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2025-08-13

【陸上】広島インターハイ・女子100mを制した地元・広島皆実高の松本真奈 秋に「高校記録を狙います」

地元の声援を受け、女子100mを制した松本「本当の勝負」である国スポでは高校記録も狙う(写真/宮原和也)

7月25日から5日間、広島広域公園陸上競技場で行われたインターハイ。3組によるタイムレース決勝となった女子100mは地元・広島皆実高の松本真奈(3年)が11秒42(+3.0)で優勝を飾った。

高校3年間で一番のメモリー

「高校生のなかで一番が取れて良かったです」

7月初旬の日本選手権。決勝には松本真奈(広島皆実高3年・広島)、前田さくら(鳥取敬愛高3年・鳥取)、田中里歩(伊奈学園総合高3年・埼玉)と3人の高校生がスタートラインに立った。
前回女王の君嶋愛梨沙(土木管理総合)がスタートから飛び出すも、中盤から抜け出した井戸アビゲイル風果(東邦銀行)が11秒45(-0.1)で日本選手権初優勝を飾ったレース。高校生の松本は5位、前田が6位、田中が8位という結果になった。

 国内トップ8に残った女子高校生の再戦。その舞台が、7月25日からホットスタッフフィールド広島(広島広域公園陸上競技場)で開催されるインターハイになるはずだった。
しかし、同大会は直前に競技日程と競技方式が変更されるなど、異例の暑さ対策が講じられることになった。スプリント種目は準決勝がなくなり、予選・決勝の2本。決勝は進出者24名によるタイムレース決勝となったため、松本と前田、田中は別の組で走ることとなった。

女子100mのタイムレース決勝は、1組に入った田中が追い風3.1mに乗って高校歴代3位相当となる11秒47をマーク。2組で走る松本にプレッシャーをかけたが、「びびっとる暇はない!」とスタートラインに向かった松本は、それを上回る11秒42(+3.0)でフィニッシュ。3組も前田が11秒47(+2.1)と3人が11秒4台を出したが、タイムレースで松本が地元での初優勝を飾るという結果になった。
「勝ったんかな? というのが正直なところ」
松本にとっては、この言葉が偽りのない感情だっただろう。「楽しみにしていた」というインターハイの再戦は、直接対決のないままの“一番”だった。

松本が陸上を始めたのは、中学の部活動から。小学生のころはフットベースボールやダンスなどをしていたが、「一番になりたい」との理由から陸上競技を始めた。
中学時代は200mで全日中7位。U16大会で150m3位など好成績を収めて、「強くて、楽しく陸上ができそうだから」と広島皆実高へ進学した。

 昨年の福岡インターハイでは4×100mRで3位。秋の佐賀国スポは100m3位、U18大会同4位などを経て、この夏の地元インターハイでようやく手にした個人種目での“一番”。
2週間が経った今でも、「勝ったんかな?」という感覚は拭えていないかもしれない。しかし手にした金メダルは、人生で一度しかない、高校最後の夏に勝ち取った栄冠だ。
「地元インターハイだったからこそ、たくさんの応援に背中を押してもらいました。高校3年間で一番のメモリーです。次の国スポが本当の勝負。これからも一番を狙いたいです」

10月3日から平和堂HATOスタジアム(滋賀・彦根総合スポーツ公園陸上競技場)で開催される国民スポーツ大会で、彼女達は再び、しのぎを削るだろう。「高校記録(11秒43)を狙います」
そう語った松本だけでなく、高校女子の“一番”を13年ぶりに塗り替えるような戦いが見られるかもしれない。

文/新甫條利子 写真/宮原和也

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