※上のメイン写真=ロシア・ワールドカップに向けてトレーニングに励むスペイン代表の選手たち。
写真/gettyimages
ランデル その通りだと思います。
ランデル 確かに、変化する状況に対応するという点に関し、日本人はやや柔軟性を欠いている気がします。ボールを持っていないときにそれは顕著になりますが、「状況は変化し続けているのに、自分はほとんど変化していない」ということがあります。そのため、ボールが来てから対処しようとして遅れたり、事前に決めていたことをやろうとして失敗したりします。
ハードルを飛び越えるとしましょう。その高さが変化すれば、それに合わせて飛び方も変えますよね?
当然、サッカーでもそうしたことは求められます。
ランデル もちろん、状況や状況の変化に合わせることは口で言うほど簡単ではありません。
ランデル 低年齢では反復練習も必要です。しかし、サッカーの競技特性を考えると、変化する状況に選手は対応し続けなければなりません。その変化を読み、正しい判断を下していかないといけないのです。
反復練習をやり続けることの弊害は変化に対する適応力が身につかないことです。常に同じ状況、同じ設定で練習していて、対応力が身につくでしょうか? 確かに、変化に対応しなければいけない練習では、最初、選手はうまくプレーできないかもしれません。しかし、選手は徐々に慣れていくはずです。選手のレベルに合わせて簡単なものから複雑なものへと難易度を上げていけば、選手は順応してくれるはずです。その中で選手は、状況を正しく解釈できる能力、そして変化し続ける状況に適応できる能力を身につけていくのです。
ランデル 最初から取り入れるべきだと思います。サッカーに特化した練習ではなくとも、サッカーのプレー解釈能力を向上できる練習はいくらでもあります。そこには、「鬼ごっこ」や「ハンドパス・ゲーム」というものも含まれます。
ランデル 別の角度からプレーを理解してもらいます。
サッカーではプレー自体が非常に複雑です。選手は周辺を見ながら判断し、しかも足でボールを扱わなければいけません。さらに、多くの情報を収集し、異なる刺激を処理しなければならないのです。最初からそうしたことはできないので、簡単な状況から始めて情報処理の習慣を身につけていくといいでしょう。
左写真:ランデル・エルナンデス・シマル(LANDER HERNANDEZ SIMAL)/1976年、スペインのビルバオ生まれ。20年以上の指導キャリアを持ち、日本に関する知識も豊富。2002年からアスレチック・ビルバオの育成部でプロコーチとして働いている。また、選手向けのクリニックと指導者講習会で日本での指導経験もある。『スペイン公認上級ライセンス(日本のS級に相当)』保持者で、弁護士資格も保有している
右写真:倉本和昌(くらもと・かずよし)/1982年、広島県生まれ。広島市立舟入高校卒業後にスペインへ渡り、2009年に日本人最年少で『スペイン公認上級ライセンス(日本のS級に相当)』に合格し、同年、帰国した。湘南ベルマーレや大宮アルディージャの育成コーチとして活躍した。現在は指導者向けのセミナーを開催している
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