昨シーズンまでオランダのVVVフェンロでコーチとして働き、2部優勝と1部復帰に貢献したのが元日本代表の藤田俊哉だ。2017ー18シーズンからは戦いの場をイングランドに移す。リーズ・ユナイテッドに所属し、アジアとイングランドの架け橋役を務めつつ、プレミアリーグへの昇格を目指すこととなった。『サッカークリニック』11月号に掲載されているインタビューの抜粋を紹介する。
藤田 (イングランド2部リーグに所属する)リーズ・ユナイテッドの『ヘッド・オブ・フットボール・デベロップメント アジア(Head of Football Development-Asia)』という部署で働きます。イングランドと日本やアジアの懸け橋になるような仕事をすることになると思います。
藤田 新たな挑戦です。いつかはヨーロッパの3大リーグ(イングランド、イタリア、スペイン)のクラブで仕事をしたいと考えていたので、いい機会だと感じました。 特にイングランドでは監督をマネジャーと呼びます。監督業務にはフィールド上の仕事だけでなくフロントサイドの仕事も含まれるため、クラブに関わる業務を学ぶことも有意義で自分の成長につながると考えましたまた、プレミアリーグを目指すリーズ・ユナイテッドのビジョンに魅力を感じました。
藤田 ウオーミングアップが日本よりも短いです。ウオーミングアップの目的は体を温めていき、本格的なトレーニングにスムーズに入れるように行なうためのシンプルなものになっており、軽いランニングやステップワークを行なうことが多いのです。長めのランニングを行なうこともありますが、短めのウオーミングアップとボール回しで体を温めるのです。
藤田 いいえ、ありませんでした。それは、オランダでプレーしたときに選手として経験していましたし、元々、入念にウオーミングアップをしたい選手でもなかったからでしょう。しかし、ウオーミングアップを念入りにしたい選手は面めん食くらうかもしれません。しかし、それもその国のスタイルです。たかがウオーミングアップかもしれませんが、馴な染じめなければ、それは適応できないということを意味します。
藤田 オランダの育成年代を見ると、環境は整っているのですが、練習回数は少ないですし、テンションが非常に高いわけではありません。「メリハリを持って行なう」というイメージです。
とは言え、素晴らしい選手が育っているわけですから練習の回数だけがカギというわけではないのでしょう。
海外のサッカー関係者は「(日本は練習を)やりすぎだ」と言います。しかし、それぞれの環境、選手の特性を考慮しなければなりませんので、両国の優劣を簡単に決めることはできないです。なぜなら、それらが両国のスタイルだからです。文化や環境などの影響を受けながら生まれたのがスタイルなのです。オランダ人から見れば日本の練習は「多すぎる」となるでしょうし、日本からオランダの練習を見れば「少なすぎる」となるでしょう。 海外で活動している私も「どちらがいいです?」というような質問を受けますが、決められるものではないのです。文化や環境が違いますし、どちらにも優れている点があるからです。学ぶべき点は取り入れるにしても、すべてをマネする必要はないでしょう。
とは言え、日本に戻って感じるのは苦労して練習場を探しているクラブチームが多いということです。Jクラブのアカデミーや組織の整ったクラブ以外は環境的にとても厳しい状況だからです。日本サッカー界の問題点として考えるべきだと感じています。
藤田 技術は戦術などを表現するための道具と言われたりします。ただし、個人的には多くの道具を持っている選手、つまり多くの技術を持っている選手のほうが有利なのは当然だと感じています。例えば、家を建てる際に、カンナだけではできないと思うのです。どの世界にも天才的な方はいるので、できると言う人もいるかもしれませんけど(笑)、僕はノコギリやトンカチも必要だと思うのです。ゴルフだっていろいろなクラブを使います。
サッカー選手は体を使ってボールに触るテクニックをいろいろと持っていたほうがいいと思うのです。アクションに結びつけるための技術は多彩なほうがいいでしょう。技術を捨ててしまったサッカーほど味気ないものはないと考えています。もちろん、その技術を使い分けるための判断力もサッカーの大切な要素です。そして、最良の選択をできるように促すのは指導者の仕事とも言えます。
見み栄ばえのいい技術がないとしても優れた選手はいます。キックミスをしない選手がいれば、それは素晴らしい選手です。リフティングはできなくてもいいかもしれませんが、浮いたボールのコントロールはリフティングと深い関係にあります。こうした点は考え方とも言えます。
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