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2017-11-07

サッカーに必要なPLAY(遊び) 1/2

サッカーという競技に特化したトレーニングを始める前に、
子供時代にしっかりとやっておくべきことがある。
それはPLAY。「遊び」を通じて選手としての土台をつくるべきなのだ。
第1章では将来、プロのサッカー選手として活躍するために
必要とされる学習(練習)の適切なプロセスと順序を考える。
(出典:『ジュニア年代の考えるサッカー・トレーニング 6』)

 この本の方向性を理解してもらうためにジョゼップ・グアルディオラ監督(マンチェスター・シティ=イングランド)のコメントを紹介したいと思います。

「私は13歳か14歳くらいになってようやくサッカーを理解し始めたと感じています。それまでは『ただボールを蹴っているだけ』、『ただサッカーをしているだけ』という感じで、局面、局面で起こった現象について考えたことがありませんでした。しかし13歳か14歳になったとき、状況と原因を論理的に指導者が説明し、しっかり教えてくれました。
 しかし多くの選手は、こうしたことに対する十分な説明を受けることがありません。指導者はそういうことの指導に関して興味をまったく持っていなかったようなのです。実際、幼い頃から『もっと戦え!』、『勝て!』とばかり言われてきました。
 現在もそうした指導者はいるでしょう。そのような指導を受け、ラッキーにもスペインの1部リーグでプレーできたとしても、その選手はサッカーというものの深い部分を理解せずにプレーしていることになります。それは、とてももったいないことだと思います。そして、そういう状況を考慮すれば、『本当の意味でサッカーを語る』ということは非常に難しいことと言えるでしょう」

 この本で私が伝えたいのは育成年代における学習プロセスです。
選手たちが「いつ」、「どのように」、「何を」学ぶべきかについて考え、さまざまな学習方法に関して掘り下げていきます。さらに、指導者として知っておきたいコミュニケーションやリーダーシップ、そして「心と身体」の結びつきや学習能力とそのシステムについても触れていきたいと思います。
『考えるトレーニング』シリーズの1から5で多くのトレーニング・メニューを紹介し、この本でも理解を深めるためにトレーニング・メニューを紹介します。

 しかし、トレーニング・メニューが主役になることはありません。あくまでも、主役は選手であり、選手の抱える課題に対処する際に大きな役割を果たすのは「クラブの哲学」です。

 そして選手育成には「クラブ全体で哲学を共有していること」が大切なのです。さらに、選手がパフォーマンスを高めていくには「適切な指導を自発的に受けること」と「自己批判できること」が欠かせません。それが可能となる環境を指導者と周囲の大人はつくらなければいけないのです。
 私は、サッカーの指導に限らず、「心(思考)と身体(動作)」を切り離して考えるべきではないと考えています。「どのように動くのか?」、「なぜ動くのか?」、「どこで動くのか?」、「何のために動くのか?」と選手は考えるべきであり、プレーと心(思考)、そして頭脳を切り離して考えるべきではありません。実際、心(思考)がフィジカル面に与える研究も進んでいますし、動作に対する影響も研究されています。

シンプルな組織の中でのPLAY① 「4分割での氷鬼」

進め方:図のようにグリッドを4分割し、各エリアに1人の鬼を配置する。鬼はエリア移動できないが、鬼以外はエリア移動可能。そのルールの中、鬼にタッチされた人はその場で「凍らなければならない(動けない)」。ただし、鬼以外の人にタッチしてもらえたら再び動いてもいい

シンプルな組織の中でのPLAY② 「警察と泥棒」

進め方:同人数の2チームで行なう。一方のチーム(警察)は相手チーム(泥棒)の選手にタッチし、刑務所(中央)に連れて行く。泥棒チームは警察から逃げながら、刑務所の仲間にタッチして救い出すことを目指す。また、角にある4つのエリアは泥棒チームのセーフティー・エリア(タッチされない。状況によっては滞在時間や回数に制限を加える)

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