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2018-12-30

12・31後楽園で“女子プロ大賞”藤本つかさに挑戦! 雪妃真矢、「自分に勝ちたい」の先にあるもの

アイスリボン12・31後楽園ホール大会でICE×∞王者・藤本つかさに挑む雪妃真矢=写真(C)週刊プロレス

フェリス女学院大卒、元銀行勤務の美女レスラーの挑戦

さまざまな苦難を乗り越え、雪妃は大みそか後楽園ホールで大一番に挑む

12月31日、女子プロレス団体「アイスリボン」東京・後楽園ホール大会が開催される。女子プロ団体が2018年に聖地・後楽園で開催する最後のイベントであり、そのオオトリとして同団体の最高峰王座ICE×∞選手権試合がおこなわれる。そんな特別な舞台で2018年度女子プロレス大賞にも選ばれたICE×∞王者・藤本つかさに挑むのが雪妃真矢だ。

フェリス女学院大学卒、元銀行勤務という異色の経歴にモデル級のビジュアルも相まって、デビュー直後から脚光を浴びてきた雪妃。だがその裏では、期待の高さに相反して、何もできない自分に苦悩し、また相次ぐケガに悩まされた彼女がいた。それでもキャリアを重ね、レスラーとして成長。同団体の2018年最大のビッグマッチ8・26横浜文化体育館大会でもICE×∞王座に挑戦。敗れはしたものの、強烈な爪あとを残したのは記憶に新しいところ。

そんな雪妃はこの秋開催されたICE×∞次期挑戦者決定トーナメントに優勝。自らの力で再び挑戦する権利を手に入れ、大みそか後楽園ホール大会で王者・藤本に挑む。現在発売中の週刊プロレス本誌(1月9日&16日合併号=№1991)では大一番に挑む雪妃のインタビューを掲載したが、ページの都合上カットした部分が非常に多かった。そこで当サイトにおいて未掲載分のインタビューを公開。取材時に撮影したインタビューショットとともにお届けする。

いざ8・26横浜文体のリベンジ戦

今年の女子プロレス大賞受賞者で、ICE×∞王者である藤本に張り手を見舞う雪妃

――12・31後楽園ホール大会が目前に迫ってまいりました!

雪妃 目前! やるしかない!

――文体での挑戦から4カ月。再びICE×∞王座への挑戦のチャンスが巡ってきました。デビュー5年目に突入したいま、王座奪取の自信はありますか?

雪妃 たった4年、やっと5年目かもしれないけど、ホント濃かったと思うし、毎年毎年、「今年が1番よかった」「今年が1番」ってきてるから。

――毎年、自己ベストを更新できている手応えがあると?

雪妃 はい。とくに今年は(8・26)横浜文体が大きかったし、何物にも代えがたい経験になったので。

――大晦日で闘う藤本選手に8月の文体でも挑んで、雪妃さんが敗れています。

雪妃 そうですよね。結果だけ見たら、私は挑戦しただけで終わっているというか、ベルトを取れなかった。挑戦しただけで終わっちゃいけないよなって。巻くところまでいかなきゃって思ったがの文体でしたね。私が挑戦した横浜文体っていうビッグマッチ、味わった悔しさもビッグマッチ級だったので(苦笑)。あれだけの大観衆の前で恥をさらしたわけですよ、私は。負けたっていうことはやっぱ悔しいじゃないですか。

――次期挑戦者決定トーナメントを勝ちぬけたのも、悔しさが原動力になっていたと?

雪妃 悔しさ、そりゃ原動力になりますよね。でも、それはみんなそうだと思いますけど。

――個人的な感想ですが、大人になると「悔しい!」はあっても、「悔しい! だから頑張る!」ってなかなかならないと思うんです。雪妃さんは、もともと負けず嫌いなタイプなんですか?

雪妃 私、普段は全然負けず嫌いじゃないですよ。だけど、文体で負けて悔しかった。なんだろう…自分に悔しかったのかもしれないですね。

――自分に悔しかった?

雪妃 もちろん藤本さんに負けたのも悔しかったけど、誰かに負けたっていうこと以上に、勝てなかった自分に対する気持ちなんだと思います。

――自分自身に負けたと?

