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2026-01-17

【相撲編集部が選ぶ初場所7日目の一番】阿炎に土がつき、取り直しの相撲を制した豊昇龍ら6人が1敗でトップに並ぶ

物言いがついた一番。小手投げを打った豊昇龍のほうが先に左手をついているが、伯乃富士もこの時点で体がないと判断され、取り直しとなった

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豊昇龍(寄り倒し)伯乃富士

幕内前半の相撲で、まずきのうまで全勝だった阿炎に土がついた。朝乃山がモロ手突きをはね返して逆襲、最後は引き落とした。今場所好調の阿炎に押し勝った朝乃山には、かなり力強さが感じられ、「もう、幕内上位に帰ってもある程度戦えるところまで状態が戻っているのでは」という思いを抱かせた。
 
そして今場所は、朝乃山のみならず、ほかの“元大関”も元気だ。幕内後半戦に入り、髙安は王鵬、そして霧島は義ノ富士と、実力のある若手力士の挑戦をそれぞれ力強い相撲で退けた。この元気さなら、この後当たっていく横綱・大関戦も楽しみだ。
 
さてそして、阿炎が敗れたことで、勝っていけば再び優勝争いの中心に座れる権利を得た横綱・大関陣が登場。まず安青錦が若元春の土俵際の打っ棄りを許さず攻め切って1敗キープ。琴櫻も勝って2敗を守った後、大の里は大栄翔を相手に何度か引く展開になり危なかったが、最後は叩き込んでかわした。
 
そして結び。豊昇龍が難敵の伯乃富士を迎えた。豊昇龍は立ち合い張り差しにいったが、速い立ち合いの伯乃富士に食いつかれた。左を差されて上手も取れず、苦しかったが、窮余の一策で掛け投げ気味の右小手投げ。相手を裏返して軍配をもらったが、先に左手をついてしまい、物言いがついた。
 
伯乃富士は「自分の中では勝ったかなと思いました。横綱の手がついたのが見えたんで」ということだったが、協議の結果、豊昇龍が手をついたときには伯乃富士も裏返っていて体がないと見られたのだろう、同体取り直しとなった。
 
手をついた後に顔から落ちた豊昇龍は、右の髪の生え際あたりをすりむき、額を赤く染めながら取り直しに臨んだ。
 
そして取り直しの一番、今度は横綱は立ち合いを変えてきた。体の浮きやすい張り差しをやめ、低く構えて右上手を狙う作戦に出たのだ。
 
取り直しの一番も伯乃富士の突っ込みは速かったが、結果的には低く構えて右上手一本に焦点を絞っていた横綱が、押されながらも上手に手を掛けた。そのまま右に回って上手投げ。うまかったのは、動きの中でだんだんと頭をつけ、右ヒジを絞って出し投げ気味にしていったところだ。これで伯乃富士の上体を起こし、最後は左も差して寄り倒した。

「集中してやれました。(すりむいたところは)痛いよ。でもこれがあったから勝ったと思います」と横綱。最後には、「髪が薄くなっているのに、また薄くなっちゃった」と軽口も出た。
 
前半戦は、水がたまったりした左ヒザの不安もあるのか、取組内容にはさほど冴えが見られなかったが、集中力を見せて取り直しの一番を勝ち取ったことによる気持ちの盛り上がりの面でも、張り差しをやめてしっかりした腰の備えを作った立ち合いの面でも、この日の一番は場所の中で一つのターニングポイントになる可能性を感じさせた。これがあす以降にどうつながってくるか。
 
7日目を終え、優勝争いは豊昇龍、大の里、安青錦、霧島、阿炎、欧勝海の6人が1敗に並ぶ形になった。阿炎が後退したことで、横綱・大関にまた主導権が戻ってきた感もある。1敗の横綱・大関3人の中では、安定感では安青錦が一番。豊昇龍はこの7日目をきっかけに変わってくるかどうか、大の里はバタバタした相撲が続いていて内容的には最も不安を残すが、地力は一番だけに、このあと星を並べていければ、というところか。
 
あすはいよいよ安青錦と霧島が1敗同士で激突。今場所は関脇が元気だけに、この後、終盤に行くまでにひと波乱の可能性もある。あすはさらに大の里と伯乃富士の対戦も。場所の折り返しから後半戦も、まだまだ目が離せない戦いが続く。

文=藤本泰祐

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