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2017-10-26

【NIKE MEDIA FAST CAMP REPORT 1】 ナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4% やはり、このシューズはタダモノではない

厚底ではスピードが出ないという固定観念

 今日から2日間に渡って開催されているNIKE MEDIA FAST CAMPに参加している。このキャンプは、文字通り、報道関係者を対象にしたもので、スピードを求めるランナーをサポートする「ナイキ ズーム シリーズ」のイノベーションを体験することが目的となっている。

 平たくいえば、すでに多くのランナーの間で話題となっているナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4%とナイキ ズームフライ、ナイキ ズーム ペガサス 34を体感すること、そしてその体感したことを多くのメディアで発信することが、このキャンプの目的だ。

 初日の今日は、長野県の軽井沢に到着後、まず、プロダクトプレゼンテーションが行われた。ズームシリーズが、いかにして生まれたのか。昨年のリオ五輪でのエリウド・キプチョゲの金メダルの活躍、今年4月のボストンマラソンでの大迫傑選手の3位の快走、5月にイタリアのモンツアで行われたBreaking2でのキプチョゲの2時間0分25秒の走り、そして9月のベルリンマラソンで優勝したキプチョゲの走り、10月のシカゴマラソンでのゲーレン・ラップの優勝、10月の出雲駅伝や箱根駅伝予選会などでの学生ランナーの走りなどが紹介された。この1年間で世界の長距離界を席巻したズームシリーズは、厚底ではスピードが出ないという固定観念を完全に打ち破ってきた。

 私自身は、幸運にも5月のモンツアでのBreaking2を取材することができ、そのときに、いち早くズームフライに足を入れて走ることができた。そのときの印象は、ランニングマガジン・クリールの7月号やクリールのWEBサイト(http://www.bbm-japan.com/_ct/17101102)で紹介した。その原稿にも書いた。5月以来、走るときにはほぼズームフライを履いていて、それによって走りそのものが変わったことは、WEBサイトの記事に詳述している。

ズーム ヴェイパー フライ 4%とズームフライの違い

 WEBの記事を読んだ方が誤解していることがある。それは、私がズーム ヴェイパー フライ 4%を履いたことがあると思っていることだ。まぎらわしい書き方をしてしまったが、今日までズーム ヴェイパー フライ 4%に足を入れたことは一度もなかった。ズームフライを愛用しているランナーとしては、ズーム ヴェイパー フライ 4%はズームフライと何が違うのかを知りたい。プロダクトプレゼンテーションで説明された内容は下記のとおりだ。

 確かめたいのは、ズームXフォームと新型ルナロンフォームの違い、カーボンファイバープレートとナイロンカーボンプレートの違いだ。

 違いを体感できるチャンスはすぐにやってきた。佐久総合運動公園陸上競技場に移動して、NRC RUNNING SESSIONが行われた。ウォーミングアップや動きづくりのドリルなどのあと、NRCのSPEED RUNと1000mタイムトライアルが行われた。

 ズーム ヴェイパー フライ 4%に足を入れてまず感じたことは、その軽さだ。ズームフライも十分に軽いのだが、ズーム ヴェイパー フライ 4%は、それよりも明らかに軽い。足にフィットしているシューズはあまり重さを感じないがそういうことではない。フライメッシュアッパーも薄い。そのため、同じ25.0㎝であっても、ズーム ヴェイパー フライ 4%は少しだけ余裕を感じる。スピードを出すときにはタイトフィットを好むランナーなら、1サイズ(0.5cm)、あるいは2サイズ(1cm)小さいシューズを選んでもいいかもしれない。

 明らかな違いを感じたのは、ミッドソールのフォームだった。ズームフライに搭載されている新型ルナロンフォームも十分な衝撃吸収性がある。一方、ズーム ヴェイパー フライ 4%に搭載されているズームXフォームは、衝撃吸収性はもちろん、反発が感じられるのだ。ズームフライの推進力は、ナイロンカーボンプレートによってもたらされたいると感じていたが、ズーム ヴェイパー フライ 4%は、カーボンファイバープレートに加えて、ズームXフォームも推進力を生み出している、そう感じるのだ。

 走りながら感じていたのは、速く走ろうと思うと速く走れないシューズだということだ。禅問答ではない。中足部あたりで、接地すると自然に体が前に運ばれていく。それは、ズームフライでも感じたことだが、ズーム ヴェイパー フライ 4%はさらにその傾向が強い。フォームの違いが、印象の違いに大きく影響している。ランナーは、推進力が生まれるポイントで接地することだけを意識すれば、自然にスピードは上がる。意識するのは接地ポイントと回数を増やす(ピッチを上げる)ことだけでいい。

 速く走ろうとすると、私の場合、蹴ることに意識がいくので、ベストなポイントで接地するという意識がおろそかになってしまう。また、無理にストライド(歩幅)を伸ばそうとすることも、接地のポイントをずらしてしまうことにつながる。1000mのタイムトライアルは、接地とピッチだけを意識してズーム ヴェイパー フライ 4%で走った。結果は3分42秒。今の私の走力からすれば、十分な速さだ。4%以上の効果をもたらしてくれた。 

 正直にいうと、カーボンファイバープレートとナイロンカーボンプレートの差は、あまり感じるこことができなかった。おそらく、私の走るスピードが遅いからだろう。3分を切るようなスピードで走ることで、その違いを体感できるのかもしれない。

 夕食のあと、ロンドンの世界陸上の400mリレーで銅メダルを獲得した藤光謙司選手(ゼンリン)と設楽啓太選手(日立物流)のトークセッションが行われた。シューズやスピードに関する意識など、短距離選手と長距離選手が考えていることの違いなどをうかがうことができた。非常に興味深い話が聞けたので、日を改めて紹介したい。

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