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2025-12-01

【しゅりんぷ池田のカード春秋】FUSION 2025(第4回)10代の捕手が1試合2本塁打

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時たま思わぬ選手が急に台頭して驚くことがありますが、今季ロッテの正捕手となった寺地隆成がまさにそれに当たります。しかし、筆者も開幕前から、この選手は今年活躍するかもしれないぞと期待して「ルーキーエディション2025」の「New Face」で同選手をカード化していたのでした。なにしろ、高卒1年目の昨年イースタン・リーグで2位の打率.290をマーク。シーズン最終盤の10月に初昇格を果たし、プロ初安打を放っていたからです。

そして、迎えた今季は開幕一軍を果たし、4月18日の楽天戦の3回に早川隆久からプロ初本塁打を放つと、8回に今度は藤平尚真から2号ソロ。寺地はこの時点で19歳7カ月だったのですが、10代の捕手が1試合2本塁打を放つのは57年の山本八郎(東映)、80年の香川伸行(南海)、06年の炭谷銀仁朗(西武)に次いでプロ野球4人目の記録となったのです。

No.11 寺地隆成(ロ)
No.11 寺地隆成(ロ)

この記録を最初にマークした山本は高卒2年目から四番を打った強打者でしたが、“ケンカはち”の異名を取るほど闘志あふれる選手で、58年の試合中に審判に暴力をふるって出場停止処分が下ったのですが、ファンからの署名活動もあって(それだけ人気があったということですね)復帰がかないます。しかし、翌59年に今度は試合中に相手選手に暴力をふるい、再び出場停止処分となります。この際には山本は山寺にこもって修行して反省の姿勢を見せ、後に処分が解除されます。

このように大変ユニークな選手ゆえに、ぜひとも山本のカードを作りたかったのですが、消息不明で連絡が付かず、カード化はかないませんでした。そこで、同記録の2人目、香川と寺地をカップリングすることになりました。同選手は甲子園で5本塁打を放った強打者で巨大な体躯で“ドカベン”の異名を取った人気者でした。同氏は14年にお亡くなりになったのですが、ご遺族の許諾を得てカードを制作することになりました。

No.12 香川伸行(南)
No.12 香川伸行(南)

それにしても、今季の寺地の活躍はめざましいものがありました。昨年のベストナイン捕手・佐藤都志也の不調もあって、正捕手の座をもぎ取ると、時にクリーンアップにも起用されるなど活躍。高卒2年目にして規定打席に到達して、リーグ17位の打率.256をマークしました。来季以降の成長が楽しみですね。



当コラムは、これまで「週刊ベースボール」の「Curutural Review」のページに掲載されていたカードのコラムを転載していたのですが、2001年春から続いていたこの連載が2024年4月1日号をもって終了しました。今後、当コラム「カード春秋」(※)はBBMカードサイトのオリジナルコラムとして続けていこうと考えておりますので、よろしくお願い致します。

※「カード春秋」というタイトルは、わたしの出身校・香川県立高松高校(旧制・高松中)の大先輩にして、文藝春秋社の創設者である菊池寛先生へのオマージュなのです。

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