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2025-08-08

【陸上】広島インターハイ・男子ショートスプリントで唯一3種目入賞の関大北陽高 “幸運”で得たものを生かし、リベンジへ

男子100mタイムレース決勝3組を走った関大北陽高の杉本(2708)と矢田(2709)。10秒00(+1.7)をマークした清水(1905)らと同組で走った(写真/宮原和也)

7月25日から5日間、広島広域公園陸上競技場で行われたインターハイ。男女各種目で熱戦が続いた。男子スプリント種目もワクワクする記録と勝負の連続だった。盛り上げたのは100mで10秒00をマークした清水空跳(星稜高2年・石川)やリレー二冠の洛南高(京都)によるところが大きいが、ほかに、キラリと光る成績を刻み込んだチームがある。100m、200m、4×100mリレーのショートスプリントで唯一3種目とも入賞を果たした関大北陽高(大阪)だ。

“追い越したい存在”を追い駆ける

100mでは杉本幸太郎(2年)が10秒40(+1.7)で8位に。200mは矢田篤志(2年)が20秒86(+2.7)で3位となり、メダルを獲得。それぞれ近畿大会5位から躍進してみせた。

2人とも、100mも200mも3組に分かれたタイムレース決勝で、清水と同組で競走する“幸運”にも恵まれた。100mタイムレース決勝3組では清水3レーン、杉本4レーン、矢田6レーン。10秒00のスピードに圧倒されっぱなしだったが、それを体感するか、しないかでは得るものが違う。それは、200mタイムレース決勝1組でも清水と対戦した矢田のコメントに表れている。

「速いなというのはもちろんでしたが、前半は食らいついていけたような感じがありました。後半を強くしていくことや、前半の動きでいうと出だしにパワーを使いすぎている感じがあるので、しっかりと冬期練習を積んで、そういうところを改善していけたら、来年勝ちにいくことはできるんじゃないかなと思っています」

今はかなわない相手に“なんとかして勝ってやろう”と挑戦心を持てる思考が頼もしい。

関大北陽高の向上したチーム力の象徴が4×100mリレーだ。近畿大会決勝では4走まで洛南高に先行。0秒04差で惜敗したものの、インターハイでは倒したいという思いを強くした。

インターハイは、5月に39秒87をマークしたときも、近畿大会も4走を走った濱田幸生大(3年)を欠く布陣。それでも予選39秒86、決勝39秒82と“関大北陽新”を連発して、3位に入賞した。

「いいところも、よくないところもメンバーで共有して、当たり前のことを当たり前にできるチームを目指してきました。成長しやすい環境が、この結果につながったのかなと思います」と話したのは、2走の玉井直太朗(3年)。そして「(同じ近畿地区の洛南高を)追い越していかないと勝ちは見えてこないので、来年に向けてもっと強いチームをつくっていけたら」と言う矢田、「来年も機会があるので、優勝を目指して頑張りたい」と言う杉本ら後輩に、“日本一になる夢”を託した。

清水や洛南高の背中には簡単に追いつけないことは分かっている。だが、壁をつくる理由にはならない。関大北陽高が“追い越したい存在”を追い駆けていく。

文/中尾義晴 写真/宮原和也

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