「ボールを奪える」ことは、チームにどんなメリットを与えるだろうか? ここでは、ジュニア年代での「ボール奪取」を掘り下げて学んでいく。技術の成熟と戦術の基礎的要素の習得を目指す東京武蔵野シティフットボールクラブU-15を2016年から率い、15年まで指導したジュニア・チームでは世界大会でも実績を残すなどカテゴリーを問わず活躍している戸田智史・監督に解説してもらう。その2回目は「ボール奪取」の基本として「体の当て方」を解説する。※5回(各回、前編・後編あり)に分けて掲載
(出典:『サッカークリニック』2015年6月号)
上のメイン写真=体が小さくても「もぐる」動きができれば優位に立てる可能性がある。今回は「もぐる」動きを学ぶ (C)gettyimages
私はボールを奪いにいく状況として3パターンを考えています。
1つ目は、正面から相手が来る状況です。この場合で大切なのは、まず、足をそろえないことです。左右どちらに来られても対応できるようにしておくのです。そして、相手にお尻を預けるように、半身になって当て、体を相手の前に入れます。どちらのお尻を当てに行くかは、相手の重心、ボールの持ち方、動く方向によります。先に当てに行ける側のお尻で対応します。
初めは考えながらでもいいですが、練習を繰り返すことで次第に考えなくても反応できるようになっていきます。
また、お尻と同時に手をうまく使うことも大切です。手をうまく使えると、相手のスピードを吸収できますし、その後のプレーを限定することにもつながります。ユニフォームをつかんだり引っぱったりするとファウルになりますが、体を当てながら手のひらで相手の体を押さえることは正当なプレーの一部と見なされます。
ただし、相手のスピードに遅れた状態で体が追いつかずに手だけでいくのは完全にファウルになります。相手のスピードに対応できないようであれば手を出さないように習慣づけることも必要です。
2つ目は、相手が自分の正面とは違う方向にドリブル突破しようとし、並走しながら奪おうとする状況です。この場合は、並走しながら体を当てて、ドリブルしている足からボールが離れた瞬間にスッと相手の体の前に入り込みます(下の写真)。チームではそれを「もぐる」と表現していました。文字通り、相手より重心を低くしてボールと相手の間に「もぐり込むように入れ替わる」という意味です。
3つ目は、相手が背を向けてボールをキープしようとしている状況です。その状況で相手の背後にいたとき、上からかぶさるとファウルになります。相手は半身になろうとしますから、そうなったら並走しているときと同じ要領で、相手の前にもぐってボールを奪いに行きましょう。
「体を当てよう」と言うと、体の大きな選手のほうが有利だと思うかもしれません。しかし、「もぐる動作」は体が小さいほうが有利とも言えます。実際、体の当たり合いでは、サイズよりも軸の強さがカギになります。体の小さな選手が大きな選手に勝てないということは決してありません。

相手とボールの間に体を入れれば、ボールは奪える。体を当て、相手のバランスを崩したりスピードを落とした瞬間にもぐるように体を入れてしまうといい (C)矢野寿明
(取材・構成/長沢潤)

戸田智史(とだ・さとし)/1976年8月19日生まれ、東京都出身。2002年から横河武蔵野フットボールクラブのスクールコーチ、ジュニアユースコーチを歴任し、08年からジュニア監督を務めた。09年に全日本少年サッカー大会で3位に導き、14年にはダノンネーションズカップ世界大会に日本代表として出場し、初優勝をもたらした。16年から名称を変更した東京武蔵野シティフットボールクラブのU-15で監督を務めている
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