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2026-01-19

【相撲編集部が選ぶ初場所9日目の一番】両横綱が揃って連敗。優勝は徐々に大関以下による争いに

結び前で大の里が敗れたのに続いて、結びの豊昇龍も熱海富士に一方的に押し出されて3敗目。この日も元気なく連敗したことで、両横綱は優勝争いからはほぼ脱落したといえる

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熱海富士(押し出し)豊昇龍

東西両横綱は、この日も踏ん張りを見せることはできなかった。
 
前日は天覧相撲で総崩れという、前代未聞の事態を招いた横綱・大関陣。この日は、安青錦、琴櫻の両大関は白星を挙げたが、大の里、豊昇龍の両横綱は、そろって元気のない相撲で一方的に敗れ、連敗を喫した。
 
まず、若元春と対戦した大の里。立ち合いはモロ手に近い感じで突いて出た。だが、やや姿勢が高かったか、突き放すには至らず、若元春得意の左をズボッと入れられてしまった。下がりながら左だけでもなんとか差そうとしたが、すでに体が浮き気味になっていたためか、これもむしろ若元春の右おっつけのエジキとなった。そのまま一気に出られ、白房下に寄り切られた。
 
続いて熱海富士と対戦した豊昇龍。立ち合いはモロ手からの突っ張りだ。こちらはタイミングとしては先手で立ったようにも見えた。しかし、上体が立っていたためか威力はあまりなかったのだろう、熱海富士の圧力に、すぐ押し返された。横綱は両手で相手の手を払うように引きを見せたが、そこについてこられて、むしろ自分が棒立ちに。左に回ってかわそうとしたがかなわず、赤房下に押し出された。
 
熱海富士は初の金星。「いつもどおり、自分のやるべきことに全力を出す、という感じです。親方に教えてもらったことが少しずつできるようになってきた」と笑顔だ。一時は優勝を争ったりして上位常連となり、三役目前まで行ったが、このところ同部屋の義ノ富士、伯乃富士に前を行かれる印象になっていた。新三役争いでも、番付上二人の後塵を拝しているが、今場所はここからの頑張り次第では一発逆転のチャンスも出てきた。
 
両横綱に話を戻すと、どちらにも共通しているのは、立ち合いの威力のなさだ。やはり豊昇龍は左ヒザ、大の里は左肩のケガの影響はあるのだろう。あるいはケガ自体は休むほどではないのかもしれないが、その治療に時間を費やしたために稽古不足になった可能性はある。

「(左肩は)何ともないです。また頑張ります」と大の里は言うが、今の幕内上位の実力は紙一重。豊昇龍もそうだが、常に相手に先手を取られるような威力の立ち合いしかできなければ、横綱と言えども安定して白星を重ねていくことは難しいはずだ。今の状況を見る限り、両横綱とも、「残り5日で勝ちのほうが負けより多く残せるかどうか」ぐらいの感じではないかと思われ、となると2人とも現状6勝3敗なので、星は二ケタに届けば御の字、優勝はまず難しい状況だと言える。
 
そう考えると、すでに優勝争いは実質大関以下のものになったとみるのが自然。この日は阿炎が2敗目を喫し、関脇霧島が1敗で単独トップ、2敗が大関安青錦、平幕熱海富士、藤ノ川、阿炎、獅司、欧勝海の5人という状況になった。
 
トップに立つ霧島は、あすは大関琴櫻戦。そのあとは両横綱、平幕で最も成績のいい力士、そして髙安と予想される。これまでは豊昇龍、大の里、安青錦の「3強」に対して、対戦成績が悪いことから、優勝候補には推しづらい存在だったが、すでに今場所、安青錦には勝っているし、両横綱も今の調子なら倒せる力は十分あり、残り5番をあまり星を崩さず行ける可能性はけっこうあるとみる。
 
安青錦は、あすが隆の勝と。そのあとは2敗で残っている最も番付が上の力士か伯乃富士、その後は横綱・大関3人との対戦が予想される。もちろん大関でもあるので地力では優勝を争う顔ぶれでは一番で、残り5日間で霧島より上の星を残す可能性もあり、決定戦に持ち込めればむしろ有利ともいえるが、きのうも書いたとおり、とにかく霧島に負けてもらわないとどうにもならない他力本願なのが辛いところだ。
 
平幕の2敗組では、やはり、もし上位と当てられた場合にも食える可能性を秘める地力と経験のある阿炎がダークホースだ。安青錦や霧島と直接対戦が組まれる形に持ち込み、これを一発食えれば面白い。
 
さらに、優勝争いはともかくとして、このあと藤ノ川の上位挑戦が組まれるかも楽しみ。横綱は脱落気配だが、それはそれとして、まだまだ終盤に向けて見どころは少なくない。

文=藤本泰祐

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