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2025-11-02

【アメフト】都立西執念の3点差勝利で関東大会2回戦へ QB泉がバランス攻撃を展開、主将大島のFGが決勝点に

春に続き関東大会の初戦を突破。核として活躍した主将TE/LB/K大島(89)、QB泉(12)、RB荒木(23)=撮影:北川直樹

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第56回全国高等学校アメリカンフットボール選手権大会・関東地区1回戦は、11月1日に早稲田大学東伏見グラウンドで行われ、東京4位の都立西高校が神奈川3位の法政大学第二高校を16-13で下した。都立西は前半に築いた13点のリードを守り切り、2回戦進出を決めた。QB泉一誠(3年)を中心としたバランスの取れた攻撃に加え、主将LB大島健司(3年)が決勝点となるFGを成功させた。法政二はQB谷﨑椋介(3年)が2本のTDパスを決めて後半に猛反撃を見せたが、及ばなかった。【北川直樹】

都立西高等学校○16-13●法政大学第二高等学校
(2025年11月1日@早稲田大学東伏見グラウンド)

都立西が先制点を奪い前半をリード


法政二のキックオフで開始した試合は、都立西が自陣35yd付近まで戻し、最初の攻撃シリーズを開始した。

QBの泉を中心に、都立西はランとパスを織り交ぜたバランスの取れた攻撃を展開。RB荒木泰然(3年)の力強いランと、泉のショートパスで着実に前進を続けた。

都立西は敵陣深くまで攻め込むと、4分すぎに荒木が左サイドに展開したオープンのランでディフェンスを振り切り、エンドゾーンへ飛び込み先制TDを決めた。TFPのキックは失敗したが、6-0とリードを奪った。

法政二の攻撃は、都立西ディフェンスの堅い守りに阻まれパントに追い込まれる。第1Qを都立西が6-0でリードして終えた。

第2Qに入っても、都立西は攻撃の手を緩めなかった。第2Q早く、敵陣8yd地点まで攻め込んだところで、泉がランフェイクから左サイドへ展開。ディフェンスの一瞬の隙を突き、エンドゾーンに走り込んだWR溝口敬太(3年)へパスを投げた。溝口は完璧なタイミングでキャッチし、2本目のTD。TFPのキックも成功し、13-0とリードを広げた。

法政二も反撃を試みる。敵陣49yd付近からの攻撃で、スクリーンパスを使って前進を図ったが、都立西のCB生田允(2年)がフラットゾーンのパスコースに割って入り、見事にインターセプト。法政二の反撃の芽を摘み取った。

生田のこのプレーは、試合の流れを決定づける重要なポイントとなった。前半を都立西が13-0でリードして折り返した。

RB荒木が序盤によく走りペースをつくった=撮影:北川直樹
RB荒木が序盤によく走りペースをつくった=撮影:北川直樹

後半は法政二が猛追、都立西が逃げ切る

後半に入ると、法政二が息を吹き返す。自陣40yd付近から攻撃を開始すると、QB谷﨑がショートパスと中央へのランプレーを組み合わせて着実に前進。5分、谷﨑自身のキープで敵陣16yd地点まで一気に駆け上がった。

7分、法政二は4thダウンでギャンブルを仕掛けて勝負に出る。谷﨑はエンドゾーンの際に走り込んだWR寺嶋凪斗(3年)へパスを投げ、見事にTD。TFPのキックも成功し、13-7と6点差まで詰め寄った。

都立西も応戦する。敵陣33yd付近からの攻撃で、泉のスクランブルと荒木のランで前進。ゴール前まで迫ったが、法政二ディフェンスに阻まれTDには届かなかった。第4Q 3分に主将LB大島が確実にFGを決め、16-7とリードを9点に広げる。

そして試合は最も緊迫した展開を迎えた。9点差を追う法政二は、自陣30yd付近から攻撃を開始。QB谷﨑がWR寺嶋、WR遠藤駿汰(2年)に連続してパスを通し、さらに自身のキープで敵陣11yd地点まで前進した。

