
アディゼロ サブ2が3月16日、発売された。昨年の東京マラソンで、ウイルソン・キプサングが30kmまで世界記録を上回り、マラソンの国内最高記録を塗り替えた話題のシューズだ。今年の東京マラソンの翌日に、マスコミ関係者を集めた試走会が開催されたが、あいにく、私は時間がなくて50mくらいしか走ることができなかったので、走行レポートを書くことができなかった。本日、ついに本格的に走ることができたので、印象をつづってみたい。
このシューズについては、キプサング選手をはじめ、開発責任者のマーチンズ・リチャードさんらにインタビューしている。キプサング選手のインタビューは発売中の『陸上競技マガジン4月号』に、リチャードさんのインタビューは3月22日発売の『ランニングマガジン・クリール』に掲載するので読んでほしい。
それらのインタビューでは新しく開発されたミッドソール素材のブースト ライトや超軽量のアッパー、踵のホールド感を高めているヒールカウンター、グリップ力のいいコンチネンタルラバーのアウトソールなどのことを聞いた。それらが実際にどうなのかを走りながら考えた。
明日、フルマラソンを走るので、長い距離を走るは控えさせたいただいた。キロ5分ペースの3kmのウォーミングアップ、キロ4分15秒の1kmの刺激走、そして3kmのダウンを行った。
アップで感じたのは、とにかく軽いということ。アディダスの発表では、27cmで160gしかない。手に持ったときに感じた軽さにも驚いたが、シューズを履いて足を持ち上げたときはもっと驚いた。シューズを履いている感覚があまりないくらい軽い。実は、この軽さが走りに影響する。
自然にペースが上がるのを感じる。物理の法則、E=MC2(エネルギーは、速度と質量の2乗に比例する)なので、軽ければ軽いほど、スピードは上がることになる。ランナーが体脂肪を減らしたいと思うのは、このためだ。しかし、シューズの軽さは体脂肪を減らすこととは異なる効果を走りにもたらす。
スピードはピッチ×ストライド。ピッチ(歩数)を増やすためには、浮いている脚(遊脚)をできるだけ早く前に戻したほうがいい。このときに軽いシューズは有利になる。シューズが重いと、蹴り終わった脚が、シューズの重さ(慣性の法則)によって後ろに流れてしまう。振り戻すために余計な力が必要になるというわけだ。
走り出すと、自然にピッチが上がるような気がした。おそらくシューズが軽いので、意識しなくても遊脚を振り戻す動きが自然に早くなるのではないかと考えている。1月にキプサングが来日したときに、青山学院大学の選手と一緒に走った動画を見ていて、走りがあまりにも違うことが気になっていた。キプサングが素早く遊脚を振り戻しているのに対して、青山学院大学の選手たちの遊脚が後ろに流れている。この違いは、シューズの軽さとは関係がないのかもしれないが、より軽いシューズを履くことによって、振り戻しの動作を早くすることは誰でも可能になるのではないか。
キロ4分15秒で走ると、その感覚がより鮮明に感じられた。ブースト ライトは従来のブーストほどの衝撃吸収性やポヨンポヨンするような反発は感じられない。しかし、硬さによる反発は感じることができる。野球にたとえると軟式のボールと硬式のボールの違いだ。フォーム(発泡材)が反発を生むというより、地面からの反発を受けることができる。
振り戻しの速さと地面からの反発によってスピードが上がる。実は最初から4分15秒ペースで走ろうと思っていたわけではない。3時間半を目指すフルマラソンを翌日に控えているので、4分半くらいで1km走ればいいだろうと思っていた。しかし、走りながらGPSでペースを確認すると4分15秒だった。感覚よりも速く走っていた。
私のレベルでは、このシューズでフルマラソンは厳しい。地面からの反発を受け続けられるほど、脚ができていないからだ。10kmや短い距離の駅伝、トラックレースではいい走りができるのではないかと思う。
サイズについて、1サイズ落としたほうがいいか、通常のサイズでいいかは悩むところだ。私の場合は通常は25.0cmだが、アディゼロ サブ2は24.5cmでもいいような気がする。私自身がタイトフィットが好きだからだ。これは好みの問題で、ソックスの厚さである程度調整はきくので、実際にショップで足を入れて確認したほうがいいと思う。
アウトソールのグリップについては申し分がない。濡れた路面でも全く滑らない。履き始めは大理石のようなつるつるの路面の場合「キュッキュッ」と音がするが、これは最初だけ。少し走れば音は消える。

コンチネンタルラバーのアウトソールは、確実に路面をグリップする。粘り気がありスタッドレスタイヤのようだ
私の右と左の踵形が違うようで、どんなシューズでも、右の踵がゆるく感じる。踵のホールドが気になる方は、一番上にある2つの穴を使うダブルアイレット ノットという結び方をするといいだろう。

一番上の2つの穴を使うダブルアイレットノット。踵のホールドが気になる人は試すといい

内側にメッシュの切り替え部分がある。フィット感とサポートの2つの役割をもっている
アッパーをニットではなく、メッシュにしたのは正解だと思う。早い動きをしてもしっかりと足をホールドしてくれる。緩みはおきない。中足部にあるメッシュの切り替えが、サポート材の役割も果たしていて、中足部をしっかりとホールドしてくれる。

インソールは貼り付けられているので、ずれることはない
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