今週末の3月31日(土)と4月1日(日)の2日間、2018年度の日本女子ソフトボールリーグ1部の開幕節が行われる。会場は昨年に引き続き、愛知県名古屋市のナゴヤドームだ。
今季も開幕節は12チームが一堂に集うセントラル開催となる。続く1節からは毎節、全国各地の3カ所で開催され、2回戦総当たりのリーグ戦を勝ち抜いた上位4チームが、11月に東京・神宮野球場で行われる決勝トーナメントに進出できる。
今季、第51回を数える日本女子ソフトボールリーグ。一つの区切りを過ぎ、新たな歴史を歩む最初のシーズンの見どころを、順を追って紹介したい。
最大の見どころは、昨季の優勝チームであるビックカメラ高崎が連覇を達成するかどうかだ。昨季は開幕から14連勝と勝ち進み、21勝1敗でレギュラーシーズンを制する。決勝トーナメントでもライバルを退け、自らの持つリーグ最多記録を更新する11度目の優勝を飾った(前身のルネサス時代を含む)。
昨季のビックカメラ高崎は、長く指揮を執った宇津木麗華前監督が日本代表監督の専任となったため退任し、監督経験のない岩渕有美監督が新たに就任した。また、その前年が総合4位と、2007年から続いていた2位以上の成績が途絶えたこともあって、チーム内には危機感が漂っていた。
しかしシーズンが始まると、チームの投打はがっちりかみ合う。その中心は経験豊富なベテランだった。投手陣は前年のケガから復活したエースの上野由岐子がけん引。打線は一番の森さやかがチャンスメーカーとなり、こちらも前年の負傷が癒えた四番の山本優が多くの得点に絡んだ。
このベテラン勢に、若手が続いた。昨季から主将になった正捕手の我妻悠香は、リード面で長足の進歩を見せ、投手陣を支えた。糟谷舞乃は打撃に磨きをかけ、前半戦のチームを引っ張り、打点王を獲得した。
現在、上野や山本、我妻を始め、トップ日本代表候補に9人を送り出す。今季はここに、昨年は高校生投手ながら日本代表で活躍したゴールデンルーキーの勝股美咲が加わった。充実のタレント集団は、昨季に続く連覇を視野にとらえている。
ビックカメラ高崎の連覇を阻む有力候補として、昨季準優勝の太陽誘電と、同3位のトヨタ自動車も大いに注目される。
2年連続準優勝の太陽誘電は、「3度目の正直」へ強い決意を持って臨む。その中心には、投打二刀流で名をはせる藤田倭がいる。投手としての安定感が年を追うごとに増し、一昨季に本塁打王と打点王を獲得した打撃も健在。悲願の優勝へ、気合も十分だ。
その藤田のワンマンチームにならないところに、今の太陽誘電の強さがある。同じく投打の二刀流をこなす左腕・尾﨑望良、主将で司令塔でもある捕手・佐藤みなみ、リーグ屈指の打者であるベテランの河野美里、昨季一気に頭角を現した原田のどかと、軸になる選手は多い。
チームを率いて13年目になる山路典子監督は、自らの現役時代に何度となく優勝を経験した。その1993年以来となるリーグ制覇へ、機は熟している。
2010年代に5度の優勝を誇るトヨタ自動車は、近年ビックカメラ高崎と優勝を分け合い、二強を形成してきた。
チームは今、世代交代が進んでいる。2010年からの三連覇時代の中心選手は、その多くが現役を引退した。現在の中心は、1992年生まれの選手たち。日本代表候補の長﨑望未、鈴木鮎美、そして今季から主将を担う古澤春菜らが、チームを引っ張る。
経験ある選手たちも健在だ。特にアメリカ代表に復帰したエースのモニカ・アボットは、長身をダイナミックに使って投げ込む剛球を武器に、今季も多くの勝利をもたらすだろう。強打の坂元令奈、好守巧打の渥美万奈、世界を知る捕手の峰幸代らも、まだまだ衰えは見られない。
新外国人選手として、こちらもアメリカ代表である内野手のアリソン・アギュラーを獲得。打線に厚みを増した。昨季から指揮を執る中西あかね監督の下、新たな黄金時代到来も予感させるトヨタ自動車。V奪回が、その第一歩になるかもしれない。
ビックカメラ高崎、太陽誘電、トヨタ自動車の3強に続き、決勝トーナメントに進める4位以内を確保するのはどこになるのか。その争いは、今季も混戦模様だ。
昨季の4位である豊田自動織機は、その前年に22年続けてきた4強入りを逃した悔しさをバネに、1年で決勝トーナメントの舞台に戻ってきた。アメリカ人バッテリーを中心にした守備や、果敢な走塁には定評がある。日本代表で活躍する洲鎌夏子を筆頭に、つながりを重視した攻撃で得点力を上げられれば、3強を食う可能性も低くない。
昨年シーズン途中まで4位をキープしていたSGホールディングスは、初の決勝トーナメント進出に意気込む。安定感を増したエースのカーヤ・パーナビーと、リーグを代表するスラッガーのステーシー・ポーターのオーストラリア代表コンビを軸に、日本人選手も力を発揮してきた。1年を通じて調子を維持できれば、悲願達成も夢ではない。
昨季、10位から6位へ大きく順位を上げた戸田中央総合病院は、投手力が高まった。好機を生かす攻撃力次第で、一層の飛躍もあり得る。
一方、昨季は4位から7位に落ちた日立にとっては、今季は巻き返しを誓う年になる。リーグ最高打者の山田恵里を擁する打線は若手も含め実力者が多いだけに、投手陣の踏ん張りがカギだ。
同じく昨季、5位から8位に下がったデンソーも、今季は挽回をうかがう。昨季終盤に7連勝を飾るなど、力はある。今季は選手の顔ぶれが大きく変わり、楽しみな新人や実績のある外国人選手が加わった。
昨季9位のHonda、10位の伊予銀行、11位のシオノギ製薬は、まず少しでも上の順位が目標になる。
打力のあるHondaは、やはり投手陣の整備が課題。対する伊予銀行は投手陣がそろってきただけに、攻撃面の成長が求められる。シオノギ製薬も得点力向上がテーマとなりそうだ。
最後の見どころは、昨季の2部リーグで優勝を果たし、悲願の昇格を決めた大垣だ。企業を母体とする実業団チームではなく、地域の複数の企業が支えるクラブチームであることが、最大の特徴。今回の昇格も、多くの地元の応援が後押しした。
今季はオランダ代表のエヴァ・フォールトマン、オーストラリア代表のエレン・ロバーツの両投手を獲得。投手陣を強化し、1部で戦える陣容となった。
野手陣は若く成長が楽しみな選手が揃う。昨季の2部MVPである田島萌愛、今季から主将になった捕手の平川穂波が1部でどれだけ通用するか注目だ。
今季も全12チームに見どころ満載の日本女子ソフトボールリーグ1部。その幕開けとなる開幕節からは、昨季の優勝チームであるビックカメラ高崎と、準優勝チームの太陽誘電が激突する注目カードが、4月1日(日)19時からBS11で放送される(中継録画)。こちらも要チェックだ!
そして、日本女子ソフトボールリーグを楽しむ上でお手元に置いていただきたいのが、全選手の写真名鑑付録も付いたリーグ大展望特集号である、発売中のソフトボール・マガジン5月号です。こちらもぜひ!
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