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2026-02-13

【NFL】第60回スーパーボウル 60対1のオッズから優勝したシーホークスとはどんなチームだったのか

第60回スーパーボウル【シーホークスvsペイトリオッツ】シーホークスの強力ディフェンスがペイトリオッツをドミネートした=getty images

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アメリカンフットボールの世界最高峰、NFLは、2026年シーズンが終わった。

記念すべき第60回大会のスーパーボウルは、シアトル・シーホークス(NFC王者)がニューイングランド・ペイトリオッツ(AFC王者)を圧倒して、2013年シーズン以来、12年ぶり2度目の栄冠に輝いた。

シアトル・シーホークス(NFC王者)がニューイングランド・ペイトリオッツ(AFC王者)を、強力なディフェンスで圧倒し続け、チーム創設50年で2度目の栄冠に輝いた。シーホークスのスーパーボウル優勝2013年シーズン以来、12年ぶりとなった。MVPにはシーホークスRBケネス・ウォーカー3世が選ばれた。

今回のスーパーボウルがどんな試合だったのか、改めて振り返りたい。【小座野容斉】
第60回スーパーボウル【シーホークスvsペイトリオッツ】5チーム目でスーパーボウル優勝QBとなったシーホークスのダーノルド=getty images


第60回スーパーボウル
シアトル・シーホークス○29-13●ニューイングランド・ペイトリオッツ
2026年2月8日 リーバイススタジアム(カリフォルニア州サンタクララ)

末尾がゼロの記念大会はディフェンスが勝つ

今回が60回の記念大会となったスーパーボウルだが、末尾がゼロの記念大会は、ディフェンスが相手のオフェンスを制して勝つという結果になる。

第10回は、スティーラーズの強力ディフェンスが、QBロジャー・ストーバックの率いたカウボーイズを制して、前年に続いてスーパーボウルを連覇した。

第20回は、ベアーズの守備コーディネーター、バディ・ライアンが作り上げ、今も語り継がれる無敵の46ディフェンスが、ペイトリオッツを粉砕した。

第30回は、カウボーイズが、そのシーズン1773ヤードを走った主力RBエミット・スミスがわずか49ヤードと封じられながら、スティーラーズから3インターセプトを奪って、1970年代のお返しをした。

第40回は、スティーラーズディフェンスが、シーホークスのQBマット・ハッセルベック、RBショーン・アレキサンダーという強力タンデムを抑えて逃げ切った。

第50回は、ブロンコスのLBボン・ミラーが中心となった強力ディフェンスが、シーズンMVPに輝いたパンサーズのQBキャム・ニュートンを封じて、勝ち切った。

そして今回は、シーホークスはスコアやスタッツ以上に、シーホークスの「ダークサイド」ディフェンスが、ペイトリオッツをドミネートし続けた。
第60回スーパーボウル【シーホークスvsペイトリオッツ】ファンブルリカバーで喜ぶシーホークスのDTマーフィー=Getty Images

最終スタッツだけを見ると、オフェンスのトータルヤードはシーホークスの335ヤードに対し、ペイトリオッツは331ヤードとほとんど差はない。

だが、ペイトリオッツは第3クオーター終了時点では、オフェンスはわずか78ヤード、ファーストダウン更新4回、得点セロと文字通り完封されていた。QBドレーク・メイが第3クオーターまでに決めた、10ヤード以上のパスは1本だけだった。

第4クオーターに19点差を追う展開になって、QBメイが、リスク覚悟でどんどんパスを投げ始めた結果、最終的に300ヤードを超える数字となっただけだった。

シーホークスのディフェンスは、試合開始から、プレークロックで47分間得点を許さなかった。ペイトリオッツの第4クオーターの攻勢に対しても、第3クオーター終盤からは3回のターンオーバー。それを、17得点に結び付けた。ディフェンスが、最後まで優位を失わなかった。

