昨日に続いて、NIKE MEDIA FAST CAMPで感じたことを綴っていく。2日目は、軽井沢のジョグから始まった。といってもこれは、個人的に走っただけで、キャンプのプログラムには含まれていない。目指したのは、旧碓井峠。しかし、残念ながら先週の台風の影響で倒木があり、交通止めになっていた。そのまま引き返すのはもったいないので、少し遠回りをした。
今回のキャンプを軽井沢にしたのは、この地がナイキの故郷であるオレゴン州ポートランドに似ているからというナイキの担当者のこだわりだった。ちなみにホテルの料理の肉や魚が厚いのも、ズームシリーズのキャッチフレーズである「#厚さは速さだ」にかけている(担当者の名前と私が行こうとした峠の名前が似ているのは関係ないと思うが…)。走っているといたるところでポートランドらしい風景に出会った。
この日のトレーニングのメインメニューは、10kmペース走。私はキロ5分のグループに入れていただいた。もちろん、履くのはズーム ヴェイパー フライ 4%だ。長い距離を走れなければ、シューズのよさはわからない。こんなチャンスを逃す理由はない。
コースは風越運動公園をスタートする緩やかなアップダウンがある10kmの周回。まずは、長い下り坂。足を前に出すだけで体が前に運ばれていく。ズームXフォームが、完全に衝撃を吸収してくれるので、脚への負担がほとんど感じられない。
平坦なところになっても、硬いカーボンファイバープレートによるテコの原理とズームXフォームの反発力が生み出す推進力によって、キロ5分のペースが楽に感じられる。上り坂では上手に接地しないと、テコの原理もフォームの反発ももらえない。しかし、少しだけ前のほうに接地するだけで、エネルギーをセーブできる。
カーボンファイバープレートによるテコの原理とは、スプーンをイメージするとわかりやすい。昨日の記事(http://www.bbm-japan.com/_ct/17127870)に写真を掲載したが、プレートはスプーンのような形状をしている。この先のほう、「つぼ」と呼ばれる部分に力を加えると、柄が浮き上がる。これと同じ現象が、一歩ごとにズーム ヴェイパー フライ 4%の軟らかいズームXフォームの中で起こっていると想像している。走っているときに腰骨の下のあたりを後ろから押されるような感覚は、この現象によってもたらされているはずだ。
正確な数字はわからないが、10km走の平均のペースは5分15秒くらいだった。11月末にサブ3.5を目指すランナーとしては、ちょっともの足りないが、驚いたのは、走り終えたあと、ズームフライよりも脚の疲労が少ないということだった。
ズーム ヴェイパー フライ 4%はサブ3レベル以上、ズームフライはサブ3.5レベルと言われることが多いようだが、キロ5分を超えるペースで走っても快適だった。おそらく、6分で走っても、7分で走っても同じなのではないか。そのうえ、故障や疲労の原因となる衝撃吸収性は、ズーム ヴェイパー フライ 4%のほうが、ズームフライより高い。となればこのシューズは、マラソンで完走を目指すレベルから、2時間切りを目指すランナーまで、ほぼ、すべてのランナーを対象にできるのではないか。
シューズに関しては、走り方や骨格による「合う・合わない」は必ずある。購入する場合は、ショップで足を入れて、10mでも5mでも走って気持ちいいなら、購入対象にしていい。
昨日の記事にも書いたが、ズーム ヴェイパー フライ 4%とズームフライは、フォームの性能が全く異なる。ズーム ヴェイパー フライ 4%に搭載されているズームXフォームは柔らかい。それに比べるとズームフライの新型ルナロンフォームは硬く感じられる。シューズの性能というよりも、このあたりは、好き嫌いの問題だ。柔らかい接地感が好みならズーム ヴェイパー フライ 4%、少し硬い接地感が好きならズームフライがいいだろう。ただし、硬い接地感のズームフライは、ズーム ヴェイパー フライ 4%ほどの反発を感じられないことは理解しておいたほうがいいだろう。
ここまで読んで、そうかそうか、このシューズはそういうものかと理解したつもりになっている人もいるだろう。しかし、これはあくまでも私が個人的に感じたことを書いたまでのことだ。「合う・合わない」は必ずある。この記事を決して鵜呑みにしないでほしい。
そうは言っても、「このシューズは私にはまだ早い」と思っている人にこそ、足を入れて走ってほしい。現在、自分が履いているシューズと衝撃吸収性や推進力などを比べてみてほしいのだ。衝撃吸収性もあり、着地安定性もある。そのうえ推進力も得られると感じられたのであれば、「私にはまだ早い」と判断する基準がなくなるではないか。
10kmを走って強く感じたのは、そのことだった。ビギナーからエリートランナーまで、すべてのランナーのシューズに関する常識をくつがえすことができるシューズなのかもしれない。
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