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2017-11-29

【西日本代表決定戦 展望】 甲子園ボウル出場をかけて 立命館大と関学大が再び激突する

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 12月3日、万博記念競技場で、2年ぶりに王座を奪回した立命館大とリベンジに燃える関西学院大が再び対戦する。昨シーズン連敗の屈辱を経験した立命館大に受けて立つ余裕はない。甲子園ボウル出場をかけた二強の戦いを展望する。

 立命館大が21-7で関学大を下した11月19日のリーグ最終戦を振り返って見る。

 この試合は、立命館大スターティングメンバーに変化が見られた。WRを一人減らして二人のTE を投入していた。TE山下憧(龍谷大平安・4年)は、2年時にスロットバックで出場しブロッカー役としてラン攻撃のキーマンとなった。昨年から今秋までオフェンスラインで出場していた。成田光希(立命館宇治・3年)は、高校時代からヒットの強さに定評があった。昨シーズン終盤は、負傷により欠場したが、今季はサイズアップも果たしている。勿論レシーバーとしても評価は高い。この試合「ランを重視する覚悟」がパーソネル(要員構成)からも読み取れた。

立命館大のファーストシリーズ
最高のシナリオが完結した

 関学のキックオフは、ビッグリターンを避けたスクィーヴ(ゴロの)キック。そのため立命館大オフェンスは、自陣38ヤードからの好位置を得た。

【第1プレー 2TE/2WR/1RB】 
 エースRB西村七斗(大産大附・4年)にフェイクを入れたあとのプレイアクションパスがWR廣吉 賢(立命館宇治・3年)に成功し、25ヤードゲイン。TE成田がシフトからモーションしアンバランス体型となる。明らかにラン強調と見せかけてのプレイアクションが効果的であった。(上の写真、撮影:佐藤 誠)

【第2プレー 2TE/1WR/2RB】 
 QBの位置にRB西村が入るワイルドキャット体型から西村自身が左オープンを走り34ヤード獲得。TE山下の素晴らしいブロック、WR近江克仁(立命館宇治・4年)、C永福大悟(立命館宇治・1年)、RB立川玄明(大産大附・1年)のリードブロックが光った。ブロッカーの数的優位が産んだロングゲイン。

【第3プレー】
 ゴール前3ヤードからRB立川がダイブして先制のタッチダウン。ゲームの入りとしては、最高のシナリオが完結した。

 2ポジション差を確保したいチームにとって62ヤードを3プレイ、52秒でタッチダウンに結び付けたアドバンテージは大きい。

立命2点コンバージョンのQB西山のラン時にエッジラッシュをブロックするTE山下(91) 撮影:佐藤 誠

 一方の関学大は、この試合パスで38ヤードしか獲得できなかった。オフェンスの総回数が48、獲得距離も134ヤードと全く思った通りの戦術を出せないまま終了した。

立命館大CB村上(1)にパスカットされる関学エースWR松井(85)、パスキャッチ0と完封された 撮影:佐藤 誠

 両チームとも守備は、機能している。

 関学大は、LB松本和樹(関西大倉・4年)と海崎悠(追手門学院・1年)、SF小椋拓海(箕面自由・4年)が正確なサポートを見せた。特に海崎は、ホールへの仕掛けが早い。6回のソロタックルは素晴らしい。この動きを可能にした、DL藤木秀介(関西学院・4年)、寺岡芳樹(関西学院・2年)のスクリーメージ上の存在感は大きい。

立命RB西村(32)にスピード負けせずタックルにゆく関学LB海崎(49) 撮影:佐藤 誠

 立命館大もLB木村仁哉(浪速・4年)、富治林令士(立命館宇治・4年)、久下裕一郎(箕面自由・3年)が本領発揮し、安易なゲインは許さない。DL大崎泰志(立命館宇治・4年)とLB島野純三(上宮・4年)が素早いエッジラッシュでQBに圧力を掛け続けた。

変幻自在にエッジからだけでなく内からもラッシュをかける立命LB島野(99) 撮影:佐藤 誠

 両チーム共第1ラウンドを終えて、相手の力量は把握しきれたはずである。最終決戦に向けて新たなプランを準備してくるであろう。

勝負を決めるのはやはり
立命のラン、関学のパス 

 立命館大オフェンスは、前回同様にRB西村と立川のランを1試合通じて有効活用することが必須である。前回通用したものは賞味期限切れととらえて、新たな数的優位・ミスマッチを創造するシナリオを準備しているであろう。

 関学大オフェンスに必要なことは、陣地を大きく回復するプレーだ。やはりこのチームは、WR前田泰一(関大一高・4年)、松井理己(市西宮・3年)、前田耕作(関西学院・4年)へ乾坤一擲のパス抜きには語れない。ラッシュが鋭い立命館大フロントをスローダウンさせることにより、QB西野航輝(箕面自由・3年)、光藤航哉(同志社国際・3年)に投げる時間を産み出す必要がある。またこのチームは、不確実な状況下でもピンポイントで有効打を引っ張り出せる伝統を持ち合わせている。

 両チームのオフェンスコーディネーターは、非常に厄介な守備と向き合う。今春から準備してきたプレイの中から抽出した有効打を早い段階からぶつける必要がでてきそうだ。前半の守備チームは、フィールドでタイムアウトコールもありかと考える。

 両チームの全知全能を傾けた決定戦から新たなドラマが生まれることを期待している。

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