

【アサヒビール vs 富士ゼロックス】パントリターンで53ヤードの快走を見せたアサヒビールWR戸倉
Xリーグ開幕前の8月22日、川崎駅前の商業施設「ルフロン」1階の広場で開催されたトップ9のヘッドコーチ(HC)と監督によるトークバトルで、アサヒビールシルバースターの有馬隼人HCは「今年も新人が15人加入した。4年間で50人の選手が入れ替わった」と語った。
大半が20代というのシルバースターの中で、開幕の対富士ゼロックス戦で存在感を見せたのがWR戸倉和哉だ。本業のレシーバーとしてのパスキャッチはなかったが、前半終了間際にパントをキャッチすると巧みなコース取りで53ヤードのビッグゲインを見せて、相手陣に大きく攻め込み、残りゼロ秒でのフィールドゴールに結びつけた。試合後、戸倉は「あの場面は最後まで走り切ってタッチダウンにしたかったですけどね。あれが今の実力ですね」と笑顔を見せた。
戸倉は9月2日で32歳になる。チームに加わって10年目、WRユニットでは最年長だ。法政大学ではQB菅原俊(オービック)と同期で「僕が彼を育てました」とおどけて語るが、その言葉は大げさではない。大学4年時には快足WRとして鳴らし、2007年7月に開催されたワールドカップ(現世界選手権)川崎大会では、立命館大の前田直輝(LIXIL)と並んで、大学生から日本代表に選ばれた。菅原は当時、壮行試合で戦った関東学生代表のQBだった。
しかし、戸倉は「シルバースターが勝てなくなって長いので、僕が入る前から勝てていない。期待されて入りながら、勝たせることが出来なくて期待に添えず、申し訳ないと思ってきた」という。
今のシルバースターは、この日も2TDパスキャッチを見せた林雄太がエース格だ。「確かに、林が一番結果を残しているけれども、現役でやっている限りは活躍してやると思って、ゲームに臨んでいる」という。
第2節の9月10日に富士通、第3節の9月24日にはLIXILという強敵との対戦が待つ。「今季プレーオフで上位に行けるかどうかというのが、この勝敗で大きく変わる。自分も含めて、我々は上位チームに勝った経験がないので、強敵に勝つ喜びを味わいたい。自分も一選手に過ぎないが、年の功というか、経験はあるので、厳しい場面でパスを捕ってチームを鼓舞できたらと思っている」と静かに闘志を燃やしている。
【写真・文:小座野容斉】

【アサヒビール vs 富士ゼロックス】試合終了後のアサヒビールシルバースターのハドル。最前列で有馬HCの話を聞くWR戸倉(#11)
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