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2025-12-17

【アメフト】日大「有志の会」須永監督「高い基準を大事に」三ケ尻主将「愚直に取り組むことを大切に」

今年のチームの中心となり改革に当たった須永監督と三ケ尻主将=撮影:北川直樹

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アメリカンフットボールの関東大学2部リーグは、12月13日にBブロック2次リーグ上位リーグの最終戦があり、日本大学「有志の会」が一橋大学を47-0で下した。試合は第4Q残り5分32秒でコールドゲームとなった。日大は、今季のリーグ戦を6戦全勝で終え、2部Bブロック1位を決めた。来季は1部下位リーグのBIG8での戦いに臨む。試合後の、須永恭通 監督と三ケ尻晃基(4年=大産大附属)主将のインタビューをお届けする。【北川直樹】

日本大学「有志の会」 ○47-0● 一橋大学(@日本大学アメリカンフットボールグラウンド)

【須永恭通 監督のコメント】
高い基準を維持することの重要性
 
今年の学生たちは本当に難しい点が多かったと思います。モチベーションをどこに置くのか、何を目標にすればいいのか、その部分が非常に悩ましかったはずです。その中でも、毎日一生懸命に取り組んでくれました。4年生にとってはこれが最後だと思うと、正直、少し寂しい気持ちもあります。

目標は来年、再来年、その先の未来に向けたところに置いてきました。勝つこと自体がゴールではなく、ここで自分たちの取り組む姿勢や、プレーのクオリティを絶対に落とさないことを一番大事にしてきました。一度基準を下げてしまうと、そこから引き上げるのは簡単ではありませんし、実質的に不可能です。学生たちにはきつかったと思いますが、毎日、高い基準を意識するように伝えてきました。

私自身もそういう話をしてきましたし、学生たちはそれをしっかり体現してくれたと思います。もちろん学生ですから、足りない部分もありますし、失敗することもあります。

ただ、少しずつではありますが、確実に良くなってきました。自分たちで基準を意識し、目標に向かって取り組むチームになったという手応えはあります。そこは4年生が中心になって引っ張ってくれました。

真剣な表情でチームを見つめる須永監督=撮影:北川直樹
真剣な表情でチームを見つめる須永監督=撮影:北川直樹

4年生への感謝と下級生への期待

4年生にとっては、本当にいろいろあった代だったと思います。同情する部分もあります。それでも、戻ってきて、チームの未来のために、そして自分たち自身のために、必死に取り組んでくれました。その姿勢には、感謝しかありません。

下級生たちは、その4年生、そして昨年の4年生の取り組みを間近で見てきています。だからこそ、卒業していった先輩たちに顔向けできないようなフットボールはできないはずです。これまで以上に、過去2代にわたる4年生以上に、一生懸命取り組んでもらいたいと思っています。

フットボールのクオリティという点では、正直に言って、このままでいいとは全く思っていません。自分たちが望む結果が必ず出るとは限らないという強い危機感を持っています。今年は2部で勝ちましたが、それが果たしてトップレベルや上のカテゴリーで通用するフットボールだったのか、取り組みだったのか、そこはもう一度しっかり振り返り、見直して、やり直していく必要があります。

 QB石上と言葉を交わす須永監督=撮影:北川直樹
QB石上と言葉を交わす須永監督=撮影:北川直樹

走り勝つ、当たりで勝つフットボールを
 
私が今年大事にしてきたフットボールについてですが、やはりこの競技である以上、戦術は非常に重要です。そこを軽視するつもりは全くありません。その上で、走り勝つこと、当たりで勝つこと、そういう部分を大事にしてきました。これは特別に新しいことをやっているというよりも、私自身、過去に指導したチームでも同じような方針を掲げてやってきました。今年の学生たちは、この特殊な状況の中で、その部分をより一層体現してくれたと思います。

 今の時代らしい戦術なども勿論ありますが、スタンダードという意味では、走り、当たりで勝つということは、オールラウンドで欠かせない要素だと考えています。学生ですから、いいプレーをすれば喜ぶこともありますし、うまくいかなければ落ち込むこともあります。ただ、そこに一喜一憂せず、目の前のワンプレーに集中すること。その集中を全員で共有し、一丸となって相手に向かっていくことを、これからも大切にしていきたいと思っています。

