アメリカンフットボールのシーズンが始まった。国内トップリーグ・Xリーグの「X1 スーパー」では、開幕節の6試合があり、初の日本一を目指すノジマ相模原ライズが、攻守がかみ合って快勝した。
X1スーパー第1節ノジマ相模原ライズ○41-17●オリエンタルバイオ シルバースター(2025年08月31日@富士通スタジアム川崎)かっては延長タイブレークを繰り返したこともある両チームだが、この試合は一方的となった。先制はノジマ相模原。最初のオフェンスシリーズからQBカート・パランデックのパスが次々に決まり、WR小林岳史へのTD(タッチダウン)パスで仕上げた。直後のシルバースターのオフェンスで、ファンブルさせリカバー。ターンオーバー後のファーストプレーで、QBパランデックからWRテイ・カニンガムへ29ヤードのTDパスが決まった。ノジマ相模原は第2クオーター2分にもRB吉澤祥のTDランで加点。シルバースターの反撃をFG(フィールドゴール)1本に抑えて、21-3で折り返した。

第3クオーター、QBパランデックは自陣内のファーストダウンで、WRカニンガムにクイックスラントのパスをヒット。本来は10ヤードを取るためのパスだが、カニンガムのスピードに誰もついていけず61ヤードの独走TDとなった。ノジマ相模原はその後もオフェンスが手を緩めずに加点し30点以上の大差となった。第4クオーター半ばから、シルバースターがTD2本を返したが、勝敗はほぼ決した後だった。
強敵に、最大の手ごたえで挑むパランデックは2020年、新型コロナ感染症の年に、ノジマ相模原に加入。例年春シーズンから来日してチームに帯同する、研究熱心なQBだ。パスの精度を上げるため、一時期は封印していたランをこの試合では解禁。7キャリー65ヤードで、シルバースターディフェンスをかく乱した。
肝心のパスは、15/22で227ヤード。快速WRカニンガムへの2本を含む3TDでインターセプトは無く、ラン以上に良好な仕上がりとなった。 

城ヶ滝一朗HCは、それでもまだ甘いと見る。3回目のドライブで相手陣内まで攻め込みながら反則などで下がり、前半唯一のパントとなったからだ。
「あそこでもう1本、TDを取っていたら、次のTDまで、4シリーズ連続TDとなって、前半で勝負を決めることができた」という。
決してハイスコアオフェンスを志向しているのではない。富士通やパナソニックに勝つためには、手を緩めないフットボールが必要だと分かっているからだ。

2019年からの5シーズン、ノジマ相模原の開幕戦の相手は、パナソニックか富士通だった。2021年には、富士通、パナソニック、オービックと1カ月で3連戦するという、過酷すぎる日程で戦ったこともある。
ノジマ相模原のようなクラブチームと、パナソニック、富士通という企業チームの差が最も顕著に出るのは、攻守ラインのタレントと、全体的な選手層だ。シーズンのスタートから、巨大戦力の強豪チームと対戦し、スキームを壊され、負傷者が続出し、自分たちのフットボールができないままシーズンが終わってしまう。その辛酸をなめてきた。
昨年から対戦方式が変わり、開幕からの過酷な日程が消えた。選手層も厚くなり、ようやくノジマ相模原のやりたいフットボールができるようになってきた。
ノジマ相模原の次戦の相手は富士通。昨年は前半終了時に13-10とリードしながら、後半にWRサマジー・グラント、RBトラショーン・ニクソンというスター選手の能力が生み出したTDで逆転され、突き放された。今季はどうなるか。城ケ瀧コーチはこれまでで最も大きな手ごたえを持って、富士通戦に臨むことになる。