雪妃 はい。いま振り返ると、そんな気がします。だから大みそかは藤本さんにも勝ちたいし、自分自身にも勝ちたい。たぶん、こういう気持ちにさせてくれたのは相手が藤本さんだからだろうなとも思うんですけどね。

原動力は「ベルトを巻きたいという気持ち」

藤本戦への思いを語った雪妃

――なるほど。ただ、その藤本選手はICE×∞王者であり、今年の女子プロ大賞です。あらゆる意味で高い壁になったチャンピオンに勝つイメージはできてますか?

雪妃 勝つイメージトレーニングはするようにしてます!

――そのイメトレのなかでは、雪妃さんがバシッと勝利を決めてるんですか?

雪妃 もちろんバシッ!と。ただヘロッヘロな私が、ですけどね(笑)。

――ヘロッヘロ(苦笑)。

雪妃 でも、ヘロッヘロだろうがなんだろうが、勝ってるイメージですから! ウン!

――ちなみにバシッと勝利して、ベルトを取った後のことは何か考えてらっしゃったりしますか?

雪妃 う~ん、根底にはアイスリボンに変化をもたらしたいっていう思いはあります。でも正直にいえば、いま私はベルトを取ったあとに何をしようみたいなの、特にないんです。具体的なマニフェストがないと王者になる資格がないとも思わないし。よくベルトを取ったあとのこと、聞かれるじゃないですか。それってすごく会社っぽいなって思うんです。

――どういうことですか?

雪妃 「そのポジションについたらアナタは何ができますか?」「その役職になったらどんな役割を果たせますか?」って。なんかプランニングしなさい、プレゼンしなさいって言われてるみたいな気になりません?

――確かに。

雪妃 私自身、そういうのを考えるタイプの人間だから、そう言いたくなる気持ちってすごくわかるんです。所属選手全員がそういう具体的な目的意識を持ったほうがいいとも思うし。だけど、チャンピオンってそれで決まるものじゃないと思う。体力、精神力、ベルトを巻きたいっていう気持ちが原動力になって、ベルトを取ることを目的に闘うわけだから。チャンピオンになったあとに「アンタが王者になったんだから団体を良くしてね!」って言われたら、自然と「やらなきゃな!」っていう気持ちが生まれてくると思うんです。

――立場が人を作るみたいな?

雪妃 そうです、そうです。だからいまはベルトを取った後のことをアレコレ考えるんじゃなくて、チャンピオンになることをまず考えたいというか。それにこのところ、ずっと新しいチャンピオンって生まれてないわけじゃないですか。

「アイスリボンをかき回します!」

チャーミングな笑顔を見せた雪妃

――2016年3月に世羅りさ選手がICE×∞初戴冠を果たして以来、シングル王座未戴冠選手によるICE×∞戴冠は実現してませんね。

雪妃 2年10カ月も新しいチャンピオンが生まれてないわけですから。私がICE×∞のベルトを取ったら、もうそれだけで新しい何かが生まれると思うし、変化が出てくると思うんです。だからこそ(世代的に)真ん中の私がベルトを取って、上にあがらなきゃいけないなって。そうじゃないと、下(後輩)が上がってくることも難しいだろうし。

――ただ、それを実現させるには藤本選手を…。

雪妃 倒すしかない。私が倒します。今だからこそ取らなきゃいけないと思うし。

――今だからこそ?

雪妃 藤本さんが女子プロ大賞を取った。それ自体はすごいことだし、喜ばしいことだと思う。そんな藤本つかさがトップに立って、突っ走って、それにみんなが着いていくアイスリボン。それでも団体は回っていくだろうし、ガクッと何かが落ちることもないと思う。だけど、2年後、3年後、どうなるの?って。(藤本頼りから脱却する)スタートが遅れたら遅れるぶん、循環に時間がかかるんじゃないのかなって。だったら、いまのうちにかき回しておいたほうがいいんじゃないかしらって。

――流れている水がいつか停滞して、濁らないうちにかき回すと?

雪妃 グルグルグルグルと(笑)。それを私がやってやると。

――雪妃さんがグルグルかき回す渦のなかには藤本さんもいるんですか? それとも遠心力で弾き飛ばしちゃうイメージですか?

雪妃 私が文体で挑戦するってなった時、「私はアイスリボンの中心になる覚悟ができた」って言ったじゃないですか。

――おっしゃってましたね。

雪妃 あの時もそうなんですけど、別に私が藤本さんのポジションに取って代わろうなんて思ってるわけじゃないし、藤本さんと同じことをしようと思ってるわけでもなくて。

――藤本つかさをはじき飛ばして、そこに雪妃さんが居座るみたいな形ではないと?

