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2023-12-12

【箱根駅伝の一番星】「箱根から世界へ」早大・山口智規が“大エースへ”自身初の箱根で真価を発揮する

出雲の反省を受け、「目の色を変えて練習をした」山口は全日本2区4位(写真/中野英聡)

陸マガの箱根駅伝2024カウントダウン企画「箱根駅伝の一番星」が今年もスタート。出場23校の注目選手を紹介する。前回、箱根の出場がかなわなかった山口智規(2年)が今季飛躍。目指すは「チームの大エース」だ。海外でのレースも経て、経験を積んだエース候補が箱根路を駆け抜ける。

上尾ハーフで奮起 他大のエースと肩を並べる

上位進出を狙う早稲田大の主軸を担うのが、山口智規だ。上尾ハーフで日本人学生トップの1時間01分16秒をマーク。箱根から世界への進出を見据えて、突き抜けた存在になるべく、他大のエースや留学生たちと勝負するつもりだ。

「僕が求めているのは区間3位とかではなく、区間賞が取れるような選手になることです。三本柱と言わずに、僕が大エースになるぞというくらいの勢いを見せたいと思います」

今季の早大は、石塚陽士、伊藤大志(共に3年)、山口の3人がチームの中核を担う。上尾ハーフの前夜、その自覚について問うと、冒頭のような力強い言葉が返ってきた。

その言葉を体現するかのように、翌日の上尾ハーフで山口は日本人学生最上位の2位に入り、1時間01分16秒をマーク。日本人学生歴代9位の好タイムで、大迫傑(Nike)が13年間保持していた早大記録を塗り替えた。箱根にむけて、エース誕生の気配が感じられるレースとなった。

 入学当初から「世界を目指す」と語っていた山口。その視座を高める契機となったのが、9月に出場したチェコ・プラハの10kmロードレースだった。同レースで優勝したU20世界選手権3000m金メダリストのタデッセ・ウォルク(エチオピア)と交流を深める中で、さらに海外へ向かう気持ちが強くなったという。

「彼は大学4年生の代で26分40秒台のタイムを持っているのに、それでもまだ世界大会には出られない。やっぱり世界のレベルは甘くないなと思いましたし、もっと視野を広げていかないと勝負できないんじゃないかと思いました」

往路要員も花田監督からは「2区を走らないと」

そんな刺激を受けて臨んだ駅伝シーズン。初戦の出雲は体調不良もあり、2区3位と不本意な結果になったという。そこから「目の色を変えて取り組んだ」と山口。全日本では2区4位。駒大の佐藤圭汰(2年)にぴたりとつく展開となり、中盤に引き離されたが「そこではっきり練習量の差を感じられたので、スタミナの部分を補っていけば箱根では勝負できると思いました」と、自らの課題を見出せたようだ。

前回の箱根は直前の体調不良で出走はかなわず。今回は往路での起用が濃厚で、2区候補としても名前が挙がっている。

「僕自身は1区や3区が向いているのかなと思っていますが、花田さんには『世界に行くなら2区を走らなきゃだめだよ』と言われています。残りの期間でとにかく距離を踏んで頑張りたいなと思っています」

主力の一人から真のエースへ。「箱根から世界へ」の理念を胸に、自身初の箱根路でその真価を発揮するつもりだ。

山口は三本柱の一角にとどまらず、大エースへ進化を遂げると意気込む(写真/齋藤豊)
山口は三本柱の一角にとどまらず、大エースへ進化を遂げると意気込む(写真/齋藤豊)

PROFILE
やまぐち・とものり◎2003年4月13日、千葉県生まれ。銚子二中(千葉)→学法石川高(福島)。1年時、全日本4区3位。今年は出雲2区3位、全日本2区4位。自己ベストは5000m13分34秒95(大2)、10000m29分35秒47(大1)、ハーフ1時間01分16秒(大2)。ハーフは早大記録。

文/荘司結有 写真/中野英聡、齋藤豊

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