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2018-09-22

川内優輝が自身の「原点」と言うマラソン大会 ニューカレドニア モービル国際マラソン

「天国にいちばん近い島」ニューカレドニア。その首都・ヌメアで開催されるニューカレドニアモービル国際マラソンを、川内優輝選手と川内鴻輝選手が走った。海を眺めながら走る絶景コースを鴻輝選手が案内する。
取材/川内鴻輝、橋本健太郎 写真/COMINC(ニューカレドニア・マラソン協会)、木村 正、林 祥子 取材協力/ニューカレドニア観光局、エア・カレドニア・インターナショナル航空、AQUAインフォメーション

マラソンのコースは、海沿いを走る。通常、島のマラソンはアップダウンが激しいが、比較的フラットなコースになっている。

大好きになった海外

「天国にいちばん近い島」

 このフレーズを聞いただけでも心が躍り、興味が湧くのではないでしょうか。

 ちょうど10年前の夏、兄の優輝が出場し、帰国後にそう表現していたニューカレドニア。日本では8月の厳しい残暑が続くなか、島の気候はとても涼しく、走る上では絶好のコンディションだと聞きました。食べ物もおいしく、特に海鮮料理が抜群。島の人々はおおらかで優しく、街の治安もいい。とにかく、海外マラソンが大好きになったとうれしそうに話していました。

レース前日の土曜日には、川内3兄弟の長男・優輝選手と三男・鴻輝選手のトークショーが行われた。優輝選手は、来年もこの大会に出場することをレース後に明言した

「いつかニューカレドニアで走りたい」

 以来、心のどこかでそう思っていましたが、ついにその夢が現実しました。

 南太平洋に浮かぶニューカレドニアはフランス領で、「南太平洋のコート・ダジュール」と呼ばれています。大自然と青い海が広がるビーチリゾート地でもあり、日本人観光客に人気の島です。南半球に位置するため、日本とは常に季節が逆となり、いつ訪れても異なるシーズンを堪能できます。実際、事前取材のため今年1月に訪れた際には、現地の天気は30℃以上の快晴、日本では豪雪のため極寒という正反対の気候でした。

涼しい気候なので、記録を狙って走るランナーもいるが、多くのランナーはファンランを楽しんでいる

 日本とは直行便でつながっていてフライト時間は約8時間、時差はたったの2時間。日本国籍で90日以内の滞在ならビザも不要です。

 観光地で特におすすめなのは、アメデ島です。現地の旅行会社が実施しているアメデ島ツアーには、アメデ島までの往復クルーズ、昼食、遊覧クルーズ、高さ56mのアメデ灯台への入場、タヒチアンダンスショー、シュノーケルセットなどの貸し出しが含まれており、この充実度で約1万9000円でした。

 アメデ灯台から見える景色は絶景です。水は海底が鮮明に見えるほど透き通っており、ウミガメが気持ちよさそうに泳いでいました。

海沿いの絶景コース

 さて、いよいよマラソンです。  

 大会前日には、海の地平線に沈んでいく美しい夕陽を見ながら翌日の力走を誓い、21時には就寝、翌朝3時に起床しました。マラソンとハーフマラソンのスタート時刻は7時。南の島ではありますが、現地の季節は冬になるため、肌寒いなかでスタートです。

南半球のニューカレドニアの8月は冬。午前7時のスタート時は肌寒いくらいで、走るには絶好のコンディション。

 スタート地点で、ボストンマラソンで優勝したユーキ・カワウチが紹介されると、沿道だけでなく、並んでいる選手からも大きな歓声が上がりました。

 コースは、全体的に海を見渡せる絶景コースです。コースの途中には和太鼓による力強い応援があり、折り返しコースのため、すれ違いざまに声援を送り合うことができます。

コースは折り返しなので、多くのランナーとすれ違うことができる。

 給水所によっては、スタッフからスペシャルドリンクを手渡しで受け取ることができました。通常の日本の大会では、スペシャルドリンクを置くことができるランナーは陸連登録者などに限られていますが、この大会では希望するランナーなら誰でも5㎞ごとに設置できます。私は4位でしたが、素晴らしい景色を眺めながら、本当に楽しく走ることができました。

コースは海沿いが多く、涼しい風が吹き抜ける。

 夜に地元の人たちによる陽気なダンスを観賞後、表彰式が始まりました。大会全体を通して参加人数が800名弱にもかかわらず、部門が20歳以下から70歳以上の部まで10歳刻みに分かれており、大勢に表彰のチャンスがあります。

陽気なスタッフが大会を盛り上げてくれる。走り終えたあとは、スイカやマッサージのサービスがある。

 最後には、大会参加者、ボランティアスタッフ、大会事務局など、誰でも参加できるカクテルパーティーが開催されました。ニューカレドニアモービル国際マラソンには、世界各国から人々が集まっているため、もちろん肌の色や話す言語は違います。しかし、「Run」という共通言語でつながっているため、すぐに仲よくなり、マラソン談義や記念撮影など、参加者は心ゆくまで楽しんでいました。

キッズランも行われるので家族旅行にも最適。

トークショーは盛り上がった。優勝・入賞盾もおしゃれ。

 忙しい日々から解放され、ゆっくりと流れる島時間を堪能できるのも、このマラソンの魅力の一つ。きっと天国って、こんな場所なのでしょう。

 来年以降も予想される日本の猛暑。その暑さから逃れ、あなたも天国にいちばん近い島、ニューカレドニアで走ってみませんか。コースレコードを更新できなかった兄の優輝は、早くも来年のエントリーを表明しています。

第36回ニューカレドニア・モービル国際マラソン
[開催日]2018年8月26日(日)
[開催地]ニューカレドニア・ヌメア
[種目(参加人数)]マラソン121人、ハーフ343人、10㎞343人、、5㎞ミニレイド
[制限時間]なし(スタートから7時間後に交通規制が解除されるが、歩道を走れる)

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