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2026-01-18

【相撲編集部が選ぶ初場所8日目の一番】まさかの横綱・大関総崩れ! 1敗対決に勝った霧島が優勝争いで急浮上

モロ差しから寄り倒して初めて安青錦を破った霧島。1敗対決で大関に勝ち、そのあと両横綱も敗れたことで、一気に優勝争いの有力候補に浮上してきた

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霧島(寄り倒し)安青錦

6年ぶりの天覧相撲となったこの日、天皇、皇后両陛下と愛子さまが国技館においでになり、玉鷲-藤ノ川の“21歳差対決”から幕内後半戦の土俵を観戦された。

そこで「陛下にいい相撲を」と、上位陣は余計な力が入った、というわけでもないのだろうが……、この日の土俵は大荒れで、なんと横綱・大関陣が総崩れの事態となった。なんでも、昭和天皇が初めて蔵前国技館に来られた昭和30(1955)年夏場所の天覧相撲以来、平成、令和を通じて天覧相撲での横綱・大関総崩れは初めてということだ(ちなみに前回の令和2年1月場所14日目の天覧相撲で、白鵬・鶴竜の両横綱は休場し、貴景勝・豪栄道の両大関が敗れる、ということはあった)。
 
まず琴櫻が王鵬の挟みつけるような攻めをはね返せず押し出されて3敗目。続く安青錦は霧島に二本差されて寄り倒し。横綱陣も、豊昇龍が大栄翔の土俵際の叩きに遭って2敗目、最後の砦の大の里も伯乃富士に電車道で押し出された。大の里は立ち合い直後に伯乃富士のハズ押しを受けた際に痛めていた左肩にまたアクシデントがあったようでもあり、あす以降の土俵も心配される事態に。
 
取組後の支度部屋、風呂から出たところで大の里の敗戦を知った豊昇龍も「(大の里が)負けた? 全員負けじゃねーか!」と驚く異常事態だ。
 
そして、この日の番狂わせ4番の中でも、今後の優勝争いに大きく影響を与えそうなのが、霧島が1敗対決で安青錦を破った一番だ。
 
この日は立ち合い、霧島が鋭い立ち合いで当たり勝った。左を差すと、右も得意の下手を狙う安青錦の左をグイグイおっつけて起こし、ついにモロ差し。安青錦は首投げで逆転を狙うが、そのまま深く差した右で廻しを取って寄り倒した。

「とにかく真っすぐ当たろうと思った。それがよかった。しっかり当たって前に攻めて、流れがよくなった。モロ差しになっても、相手は(投げなど)そういう技が強いのでしっかり」
 
これまで3度の対戦では、安青錦に左下手を許したり、腕を手繰られたりして敗れていた霧島だが、初めて安青錦を破った。「毎場所やってるんで。初めてやるわけじゃない。しっかり当たれば大丈夫だと」と霧島は振り返った。

安青錦は「引きずらずに、明日またがんばればいいだけ、それしかない」と、この負けが後を引くようなことはなさそうだが、先場所、今場所の敗れた相撲を見る限り、だんだんと他の上位陣に対策を練られてきた感は無きにしも非ずだ。
 
これまでは相手は「とにかく起こさなければ」というところに意識が行っていたが、その前にまずガツンと当たったほうがその流れで起こしやすい、そしていったん起こせれば、できるだけ安青錦を正面において、大きな相撲を取ればチャンスあり、という対策が定着してきたように見える。もちろん研究熱心な安青錦のこと、またそれを上回る相撲を取るようになる可能性は十分あるが、ここからしばらくは、これまで同様のペースで星を重ねていくことはちょっと難しくなるかもしれない。
 
大荒れの中日を終え、優勝争いは、1敗に関脇霧島と平幕の阿炎の2人、そして2敗で豊昇龍、大の里の両横綱、大関安青錦、関脇髙安、平幕の熱海富士、藤ノ川、獅司、欧勝海の8人が続く形となった。まずは大の里の肩の状態がどうか次第で様相は変わってくるが、大の里に計算が立たない場合、一気に優勝争いは大混戦の様相を呈する。

トップの2人は関脇と平幕とはいえ、いずれも優勝経験があるので、ただの関脇以下ではない。中でも一躍トップランナーに浮上した霧島は、このところ豊昇龍にあまり勝てていないという点はあるが、今場所の2人の調子を考えると、そこまで悲観的になることもないようにも思う。2敗の横綱・大関陣の中で比較的内容が安定している安青錦は、もちろんまだ1差なので十分圏内だが、とりあえず霧島との対戦を終えたことで自力優勝の権利を失い、霧島の負け待ちとなったのが辛いところだ。
 
まあ霧島中心、ということにはなると思うが、優勝争いの行方は一気に、文字通り霧の中。全く分からなくなってきた。

文=藤本泰祐

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