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2018-01-22

アディダスの2時間切りシューズ adizero Sub2にキプサングが求めたこと

 昨年の東京マラソンで驚異的な大会記録、2時間3分58秒で優勝したウイルソン・キプサング選手が来日し、アディダスのadizeroシリーズ発売記念ランニングイベント adidas Runners Presents「adizero SPEED SUMMIT 2018」で、日本のランナーとの交流を楽しんだ。そのイベントの間に、単独インタビューに応じてくれた。そのなかからアディダスがフルマラソンで2時間切りを目指したシューズ、adizero Sub2に関して発言した部分を紹介する。なお、キプサング選手のインタビューは、2月14日発売の陸上競技マガジンに掲載する。

adizero sub2

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――adizero Sub2の開発に深くかかわったそうですね。開発者に求めたものは?

 まずはウエイトです。軽すぎない軽さです。ちょうどいい重さになるように取り組みました。実際にマラソンを走るには重たいものはいらないです。距離が重なっていくと、だんだん重さを感じるようになるからです。。

――軽すぎてはいけないのでしょうか。

 軽すぎるとインパクトを緩衝することができません。軽すぎるシューズは足の裏から衝撃を感じることになります。速く走れば速く走るほど、衝撃が強くなってきます。距離を重ねると裸足で走っているように感じてしまいます。重くはないけれども、地面からの衝撃を吸収してくれるシューズが必要なのです。

――従来のブーストと、アディゼロサブ2に搭載されているブーストは違うのだと思うのですが、どう違うのでしょうか。

 従来のブーストは、1回レースを走ると若干、へたってしまうことがありました。ヘタってしまうと衝撃を感じるようになるので、走れなくなります。新しいブーストはマラソンを走ったあとでも、へたっていません。

――耐久性がこちらのほうがあるということですか。

 そう。耐久性が高いですね。3つくらいレースを走っても大丈夫です。それでもヘタることはありません。アッパーの素材にも取り組みました。前回のアッパーはもうちょっと重みがありました。通気性があまりよくなかったので、空気が中に入ってきませんでした。そこを改善しました。ヒールカウンターの部分も改善しました。少し硬めにしてあります。着地したときに踵がブレないようにホールド感があるようにしてあります。ただ、多くの素材を使うのではなく、軽い素材を使って硬さをもたせたヒールカウンターにしてあります。

――何回もプロトタイプを履かれたと思いますが、何種類くらい履きましたか。

 造っては履いて、「ダメ!」っていって、作っては「ダメ!」って、何回も繰り返しました。

――トレーニングによってシューズは履き分けているのでしょうか。

 アディゼロ サブ2はスピード練習のときに、トラックのスピード練習で使っています。

――いつものトレーニングでは何を使っていますか。

スピードワークについては、このシューズを履きますが、ロングランではいろいろなタイプのシューズを履いています。

――もっと厚いシューズですか。

 ロングランについてはシューズにあまりこだわっていません。今履いているこの靴(adiZERO tempo BOOST 3)は、息の長いシューズですから長距離を走っても大丈夫です。アディゼロサブ2は、長距離のコースは地面が凸凹しているので、使わないですね。

――ありがとうございました。

 インタビュー修了後、上のadizero Sub2で走っている動画をキプサング選手に見せて、接地の仕方について聞いたところ、何度も再生を繰り返して次のようなことを言っていた。

「ガツンと接地するのではなく、フラット気味にソフトにランディングして、自然にそのまま蹴らずに抜くようにしている」

 キプサング選手のインタビューは2月14日発売の陸上競技マガジンに掲載される。

上がサブ2のブーストフォーム。下はアディゼロジャパンのブースト。色がついているだけではなく、素材感がかなり異なる。

キプサングの要望により、硬めに仕上げてあるヒールカウンター。素材を少なくしながら、着地のブレを最小限に抑える

フルレングスに使われているコンチネンタルラバーのアウトソール。ガリガリと地面をひっかくのではなく、粘り気が地面をとらえる感じだ

通気性と軽量性を両立させたアッパー。ステッチが入っていて、しっかりとホールドする工夫も見られる

ペーサーを務めた青山学院大学の選手たちと談笑するキプサング選手

Wilson

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上の動画は、最後のレースをadiZERO tempo BOOST 3で走っているキプサング選手。adizero Sub2同様に滑らかな接地をしている。

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