと思うんです。
安納 そうなんですか?
BBM というのは、最初は風当たりが強くありませんでしたか?
安納 メチャクチャありましたよ。それは役者側からもありましたし。
万喜 うん、どっち方面からもありました。
安納 家族や友だちからも言われたし。まぁ気にせずやったろうと思いましたけど。
BBM 心が揺れたりはせず?
万喜 揺れたりはなかったですけどね。自分の場合は、そう言われるのが悔しかったので、見返してやろうと思っていました。
安納 うん、そうね。
BBM そんな逆風の中のスタートでしたが、3年経たずにもはや、随分と風向きが変わっているように感じるのですが?
万喜 そうですね、それはすごく感じます! 昔は「プロレスラーです」と言いづらかった部分もありましたが、いまはそう言いたいし、そう言ったときに周囲から返ってくる反応も全然変わりました。
安納 言われて改めて思いましたけど、本当にそうだ。他団体さんに呼んでいただけるということは、私たちを認めていただけたのかなと思ったりもしますし。
万喜 何をきっかけというよりは、やっぱり積み重ねだと思います。いろんな方に試合をしていただいて、その方に認めていただいて。ちょっとずつそれを積み重ねて……。
安納 先輩方だったりまわりの方々に、自分たちの存在を広めていただけたのかなと思いますね。
BBM ただそれは、皆さんが変わったからというよりも、皆さん自身が周囲の見方を変えさせたんだと思うんです。実際、それだけの試合を見せてくれましたし。ただ、外に出るということは、やはりリスクある闘いだったと思います。
安納 確かに厳しかったですけど、得るものはものすごくありました。その学んだものを持ち帰って、皆に伝えられればと思っていましたし。
BBM 初期メンバーは現在4人。これまでに何人かの方が、リングから離れていきました。どのへんに差といいますか、違いがあったのでしょうね。
安納 いまの4人って、いい意味で自由だと思うんです。だからあまり気にしないのかなと思いました。いや、もちろん私も気にはするんですけどね(笑)。みんなが辞めていった理由は分からないんですが、ちょっと気にしぃな子が多かったような気もする。それとやっぱり、私もなつみも本間も角田もみんな、個々として目指すものがしっかりあったから、辞めるという選択肢がなかったんじゃないかなと思います。
BBM カードの裏面原稿を書くにあたり、17年デビューの選手を中心にお話を伺ったんですが、皆さんしっかりご自分の言葉でお話しになっているのが印象的でした。何で始めたのか、何をしたいのか、意思といいますか考え方がそれぞれすごく明確だったんです。
安納 確かに個性的なメンバーが揃っていますからね。
BBM 17年デビューの選手たちに、教える立場にもあるのかなと思うのですが?
万喜 プロレスの部分では私たちもまだまだ教わる側で、実際に他団体さんの練習でコーチしていただいたりしているんですが、それ以外の気持ち的な部分に関しても、メンバーはそれぞれが強い思いを持っているので。
安納 常識的なことと言いますか、礼儀など教えたりはしますけどね。他団体さんにお邪魔したときの挨拶関係ですとか。
BBM なるほど。やはりそのあたりは従来の団体と比べると独特な感じがしますね。普通なら初期メンバーの中でどなたかがリーダーのようになり、縦社会という感じになるように思うのですが、そういう感じでもないようですし。
万喜 初期メンバーの4人は本当にみんな、ふわふわしているんですよ。もちろんいい意味で。だから「ここ、こうして!」とか強く言ったりするタイプがいないんです。なのにみんな揃いも揃って負けず嫌いで。でもだからといって、その負けず嫌いな気持ちを相手に出すということはない。もちろんリング上では出しますけど。
BBM こうしてお話しを伺っていますと、やはり大人の集まりという感じがします。皆さんそれぞれが他の世界でも活動されていますから、一から手取り足取り指導することはないのかもしれませんね。ではいま現在、レスラーとしてこだわっていることはありますか?