4人の守備フロントだけでも強いプレッシャーをかけられる上に、絶妙なタイミングでDBのブリッツも入れて、さらにディスガイズ(偽装)した。若いQBメイを翻弄し続けた。

QBサック6、2インターセプト(1ピック6)、1ファンブルロスト。シーホークスディフェンスの完勝だった。


選手経験は高校生まで ノンキャリHCが史上3番目の若さで勝利

シーホークスのマイク・マクドナルドHC(ヘッドコーチ)は就任2年目、38歳で快挙を達成した。38歳227日は、ショーン・マクベイ(ラムズHC)、マイク・トムリン(元スティーラーズHC)に次いで史上3番目の若さ。ジョン・グルーデン(元バッカニアーズHCなど)まで含め、30代でスーパーボウルに勝利した4人目の指揮官となった。

マクドナルドHCは、2010年にジョージア大の大学院生として学びながら、アシスタントとなった。その後、2014年にNFLレイブンズのコーチ職として採用され、強力ディフェンスのレイブンズで、実績を積み重ねてきた。2021年に1年だけミシガン大のDC(ディフェンシブコーディネーター)を務めた後、2022、23年はレイブンズに復帰しDCとなった。

シーホークスのHC就任は2024年シーズンから。1年目10勝7敗、2年目14勝3敗で、ついに頂点に立った。

マクドナルドHCは、NFLのみならずカレッジフットボールでの選手経験もない。高校時の負傷で選手を断念し、ジョージア大入学後に、高校のチームからコーチの道に入った。

対戦相手のマイク・ブレイベルHCは、カレッジの名門オハイオ州立大、そしてペイトリオッツでスターとして活躍し、スーパーボウルで選手として3回の優勝経験を持つフットボールエリート。マクドナルドHCとは対照的な経歴だ。

ノンキャリたたき上げコーチの勝利だった。
第60回スーパーボウル【シーホークスvsペイトリオッツ】史上3番目の若さでスーパーボウル優勝したシーホークスのマクドナルドHC=Getty Images

マクドナルドHCは、月曜日の優勝チーム記者会見で「我々は、ここシアトルで『限界への挑戦』という言葉を使っている」と語った。

「その姿勢で生きなければならない。他チームを真似ていてはいけない。我々は常に最先端を走りたい。今は我々が最大の標的になったと自覚している」

2025年シーズンの開幕前。シーホークスのスーパーボウル優勝確率は60対1のオッズだった。スーパーボウル優勝どころか、NFC西地区優勝すら誰も予想していなかった。しかし来季からは、明確なターゲットになる。

38歳のHCはその重圧を楽しむだけの余裕を持っている。

強いチームとの対戦が不足していたペイトリオッツ

就任1年目でスーパーボウル出場のマイク・ブレイベルHC,入団2年目で史上番目に若いスーパーボウル先発QBとなったドレーク・メイ。快進撃を続けてきた2人にとって、今季最後の戦いは苦いものだった。

レギュラーシーズンの、ペイトリオッツの14勝3敗、メイがMVP投票2位となったパス4394ヤード、31TD・8INTという好成績は文句のつけようがなかった。

ただし、メイのスーパーボウルでの苦戦は、予想できた。テキサンズディフェンスを攻略したディビジョナルプレーオフを除けば、チャージャーズ、ブロンコスのディフェンスに大苦戦していた。

レギュラーシーズン72.0%だったパス成功率は、AFCチャンピオンシップまでのプレーオフ3試合で一度も60%を超えず。タッチダウンとインターセプトは、3試合で4TD・2INTで、17試合に換算した場合は3077ヤード22TD・11INTにとどまっていた。

