アメリカンフットボールの世界最高峰・NFLのスーパースター、マイルズ・ギャレット(クリーブランド・ブラウンズDE)が、Xリーグ、ノジマ相模原ライズを4月6日、サプライズ訪問した。
フラッグフットボールのノジマ相模原ライズJr.が、今年2月に米国で開かれた「インターナショナルNFLフラッグ・チャンピオンシップ」で優勝したことへのNFLからのご褒美で、プライベートで訪日中だったギャレットに白羽の矢が立った。2023年のディフェンス最優秀選手に選出された現役トッププレーヤーの登場に、子どもたちは大喜びだった。
幼児・小学生から中学校1年生までの選手が並ぶ中、ギャレットは笑顔でタッチを交わしながら登場。続いて開かれた子供たちのと交流会では、
「どうしてあんなにスピンムーブが上手いのですか」
「自分より大きな選手にタックルするにはどうしたら良いですか」
「僕とワンオンワンで戦ってください」
「今まで戦ってきた中で、最も強いOLは誰ですか」
などの質問に、時に真剣な表情で実演しながら答えた。
記念撮影後には、子どもたちが、先日亡くなった漫画家・鳥山明さんの「ドラゴンボール」にまつわる様々な書籍やグッズを、ギャレットにお土産としてプレゼント。ギャレットは子どもたちに取り囲まれながら笑顔で本に見入っていた。子ども好きのギャレットだけあって「ドラゴンボール」の中でお気に入りのキャラは孫悟飯だという。
日本アメリカンフットボール協会の五輪準備委員会副委員長で、ライズJr.のアシスタントコーチとして渡米した藪田学さんは「日本一になった時は、アメリカでフラッグフットボールの大会に出られる、ということがその時考えられる最高のご褒美だった」という。
「まさか普段練習してるこの相模原のグラウンドにNFLのスーパースターが訪れるご褒美まで待ってるとは…これがどれだけ非現実的なことか子供たちは気づいていないと思います」と笑った。藪田さんは息子が今回のチームの一員で、父としても、コーチとしても、日本協会のスタッフとしても、今回の一連の出来事に関わってきただけに、なおさら感慨深げだった。
ライズの選手たちに、実戦的パスラッシュを伝授
その後、同じフィールドで練習していたライズの選手たちとも交流。特に、パスラッシュの練習をしていたDLユニットに対しては、自ら何度も実演しながらアドバイス。「オフェンスタックルにヒットに行く場合でも、内側のガードに一回当たるムーブを入れてからタックルに当たりに行く」のが良いと話した。
「ガードに対して当たる時も、フェイクして当たらない時も、一歩目は常に同じ方向、同じタイミングで行えば、OLを混乱させることができる」と話しかけていた。
ギャレットは1995年生まれの29歳。2017年のドラフト全体1位指名でブラウンズに入団、2年目から6年連続で2ケタサックを記録し、通算88.5QBサック、305タックル、94タックルフォーロス。2023年は14サック、33タックルで、3回目のオールプロファーストチームと、初のディフェンス部門最優秀選手にも選ばれた。
徹底的に準備を重ねての優勝、NFLも高く評価
吉田英将コーチに率いられた、小学校5年生1人,6年生9人の計10人からなるライズJr.は、今年2月、米フロリダ州サウスフロリダ大のスタジアムで開催されたインターナショナルNFLフラッグ・チャンピオンシップに日本代表として出場した。
大会には12歳以下の各国代表11チームが出場。日本代表のノジマ相模原ライズJr.は、予選でドイツ、英国、ブラジルに勝って全勝で決勝トーナメントへ。この間、失点0という強さだった。決勝トーナメントではドイツ、ガーナ、メキシコを破って全勝で優勝と、強さを見せつけた。
大会には、米国とカナダが出場していなかったとはいえ、大会のレベルは高かった。サッカー強豪クラブの下部組織で高い身体能力を持つ選手や、大人顔負けの身長を持つ子供もいたという。その中で、ビデオによるスカウティング・研究で、徹底的に準備を重ねての勝利は、NFLも高く評価をしていた。それが、今回のスーパースターの表敬にも現れた。
米国内や、カナダ・メキシコも含めた北米では圧倒的な人気でトップスポーツとして君臨するNFLだが、北米以外の全世界という視点では、アメフトの普及や認知度は、バスケットボールや野球などの遥か後塵を拝している。
フラッグフットボールは2028年夏季ロサンゼルス五輪の種目として採用が決まっている。レベルの差があり過ぎて国際大会が成立しない、タックルフットボール(IFAFはこう呼称する)ではなく、男女が子供から大人までプレーできるフラッグフットボールで、世界的な普及を図る。IFAF(国際アメリカンフットボール連盟)だけでなく、NFLの大方針でもある。
今回の勝利後、ライズは幼児・小学生だけだったフラッグフットボールに、中学生部門を設立、4月から活動を始める。
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