万喜 以前はただがむしゃらに試合をしていた部分がありました。でも最近、特に今年に入ってからは、リングに立つ1試合1試合にとにかくこだわっていきたいと思っています。試合内容はもちろんなんですが、アクトレスガールズとして、入場のときだったり、魅せ方なんかにもこだわっていきたいと思っています。
BBM 特に昨年の終盤から、藤本つかさ選手や渡辺智子選手など、団体のトップや大ベテランとの試合も続きました。その影響もあるのかもしれませんね。
万喜 大変な試合でしたけど、それがあったからいまがあるという気はしています。
BBM 藤本選手が試合後、「始めたきっかけはなんだっていい。いまここで出会えたことがすべてです。万喜なつみ、覚えておきます」ということを話されていました。
万喜 はい、かなり心に響きました。
安納 本当に嬉しいですよね。私自身はこだわっていることはずっと変わらないです。不屈精神。チャレンジマッチなど、とにかくがむしゃらに食らいついていくという試合が多かったんですが、いまPOPのベルトを巻いていますけれど、余裕はいつもないです。後輩相手でもタイトルマッチでも、常に全力ですし。その姿を見て、自分も頑張ろうと思っていただいたり、元気を与えることができればなって。
BBM 安納選手で印象深いのは、12月の大会でタイトル防衛後、コスチュームのまま上着も羽織らず、ファンの皆さんが待つ会場外へ行き、一人ひとりに丁寧に応対されていた姿です。あの日、とてつもない寒波で、着込んでいても凍える寒さだったのに。
安納 そうでしたね(笑)。Tシャツとかも着ませんでしたね。やっぱりファンの方の中には、お住まいの関係などもあってその日にしか来られないという方もおられるじゃないですか。その1回1回を大切にしていただきたいですし、大切にしたいし。また来たいなと思っていただければ嬉しいですしね。だからそういう姿で出てしまうんですよね、私だけでなくみんなが。
万喜 よく「寒くないんですか?」って言われる(笑)。
安納 めっちゃ言われる(笑)。でも並んでくださる皆さんの手も、めっちゃ冷たいんですよね。だから一緒なんです。寒い日もあれば暑い日も雨の日もある。そんな中で皆さん、待っていてくださるんですし、同じ気持ちでいられればなって思うんですよね。
BBM 安納選手は団体内で唯一のタイトルホルダーですから、プレッシャーもあると思うのですが。
安納 あまり気にはしないようにはしているんですけど、ベルト巻いて出るということは、やはり王者として見られるわけですからね。もちろんプレッシャーはあります。でもそれが嫌いではないので、そのプレッシャーを味方にしています。
BBM さて、この2018年はどんなことをしていきたいですか?
万喜 お正月に絵馬にも書いたんですけど、今年は後楽園ホール大会を満員でやりたい。絶対にそれだけはやらないと。
安納 去年からそういう話はしていまして、その大会でもアクトレスならではの魅力が詰まった2時間、3時間にしたいと思います。ただやるのではなく、満員で開催しなくちゃいけないんです。別にこれまで後楽園大会をやり渋っていたわけではないんですけどね。まず今年はその実現に向けて走って行きたいと思います。
BBM 地方での大会開催を待ち望んでいるファンも多いと思います。
安納 行きたいね。行くか?
万喜 行きましょう! これまでは大館しかなかったんですが、4月15日に尼崎大会が決まりましたし。
安納 関西、初上陸です。嬉しいね。
BBM 後楽園大会実現のためにもそうですが、地方大会などのPRに行かれることもこれから増えてくるかもしれません。そんなとき、是非このカードを名刺代わりにご活用いただければ嬉しいです。
安納 そうか、そういう使い方もできるんですね!
万喜 裏面には試合写真が使われているから、選手だって分かってもらえますね。
BBM では最後に、カードやこのインタビューでお二人を知ったという方に向けて、メッセージをお願いいたします。
万喜 まだ私のことを知らないという方もたくさんおられると思うんですけど、普通のプロレスラーではない、女優でもあるアクトレスガールズというジャンルとして、頑張っています。きっと、観ていただいたらハマっちゃうってくらい、本当に個性的なメンバーが揃っています。一度観ていただければ分かると思いますので、是非、会場にお越しください。今年、私は23歳になるんですけど、勝負の年だと思っているので!
安納 アクトレスガールズ、そして安納サオリを応援してくださることを絶対に後悔はさせません。それは胸を張って言えます。これからまた新しい子が入ってくると思いますが、きっとまたいろんな物語をお見せできるのではないかと思います。それを楽しんでいただきたいし、その中で私自身の成長も見届けていただければ嬉しいです。会場でお会いしましょう!
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