第60回スーパーボウル【シーホークスvsペイトリオッツ】ペイトリオッツのQBメイに強烈なプレッシャーをかけるシーホークスDTミルズ=Getty Images
強運もあった。AFCチャンピオンシップでは、対戦相手ブロンコスのエースQBボー・ニクスが、直前のゲームで骨折し、欠場。代わりに出てきたのは、過去2年パスを投げたことがないQBジャレット・ステイダムだった。ペイトリオッツは3点差で辛勝したが、二クスがそのまま出場していたら、ペイトリオッツは果たしてスーパーボウルにたどり着けたのか疑問が残った。

ブレイベルHCの戦いぶりも、タイタンズ時代とあまり変わらなかったと言える。タイタンズ時代の主武器はRBデリック・ヘンリーのラン。オフェンスであまり策を弄さず正攻法、ディフェンスとスペシャルチームで勝負所をモノにする。当時は、ヘンリーのランをマークされて抑えられると敗れる。その繰り返しだった。

今回も、QBメイが抑えられても、代替の打開策がなかった。オフェンシブコーディネーター(OC)のジョシュ・マクダニエルズは、HCとしては他チームで2回失敗したが、ペイトリオッツに復活後のOCとしては実績を残している。そのマクダニエルズも、この試合では、辣腕を発揮しようがなかった。

ペイトリオッツのレギュラーシーズンのスケジュールがソフトだったのは否めない。

3勝14敗のチームと4試合(ジェッツ×2、タイタンズ、レイダーズ)、4勝13敗(ジャイアンツ)、5勝12敗(ブラウンズ)など、17戦中10戦が10敗以上のチームとの対戦だった。勝ち越しチームとの対戦は3試合(ビルズ×2、スティーラーズ)で、そこでは1勝2敗と負け越していた。強いチームとの対戦が不足していたのが、ポストシーズンの成績にそのまま表れた。

FGがTDと同等の価値を持っていたシーホークス
第60回スーパーボウル【シーホークスvsペイトリオッツ】シーホークスのウォーカーはRBとしては、テレル・デービス(ブロンコス)以来、28年ぶりにスーパーボウルMVPとなった=getty images


ケネス・ウォーカー3世はRBとしては、テレル・デービス(ブロンコス)以来、28年ぶりにスーパーボウルMVPを受賞した。ウォーカーは27キャリーで135ヤード、パス2キャッチ26ヤードを記録した。

ペイトリオッツが、CBクリスチャン・ゴンザレスらの秀逸なマンツーマンパスカバーで、シーホークスのエースWRジャクソン・スミス=ジグバを封じる中で、ウォーカーはブロックを生かした巧みなランで、ゲインを重ねた。第3クオーターまでのオフェンスシリーズは、TD(タッチダウン)にこそ結びつかなかったが、Kジェイソン・マイヤーズが、着実にFG(フィールドゴール)を決めていった。

マイヤーズのFG5本成功もスーパーボウル新記録。シーホークスの強力ディフェンスを考えると、このFGはディフェンスが弱いチームのTDと同等の価値があった。

強いディフェンス、良いランニングゲーム、優秀なキッカーが有機的に機能した結果だった。
第60回スーパーボウル【シーホークスvsペイトリオッツ】シーホークスKマイヤーズはスーパーボウル新記録となる5FGを成功させた=getty images

視聴者数は全米で約1億2490万人

アップルミュージックがスポンサードしているハーフタイムショーでは、 プエルトリコ出身のスター、バッド・バニー(Bad Bunny)がメインキャストとなった。全編スペイン語の歌詞というアルバムで、直前の2月1日、第68回グラミー賞の「年間最優秀アルバム賞」を受賞。ハーフタイムショーでもスペイン語の歌詞で熱唱した。レディー・ガガとリッキー・マーチンが「サプライズ出演」して会場を沸かせた。

 CM枠は30秒で800万ドル(約12億3千万円)と、過去最高に達した。視聴者数は全米で約1億2490万人を記録した。
ハーフタイムショーはバッド・バニー(Bad Bunny)がメインキャスト。レディー・ガガとリッキー・マーチンが「サプライズ出演」して会場を沸かせた=getty images

【小座野容斉】

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