小井土 柏レイソルでテクニカル・スタッフとして分析業務にあたっていた頃、清水の監督となる長谷川監督に声をかけてもらいました。当時は澤登正朗さんや斉藤俊秀さん、伊東輝悦さん、森岡隆三さんらの元日本代表選手が現役でした。コーチという立場とは言え、すごく恐れ多かった印象があります。また、2005年の高校卒ルーキーには、岡崎慎司、枝村匠馬、岩下敬輔など、いい若手がそろっていました。長谷川監督にとっては大きな仕事だったと思いますし、私は「自分に何ができるか」を必死に考えていました。
小井土 私は長谷川監督のサッカーをよく理解している立場でしたし、映像作成もできます。
例えば、澤登さんが思っているいいプレーと長谷川監督が求めているいいプレーが違ったとき、長谷川監督が言うのではなく、私が澤登さんに映像を見せて、「こういう動きを長谷川監督は求めています」といったアプローチをし、積み重ねていきました。すると、「小井土は常に物事を客観的に見ているし、彼の言っていることは一理ある」と思ってもらうことが徐々にできていったのです。
小井土 そうですね。チームが勝つことが自分の評価にもつながるはずです。たとえ脚光を浴びるような仕事ではなくても、「自分も関わっているぞ」と自覚していればやる気を失うことはありませんでした。
小井土 自分にやれることをまず考え、どのようにして得意分野を活かし、組織に貢献したり、組織を円滑に動かすかを考えていったのです。ほかには、「長谷川監督はこんな感じで物事を見ているけれど、自分が監督と同じ視点で物事を見てしまったら選手は苦しいはず。視点を少し変えてみよう」という感覚で、監督が話をしている隣で視点をずらし、何かに気づこうとする姿勢は持つようにしていました。このような考え方でコーチを務められたのも、長谷川監督が「お前の好きなようにやれ」と言ってくれたおかげです。
小井土 長谷川監督が清水の監督を辞めてからG大阪の監督になるまでの2年間、私は博士号を取得するために筑波の大学院に再び通っていました。そのときはコーチング学を勉強し、将来は大学の教員になることを決めていたのです。そんなタイミングで長谷川監督から声をかけてもらい、喜んでコーチになったのですが、コーチに就任した年の9月に、6月の公募に応募していた結果が出て、筑波の職員になれる合格通知が届いたのです。長谷川監督に伝えたところ、快く送り出してくれました。長谷川監督にはすべての面で感謝の言葉しかありません。
2014年に母校である筑波大学に教員として戻り、14年のシーズン途中から蹴球部の監督を務める
小井土 2014年の肩書きはヘッドコーチでした。しかし、成績が振るわず、シーズンの途中から私が監督を務めることになったのですが……、チームを関東大学リーグ2部に落としてしまいました。申し訳ないという思いしかありません。OBの方々、選手たちも一生懸命やってくれたのに勝たせてあげられませんでした。「自分には何が足りなかったんだ」とずっと考え込んでいました。「歯車がかみ合わない」とはこういうことなんだなと思いました。
小井土 先頭に立って周りを引っ張れるタイプではないことを理解した上で、自分にできることを考えていました。筑波では私もOBで、選手たちの先輩にあたります。そのため、「監督と選手」というよりも、「先輩と後輩」という間柄であり、同じ血を引き継いでいる者同士という感覚でいます。筑波を誰よりも愛し、一生懸命に取り組む姿勢を見せることしかできないと思っていました。
小井土 1人のリーダーがみんなを引っ張っていく組織より、みんなが一人ひとりの顔を見て、「自分が何とかするんだ」という空気感にするほうがいいと思うのです。すべてのことを見るのは物理的に無理なことでもあります。また、「筑波のあり方」として、選手だけでなく、指導者、サッカーに関わる人々、そしてスポーツに関わる人々も育成するというものがあります。であれば、「誰かが監督でなくなったら、チームはまたバラバラ」となってしまうのは良くありません。その監督の指導法が間違っていたことの表れです。そうではなく、「筑波の中で自分がやるべきことをやる」という考えに至りました。
小井土 謙遜でも何でもなく、「小井土監督のおかげ」や「小井土監督に育てられた」と、誰にも思ってもらわなくていいのです。筑波で伸び伸びとサッカーをし、育っていった指導者たちが、しっかりとした言動のできる人物であってくれればいいのです。そういった人物を続けて育てられる指導者になりたいです。理想は、私の言葉をきちんと聞いてくれて実践しながらも、個性を失わない人間です。そんな選手が何人も出てきてくれることが私の理想です。
(取材・構成/安藤隆人、写真/関東大学サッカー連盟・飯嶋玲子、安藤隆人)
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