試合残り時間2分、谷﨑は右サイドにロールしながらエンドゾーンに走り込んだ遠藤にパスを投げた。遠藤がボールに飛びつきTD。TFPのキックは失敗したが、16-13と3点差まで詰め寄った。

法政二はオンサイドキックを試みたが、都立西がハーフライン付近でリカバー。都立西は攻撃権を得ると、ランプレーで時間を消費していく。

4thダウン12ydとなり、都立西はギリギリまで時計を回して残り時間11秒でタイムアウトを取った。再開後、パントフォーメーションから泉が右サイドのウイングに入ったWR舟根慧(2年)へのパスを成功させ、ダウンを更新。舟根はフィールド内でダウンし、そのまま試合終了となった。都立西が16-13で法政二を下し、関東大会2回戦進出を決めた。

主将LB大島のFGが決勝点になった=撮影:北川直樹
 DSC03781 主将LB大島のFGが決勝点になった=撮影:北川直樹

光った攻守の勝負強さと文武両道

都立西は序盤戦を有利に進めたオフェンスと、法政二のランプレーをしっかり抑え込んだ守備フロントの活躍が光った。

オフェンスを率いる泉は高校界で随一の能力を誇るQBで、パスとラン双方が非常に優れている。春まではパスの印象が強かったが、秋になってランの力強さが増し、兄の岳斗さん(都立西→京大24年卒)を彷彿とさせる走りを見せた。ディフェンスでは野田幹人(2年)、主将の大島、伊藤健悟(2年)らLB陣が抜群の働きで法政二の攻撃を止めた。

東京都屈指の進学校である都立西は、春に続いて関東大会に出場。8人いる3年生全員が部活を継続し、関東大会と受験勉強を両立しながら難関大の受験に臨む。彼らは、まさに文武両道を体現している。顧問の尾崎幸一教諭は、試合後のハドルで選手に向かって「ここまでは春の大会でも来た。次の試合をしっかり勝って更に上を目指そう」と語った。

都立西は次戦、11月8日(土)に駒沢第二球技場で埼玉・茨城・千葉地区1位の立教新座高校と対戦する。

試合後、顧問の尾崎幸一教諭が選手に語りかけた=撮影:北川直樹
試合後、顧問の尾崎幸一教諭が選手に語りかけた=撮影:北川直樹

要所でのキャッチが光ったWR大土井亮佑(3年)=撮影:北川直樹
要所でのキャッチが光ったWR大土井亮佑(3年)=撮影:北川直樹
 
都立西のオフェンスを支えたオフェンスライン=撮影:北川直樹
都立西のオフェンスを支えたオフェンスライン=撮影:北川直樹

 2本目のTDを決めたWR溝口=撮影:北川直樹
2本目のTDを決めたWR溝口=撮影:北川直樹

 LBの野田がナイスタックルで法政二RB重野譲志(2年)を仕留めた=撮影:北川直樹
LBの野田がナイスタックルで法政二RB重野譲志(2年)を仕留めた=撮影:北川直樹

 法政二WR寺嶋が第3Qに反撃の狼煙となるTDパスをナイスキャッチ=撮影:北川直樹
法政二WR寺嶋が第3Qに反撃の狼煙となるTDパスをナイスキャッチ=撮影:北川直樹

泉はパスだけではなく鋭く力強い走りも見せた=撮影:北川直樹
泉はパスだけではなく鋭く力強い走りも見せた=撮影:北川直樹 

大島、伊藤ら守備フロント陣が法政二のランをよく抑えた=撮影:北川直樹
 大島、伊藤ら守備フロント陣が法政二のランをよく抑えた=撮影:北川直樹

 ラン、パスで奮闘した法政二QB谷﨑=撮影:北川直樹
ラン、パスで奮闘した法政二QB谷﨑=撮影:北川直樹

 
都立西出身でUCLA、オービックで活躍した庄島辰尭さんがコーチを務めている=撮影:北川直樹
都立西出身でUCLA、オービックで活躍した庄島辰尭さんがコーチを務めている=撮影:北川直樹

北川直樹

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