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2026-02-06

【連載 大相撲が大好きになる 話の玉手箱】第35回「景気のいい話」その2

栃ノ心に懸けられた「ジョージア エメラルドマウンテン」の懸賞幕

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新しい年がやってきました。
身も心もリフレッシュして再スタート、といきたいところで、景気のいい話はありませんか。
大相撲界で景気のいい話、と言えば、やっぱり懸賞でしょうか。
令和2年初場所から「ポケットモンスター」とのコラボによる懸賞も倍増し、力士たちは分厚くなった懸賞の束を手にほくほく顔でした。
1本につき7万円(懸賞袋の中は3万円、現在は1万円)。
こんな心、いやフトコロの温まる話はありません。
そんな懸賞の、さらに景気のいい話を集めました。
※月刊『相撲』平成31年4月号から連載中の「大相撲が大好きになる 話の玉手箱」を一部編集。毎週金曜日に公開します。

国名つながりで

希望、あるいは願いは、口に出して言ってみるものですよ。栃ノ心が来日し、春日野部屋に入門したとき、出身国の名前は「グルジア」だったが、平成27(2015)年4月22日に「ジョージア」に変更された。当時、栃ノ心は西前頭4枚目だった。
 
それから3年後の平成30年初場所、夢のような出来事が起こった、14勝1敗で平幕優勝し、大関昇進も現実味を帯びてきたのだ。一躍、人気者になり、ジョージアという国名も有名にした栃ノ心は、入門以来、愛飲しているという缶コーヒーの「ジョージア」を手に、

「ジョージアつながりで、このメーカーから懸賞でもつかないかな」
 
とあらぬことをつぶやいた。もちろん、冗談半分だ。
 
ところが、これを伝え聞いたジョージアのメーカー、日本コカ・コーラ社がなんと「分かりました」とヒザを打ち、

「優勝おめでとうございます、という意味をこめてかけさせてもらいます」
 
と次の春場所限定で栃ノ心の取組に懸賞を1本、つけることを快諾したのだ。ものわかりのいい会社じゃありませんか。
 
この瓢箪から駒の話に栃ノ心は飛び上がり、

「せっかくつけてもらったんだから、負けるわけにはいきません。目いっぱい取りますよ」
 
と奮闘を約束。この言葉どおり、直後の春場所、10勝して10本も手にし、2度目の殊勲賞ばかりか、大関取りの足固めまでやってのけた。こうなると、ときには冗談も飛ばしてみるものですね。
 
この話には続編もある。この春場所の次の夏場所、栃ノ心は、あと一歩というところで2度目の優勝は逃がしたものの、13勝2敗の好成績をあげ、場所後、待望の大関に昇進した。すると、千秋楽の2日後、前言を翻して夏場所も懸賞をかけ続けた日本コカ・コーラ社から30缶入りの缶コーヒー、「ジョージア」が計30ケース、900本も差し入れられた。
 
さっそく栃ノ心はケースを破って1缶取り出し、一気飲みすると、

「うまいっ。今日の味は特別だよ」
 
と超ご機嫌だった。どうです。景気のいい話でしょう。

月刊『相撲』令和4年2月号掲載

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