「ボールを奪える」ことは、チームにどんなメリットを与えるだろうか? ここでは、ジュニア年代での「ボール奪取」を掘り下げて学んでいく。技術の成熟と戦術の基礎的要素の習得を目指す東京武蔵野シティフットボールクラブU-15を2016年から率い、15年まで指導したジュニア・チームでは世界大会でも実績を残すなどカテゴリーを問わず活躍している戸田智史・監督に解説してもらう。その2回目は「ボール奪取」の基本として「体の当て方」を解説する。※5回(各回、前編・後編あり)に分けて掲載
(出典:『サッカークリニック』2015年6月号)
上のメイン写真=2018-19シーズンのアヤックスではUEFAチャンピオンズリーグのベスト4進出に貢献したセンターバックのマタイス・デリフト(右。オランダ代表)。19-20シーズンからユベントスでプレーする (C)gettyimages
具体的なボールの奪い方を考えていきましょう。
まず考えてもらいたいのは、ボールを奪うために何をしなければいけないかということです。
ジュニア年代の選手たちがサッカーというスポーツをどうとらえるかにも関係しますが、小学3、4年生くらいまではまだ「僕とボール」という感覚です。ボールがどこにあれ、自分がそのボールにかかわってプレーしようとする傾向があります(下の表)。
ボールを持っている相手が「どうボールを持っているのか」を考えるには至らず、単にボールを足で突っつきにいくことが多く見られるのです。この年代の技術やアジリティーを考えればそれでもボールを奪えるのですが、すぐに行き詰まるはずです。
しかし、5、6年生になると「僕とボール」のほかに「相手」も考えられるようになります。そうすると「相手からボールを奪う」という発想に変わってきます。
「ボールだけでなく相手を見る」、「ボールを奪うというより、まずは相手にボールをコントロールさせないことを考える」というように、相手の自由を奪うようになると言い換えてもいいでしょう。
そのために何をすべきか。答えは「体を当てること」です。
ボールを突っつくことが悪いプレーになるのは、相手がうまいと簡単にかわされてしまいやすくなるからです。1回で抜かれないにしても、足を伸ばしにいくと次の動きをしにくい体勢になっているはずですから、次のタイミングでかわされやすく裏に抜けられてしまうでしょう。
しかし、体をしっかり当てに行けば、当てたタイミングでボールを奪えなくても、体勢が崩れていないのですぐに次の1歩へと動き出せます(下の写真)。相手の次の動きに素早く反応できるので、少なくとも相手の攻撃を遅らせることはできるのです。体を当てて、相手のバランスを崩したり、動きを止めて相手とボールの間に自分の体を入れられればボールを奪えます。その瞬間に自分のプレーエリアを確保できているはずですし、攻撃への切り換えもすぐにできるのです。
ジュニア年代では、相手がドリブルで向かって来る状況では体を当てに行くことを怖がる選手もいるでしょう。しかし、体を正しく当てられれば危険はありません。反対に中途半端に詰めて様子見てしまうほうが、相手が蹴ったボールが至近距離で当たったりしますし、突っつきに出した足を蹴られるなど痛い目に遭うものです。
また「1回で抜かれる不安」があると体を当てに行けない場合もあります。しかしこれは指導者のコーチングの問題だと思います。「体を当てに行って抜かれた場合は良し」とするのです。つまり、相手のスピードや技術に応じて当たりに行ける距離やタイミングや駆け引きをミスから学べるというプラスの経験ととらえるべきです。
ただ、中途半端な入り方をするほうが相手にかわされやすいことはよく理解させたほうがいいと思います。私は「(精神的に)逃げるな。行き切ろう(体を当てるまで躊躇なく詰めること)」と声をかけるようにしていました。怖がらせずにチャレンジさせることが大切です。ボールを奪う守備で必要なのは、「行けるか、行けないか」の判断力と「いつ行くか」という決断力です。それは試行錯誤をする中でつかんでいくものです。
奪いに行かず、じっくりディレイする方法もありますが、それは言ってみればリアクションによる動きです。私は守備でも「奪いに行く」というアクションをジュニア年代に課していいと思います。ジュニア年代からこうした考えを持たせ、プレー強度を高めていくことは当たり前、と強調しておきたいと思います。
手をうまく使う (C)矢野寿明
お尻の横を相手の体に当ててスピードを吸収する (C)矢野寿明
相手とボールの間に体を入れてボールを奪い、自分のプレーエリアを確保。ボールを奪えなくても相手のプレーを限定できる上、自分は体勢を崩していないため、次の動きがより早くなる (C)矢野寿明
(取材・構成/長沢潤)
戸田智史(とだ・さとし)/1976年8月19日生まれ、東京都出身。2002年から横河武蔵野フットボールクラブのスクールコーチ、ジュニアユースコーチを歴任し、08年からジュニア監督を務めた。09年に全日本少年サッカー大会で3位に導き、14年にはダノンネーションズカップ世界大会に日本代表として出場し、初優勝をもたらした。16年から名称を変更した東京武蔵野シティフットボールクラブのU-15で監督を務めている
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