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2025-08-14

【陸上】広島インターハイ・男子800mで中京大中京高の鈴木太智が恩師に届けた銀メダル

3年連続で全国の舞台を経験し、やっと届いた表彰台。ここまで支えてくれた恩師に銀メダルを届けた(写真/宮原和也)

7月25日から5日間、広島広域公園陸上競技場で行われたインターハイ。男子800mは大会3日目の予選の記録上位から3組→1組と振り分けられ、4日目にタイムレース決勝が行われた。最終3組は3人が1分49秒台をマークする接戦に。鈴木太智(中京大中京高3年・愛知)は1分49秒27で“恩師超え”を果たし、2位に入った。

3度目のインターハイで届いた表彰台

予選の記録上位8名によるタイムレース決勝3組。前半は集団の後方につけていた鈴木が、500m過ぎからポジションを上げていく。600mで先頭に立ち、後続を引き離しにかかったが、残り100mで菊池晴太(盛岡四高3年・岩手)が前へ。鈴木も懸命に追いかけ、終盤で菊池との差を縮めたものの、わずかに届かず。菊池が1分49秒11で優勝、鈴木が1分49秒27で2位となった。

「抜き返そうと思ったときに、フォームがばらばらになってしまいました。優勝を狙っていたので、悔しいです」

レース後の鈴木は落胆していたが、3分45秒50で10位だった1500mに続いて、2種目で愛知県高校記録を塗り替えたことには達成感を得たという。特に800mでは、鈴木を指導する岩﨑万知先生が、中京大中京高3年時の1995年にマークした1分49秒89を、実に30年ぶりに更新。2018年以降、同校からは5人が1分50秒01~1分50秒30で走っているが、先輩たちが挑戦し続けて惜しくも果たせなかった“恩師超え”を、鈴木がついに成し遂げた。

豊橋東陽中時代には、サッカーと陸上を両立。学校の陸上部に所属しながら、3年時の7月から吉居大和(トヨタ自動車)、駿恭(中央大4年)兄弟らを輩出したクラブチーム「TTランナーズ」で走力を磨き、800mで全中チャンピオンに。高校からは陸上一本に絞り、岩﨑先生のもとで中距離の奥深さを追求してきた。

今季は春先から股関節の痛みが続いて思うように走れず、「気持ちが落ち込んだ時期もあった」と明かす。それでも、「やるしかない。できることをやる」と前を向き、質の高い練習に取り組んできた成果が表れ、1年時のU18大会800mで4位に入って以来の全国入賞を達成した。

熱い指導で知られる岩﨑先生を、尊敬しているという鈴木。「結果が良かったときは一緒に喜んでくれて、悪かったときには慰めてくれる。厳しい面もあるけれど、そのおかげで礼儀や生活面を正すことができました。この結果を一番に報告したい」と、3年間、支えてくれた恩師に銀メダルを届けた。

3年連続のインターハイ出場にして、ようやくたどり着いた表彰台。「1500mと合わせて3日間のレースで、新しい景色を見ることができました。自分のこれからの競技人生を見据えても、大きいと思います」――さらなる高みへと進む道は、明るく照らされている。

文/石井安里 写真/宮原和也

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