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2017-10-10

膝のケガとその種類 どう対処する?

現在発売中の『コーチング・クリニック』11月号では、あらゆる競技においてリスクのある膝のケガについて取り上げています。具体的にどのようなケガがあるのでしょうか。膝の名医である、慶應義塾大学医学部スポーツ医学総合センターの松本秀男先生にお聞きしました。

Getty Images

膝の「外傷」と「障害」

 膝のケガは、1回で組織が壊れる「外傷」と、同じ動作を繰り返すことによって痛んだり炎症を起こしたりする「障害」とに大別されます。
 主な外傷は靱帯のケガで、前十字靱帯断裂半月板損傷などが挙げられます。
 一方、障害は、ジャンプと着地を繰り返すことで起こるジャンパー膝や、膝の曲げ伸ばしを繰り返すことで起こるランナー膝などが有名です。
 それから、成長期の子どもに起こるオスグッド病も、障害の1つです。

 前十字靱帯や半月板の損傷は、サッカー・バスケットボール・ラグビー・バレーボールといった、ジャンプや方向転換、ステップを多用する競技に多く見られます。
 また、ジャンパー膝はジャンプを多用するバスケットボールやバレーボール、ランナー膝は陸上競技の特に長距離種目に多いといえます。

もしもケガをしてしまったら?

 膝のケガの診断は、膝を動かしてみないとわかりません。ただし、膝を損傷した直後は痛くて動かせないため、痛みがある程度治まったところで、緩みをチェックします。
 例えば前十字靱帯断裂の場合、手術をしなければ治らないので再建術を行いますが、急性期の炎症が治まり次第すぐに手術しても、復帰までには7〜8ヵ月かかります。
 半月板損傷の場合は、以前は切れたら切除していましたが、近年はなるべく取らずに縫合するようになっています。

 膝のケガを負った後、競技復帰のために一番必要なのは、モチベーションだと思います。
 靱帯は90%の確率で回復しますし、筋力も80%までは戻るといわれているので、「絶対に復帰する」という気持ちが大事です。
 なお、「前十字靱帯を手術するとスピードが落ちる」といわれますが、この一番の要因は筋力低下であり、前十字靱帯そのものがスピードに影響することはありません。

予防と対策をしよう

 スポーツをしていれば、ケガは一定の確率で必ず起こります。そのため、ケガをするからその動作をしない、というわけにはいきません。
 その一方で障害については、同じ動作の繰り返しで起こるものです。将来的に別の問題が起きることを避けるためには、休んで回復させることを優先させるべきといえます。その後は、うまく安静期間をとりつつ、トレーニングも工夫や調整をしながら競技復帰を目指します。

 不運にもケガをしてしまった場合、復帰するために大切なのは自分でできることはすること。例えば、筋力をつけることでケガが防げるのであれば、トレーニングで解決できます。
 また、ありきたりですが、ストレッチングもとても大事です。準備体操はしっかりするようにしましょう。

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