雪妃 私は中心に立つ人間が多ければ多いほどいいと思ってるので。

――大黒柱は1本だけじゃなくて、何本あってもいいと?

雪妃 そうそう。1本倒れても大丈夫みたいな。いまのアイスリボンは藤本さんという柱があって、世羅さんという柱があってっていう感じじゃないですか。それがドンドン増えれば増えるほどいいわけで。

「噛ませ犬イヤーを勝利で締めくくるんじゃ!」

2018年を締めくくる大会のトリとなる一戦で雪妃は自身初のICE×∞王座戴冠を果たせるか

――現状、藤本、世羅の2トップ体制的なイメージですが、そこに3本目の大黒柱として雪妃真矢が生まれてもいいし…。

雪妃 シングルを巻いたことのない先輩でもいいし、私より下の後輩だっていいと思うし。

――アイスは一番上がデビュー10周年の藤本選手ら2008年組で、下には十代の学生たちがいます。キャリア5年目、ちょうど真ん中の雪妃さんだから描ける王者像ですね。

雪妃 上も下も、真ん中からグルグルグルグルかき回します! 引っ張るとかじゃない、かき回す! 私が真ん中にいて、こうしてやるんだから!(と言って、棒で何かをかき混ぜるジェスチャーを見せる)

――酒蔵とか醤油の蔵元の人が棒でグルグルやるみたいな感じで…。

雪妃 そうそう。魔女の窯とか。いやー、楽しみだ!(笑)

――それを実現させるためにも大晦日…。

雪妃 やります! やってやる!

――藤本選手を倒して、ベルト初戴冠を果たして、祝杯をあげましょう!

雪妃 あげたい! 噛ませ犬イヤーだった2018年を勝利で締めくくって、ベルトとともに年を越すんじゃ!

――なぜ大仁田さんみたいな口調に(苦笑)。あ、だから今日、革ジャンなんですね!

雪妃 (無視して)新年1発目からベルトを巻くんじゃ! ベルト巻いて、頭にタイのおかしら乗せて入場するんじゃ!

――途中からおかしくなってますが、これだけ言って負けたらツラすぎますね(笑)。

雪妃 …負けたら?

――はい。負けたら美味しいお酒も飲めませんよ。

雪妃 そんな悲しい年の瀬ない…っていうか、負けたらなんて考えてなかった。これでダメだったら「もう二度とタイトルとか要らない…」って思っちゃうかもしれないし、「うわっ悔しっ!」って思うかもしれない。負けなんて想像できない…っていうか想像したくない! 負けたらとか、そんなこと聞かないでください!(苦笑)

――失礼しました!(苦笑) では、大みそか、藤本つかさに…?

雪妃 勝って私がベルトを巻きます!

アイスリボン12・31後楽園全対戦カード

大会当日、後楽園ホール5階エレベーター前のチケット受付でこの画像を見せれば、当日でも前売り料金(当日から1000円オフ)で購入可能だ

「RIBBONMANIA2018」
★12月31日(月)東京・後楽園ホール(11:30)
▼第7試合=メインイベント
ICE×∞選手権試合(30分1本勝負)
<王者>藤本つかさVS雪妃真矢<挑戦者>
▼第6試合=セミファイナル
インターナショナルリボンタッグ選手権試合(20分1本勝負)
<王者組>星ハム子&宮城もちVS弓李&尾﨑妹加<挑戦者組>
▼第5試合
志田光VS世羅りさ
▼第4試合
トライアングルリボン選手権試合(15分1本勝負)
<王者>趙雲子龍VS松本都<挑戦者>VS松屋うの<挑戦者>
▼第3試合
プロレス代理戦争シーズン2(20分1分勝負)
テキーラ沙弥&鈴木秀樹VSジュリア&青木真也
▼第2試合(30分1本勝負)
柊くるみ&安納サオリ&本間多恵&つくしVS藤田あかね&トトロさつき&星いぶき&有田ひめか
▼第1試合=鈴季すずデビュー戦(15分1本勝負)
朝陽VSすず
〔入場料金〕
最前列8000円(完売)
特別リングサイド席6000円
リングサイド席5000円
指定席A4000円
指定席B3000円
レディースシート3000円
※当日は各1000円増し。
◆大会の詳細はアイスリボン公式ホームページで。
http://iceribbon.com/

大みそか藤本つかさ戦に向け、雪妃は強いまなざしとともに思いを語った

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