 スポッターとプレーの確認をする須永監督=撮影:北川直樹
スポッターとプレーの確認をする須永監督=撮影:北川直樹

【三ケ尻晃基 主将のコメント】
感謝を忘れず愚直に取り組んだシーズン

今シーズンを振り返ると、これまでの日本大学にはなかったような形で、世間からの注目を受けた一年だったと感じています。注目されること自体に慣れていなかった分、周囲を意識するところから始まったシーズンでもあり、正直なところ、自分たちらしくない考え方をしてしまった時期もありました。

その中で大切にしてきたのは、与えられた環境を当たり前だと思わず、愚直に取り組むことでした。整えられた環境に感謝しながら、一つひとつを大事にする姿勢をチーム全体で共有できたシーズンだったと思います。

チームとして確実に成長できたと感じています。初期と比べると、一人ひとりがより抽象的に物事を考えられるようになり、「なぜ自分たちはこの状況に置かれているのか」ということを日々見つめ直す時間を意識的に設けてきました。その積み重ねによって、学生が自分自身で考え、判断できるチームになっていったと感じています。

キャプテンとして、後輩たちに受け継いでほしい思いは、「どんな状況でもフットボールを楽しむこと」です。その上で、対戦相手へのリスペクトや感謝の気持ちを忘れないことは、これからも大切にしてほしいと思っています。

インターセプトもありましたが、最終戦だからといって満点をつけられる内容ではなかったと思います。次のステージを見据えると、まだまだ詰められる部分が多くあります。後輩たちには一日一日を大切にしながら、来年以降、より高いレベルで戦うために突き詰めていってほしいです。

 2INT 1TDの活躍だった三ケ尻=撮影:北川直樹
2INT 1TDの活躍だった三ケ尻=撮影:北川直樹

規律を大切にしたキャプテンシー

4年間を振り返ると、「色々あった」という一言では収まりきらない時間でした。正直、僕一人だったら乗り越えられなかったと思います。同期、後輩、先輩の存在があってこその4年間でしたし、家族や関わってくださったすべての方々に、感謝しかありません。

フットボールを今後も続けるかは、今のところ考えていません。この1年間を通して、チームの雰囲気や成長を間近で感じられたこと自体が、僕にとっては大きな経験でした。

このチームは春シーズンと比べて、秋に向けての3か月間をどう戦うかという部分で大きく成長できたと思います。長いシーズンの中で、一戦も落とせない状況が続く中、いかに波を作らず、目の前のプレーに集中し続けられるか。その点で、自分たちのフットボールに集中できるようになったことは、チームとしての進歩だと感じています。

キャプテンとして自分が最も大切にしてきたのは、規律です。フットボーラーとしてだけでなく、一人の人間として当たり前の行動ができているかどうかを、日々考えながら生活すること。その「当たり前」を積み重ねることが、結果的にフットボールにもつながると考えてきました。

 最後のハドル、三ケ尻は笑顔で仲間に語りかけた=撮影:北川直樹
最後のハドル、三ケ尻は笑顔で仲間に語りかけた=撮影:北川直樹

フェニックス魂を胸に
 
「フェニックス」を名乗れなかったことについては、正直もどかしさもありました。入学当初は、日本大学フェニックスに憧れて入ってきた部分も大きかったです。ただ、名前を名乗れなくても、心の中にはフェニックス魂やプライドがありました。その気持ちは、最後まで持ち続けて戦ってきました。

長年応援してくださっている方々には、ご迷惑をおかけした部分もあったと思います。それでも、これからチームは再生し、生まれ変わっていくと信じています。再び日本一という舞台を目指して努力していきますので、今後とも変わらぬ応援をお願いしたいです。

新主将・DL會田空都への期待
 
来年キャプテンを務める會田(3年=横浜立野)は、僕とは真逆の性格で、前に出て突っ走るタイプです。後輩たちがその背中に食らいつきながら、會田に引っ張られて成長していってくれればと思っています。より上のレベルで戦うためには、まだまだ努力が必要です。

先日、横浜スタジアムでTOP8の試合を間近で見たとき、そのレベルの高さを実感しました。自分たちに何が足りないのかをしっかり見つめ、来年に向けて過ごしてほしいと思います。

試合後四方の観客に向かって挨拶をする際、三ケ尻主将の目には涙が浮かんでいた=撮影:北川直樹
試合後四方の観客に向かって挨拶をする際、三ケ尻主将の目には涙が浮かんでいた=撮影:北川直樹
 
99番の會田が三ケ尻の後を引き継ぎ主将となる=撮影:北川直樹
99番の會田が三ケ尻の後を引き継ぎ主将となる=撮影:北川直樹

北川直樹

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