※上のメイン写真=ロシア・ワールドカップに向けてトレーニングに励むスペイン代表の選手たち。
写真/gettyimages
ランデル 私は、タレントはある意味で持って生まれたものと言えるでしょうが、生まれ持っているだけでは十分ではないと思います。タレントは誰にでもあり、環境によって輝きを増したり、失ったりするものだと確信しています。そのために重要なのは、創造性を発揮できる自由を指導者が選手に与えることです。いつの時代でも、「選手は指導者を驚かせる存在」、これを忘れてはいけません。
ランデル 仮に、自由を与えないのであれば、指導者自身がサッカーを破壊していることになります。なぜなら、「コントロールできる部分はとても小さい」、それがサッカーの現実なのです。主役は選手です。選手にプレーする責任を理解させ、自分の力でプレーするように導かなければいけません。
例えば、パスを通すことが目的であれば、その手段や方法は選手自身が選べばいいのです。プレーの目的や到達地点は伝えるにしても、その過程は選手の選択にゆだねるべきなのです。
ランデル 人は、自分が知らないことに対して恐怖を感じることがあります。「選手のほうが自分より優れているのではないか?」と感じると、指導者は威厳を示そうとしたり、選手を押さえつけたりしようとします。それは選手のためになりません。「選手は自分を驚かせてくれる存在」、「いろいろなことを教えてくれる存在」ということを受け入れなければなりません。そうすることが、「タレント育成の第一歩」だと考えています。
ランデル 確かに、失敗に終わることもあるでしょう。また、タレントを持っている選手と持っていない選手がいるのは事実かもしれません。しかし、誰がどのようなタレントを持っているかを見極めるのは簡単ではありません。そして、タレントを育てるにはタレントの芽が出てくる環境が不可欠です。少なくとも、押さえつけることでタレントが伸びることはないでしょう。
ランデル その質問に答えるのは簡単ではありません。タレントが表出するまでの過程にもいくつかのプロセスがありますし……。
レアル・マドリードのGMだったホルヘ・バルダーノは「ラウル・ゴンサレス(元スペイン代表ンのFW)はユース時代、最良の選手ではなかった」と言っていました。それでも、本人の努力、環境、躾、人間性など、いろいろな要素が絡み合った上でトップレベルの選手になったそうです。私も人間性の影響は大きいと思います。まあ、サッカーでは「ちょっと生意気」くらいの選手のほうがタレント性を発揮したりしますから(笑)。
ランデル でも、そういう選手のコントロールは難しい(笑)。
バルダーノは、R・マドリードの監督時代の話もしていました。あるとき、選手が不足し、ユースの選手で補充することになったそうです。候補は2人。1人はキャプテンで非常に真面目、スタッフの評価も高い選手でした。もう1人は、挨拶もまともにできないが、とてつもないタレントを秘めた選手でした。バルダーノは言ったそうです。
「挨拶は俺ができるようにするから、その才能を持った選手を上げてくれ。挨拶は教えることができるが、タレントは教えられるものではない」
スペイン代表にもなったグティの話です。
概して、リスクを冒さないことが最もリスキーな行動になります。まずは、選手が持っている才能を信じてあげるべきでしょう。

左写真:ランデル・エルナンデス・シマル(LANDER HERNANDEZ SIMAL)/1976年、スペインのビルバオ生まれ。20年以上の指導キャリアを持ち、日本に関する知識も豊富。2002年からアスレチック・ビルバオの育成部でプロコーチとして働いている。また、選手向けのクリニックと指導者講習会で日本での指導経験もある。『スペイン公認上級ライセンス(日本のS級に相当)』保持者で、弁護士資格も保有している
右写真:倉本和昌(くらもと・かずよし)/1982年、広島県生まれ。広島市立舟入高校卒業後にスペインへ渡り、2009年に日本人最年少で『スペイン公認上級ライセンス(日本のS級に相当)』に合格し、同年、帰国した。湘南ベルマーレや大宮アルディージャの育成コーチとして活躍した。現在は指導者向けのセミナーを開催している
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