close

2017-11-07

サッカーに必要なPLAY(遊び) 2/2

サッカーという競技に特化したトレーニングを始める前に、
子供時代にしっかりとやっておくべきことがある。
それはPLAY。「遊び」を通じて選手としての土台をつくるべきなのだ。
第1章では将来、プロのサッカー選手として活躍するために
必要とされる学習(練習)の適切なプロセスと順序を考える。
(出典:『ジュニア年代の考えるサッカー・トレーニング 6』)

 次に、サッカーを理解し、学んでいく上でもとても重要な言葉を考えていきましょう。

 それは「PLAY」です。

 サッカーでも「プレー」という言葉は使われますが、PLAYは「遊び」という意味も持っています(スペイン語では、『JUEGO<フエゴ>』)。
 私は指導者には、PLAYの意味を選手にうまく伝えられるようになってほしいと考えています。若い選手がPLAYを正しく理解して楽しむことがのちのち、戦術や戦略に対する理解を助け、スポーツを本当に楽しめるようにもなるでしょう。それは、サッカーを競技としてプレーしていく上でもきっと役立つはずです。
 とりわけ4歳から7歳の時期は、たくさんのPLAYを通じて多くのことを学ぶのに最適だと言われています。サッカーばかりせず、いろいろなPLAYやスポーツに取り組むことが理想とも言われています。
 この時期には、「スポーツに真面目に取り組まなければいけない」と堅苦しく考えず、楽しみながらPLAYすることが重要なのです。こうした経験がサッカー選手としての土台をつくり、ポテンシャルを広げるのです。ですから、「遊びに意味はない」と考えるのは大きな間違いです。分かりやすい例を挙げれば、PLAYは体の調整力(コーディネーション能力)を高めてくれます。
 PLAYでは正しい技術や動作、そして無意識化を求めるべきではありません。

「今の動きは正しくない」

 遊んでいる子供にこう言う保護者はいないでしょう。安全な範囲であれば、自由に遊ばせるはずです。言うまでもなく、この「自由な遊び」があらゆるスポーツの原点になっているのです。
 強調しておきますが、PLAYで得られるのは楽しさだけではありません。PLAYを通じ、子供は自分の感情や気持ちを表すのです。そして、周囲の人との信頼関係を築いたり、物体と自分の体との関係性を理解したりするなど、PLAYしながら自分がいる世界を理解し、無意識のうちに学習能力も強化しているのです。
 ブラスケスという人物はチーム・スポーツを3つのPLAYに分けています。

❶シンプルな組織の中でのPLAY

❷決まり事がある中でのPLAY

❸ルールがある中でのPLAY

シンプルな組織の中でのPLAY③ 「ボールを使った鬼ごっこ」

進め方:指導者が状況を見極めてボールと鬼の数を決めて実施。図では逃げる側は6人、使用球は1つ、鬼は2人。鬼はボールを持っている選手にタッチできないので、逃げる側は鬼にタッチされないようにボールを動かす

 では、「シンプルな組織の中でのPLAY」について説明していきましょう。
 求められるのは次のことです。
【自発的コミュニケーション】
 仲間と一緒に進めることよりも、個人で行なうことのほうが多い。そのため子供は、他人に負けないようにすることを意識し、より速くできるように試みる。
【スペース】
 分かりやすく区切る(ラインではっきり分ける)。
【ルール】
 シンプルにする(誰でもすぐに理解できるもの)。
【作戦・戦略】
 初期段階では戦術を必要としない。シンプルな組織の中で個人の判断力と体の調整力を身につけることが目標になる。

「シンプルな組織の中でのPLAY」としてこの記事では3つのトレーニングを紹介しています。読者の方々が子供の頃に体験したものもあるでしょうし、日々のトレーニングにすでに取り入れているものもあるでしょう。現在でもPLAYはサッカーに役立っているのです。
 それでは、次の質問を考えてみてください。

「心(思考)と身体(動作)を結びつけることはサッカーをプレーする上でどのような効果をもたらすのでしょうか?」(Q1)

「PLAYは、どのようにしてトレーニングの中に組み込むべきなのでしょうか?」(Q2)

「PLAYを含んだトレーニングは選手にどのような効果をもたらすのでしょうか?」(Q3)

「PLAYの要素の入ったトレーニングを通じてどのような能力を伸ばすことができると思いますか?」(Q4)

「優れたサッカー選手にする上でPLAYはどのような効果があると思いますか?」(Q5)

「トレーニングにおいてどのタイミングで行なうのがベストだと思いますか?」(Q6)

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事