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2019-09-12

相撲編集部が選ぶ秋場所5日目の一番 朝乃山(寄り切り)鶴竜

4日目を終えて、幕内の全勝は横綱鶴竜、関脇貴景勝、平幕隠岐の海の3人だけとなった。5日目は隠岐の海、貴景勝は連勝を続けたが、結びの一番で波乱。

※写真上=前進しながら左上手を取った朝乃山が鶴竜を寄り切り、初金星を獲得した
写真:月刊相撲

 朝乃山と対戦した鶴竜は、当たってすぐに右を差し、左で前廻しを狙うが取れない。朝乃山は左上手が取れなかったが構わず前進。鶴竜が右下手投げを打ったときに上手を取ると引き付けてさらに前進。土俵際で鶴竜は下手投げを打ったが、朝乃山の体は開かず寄り切られ、初黒星を喫した。

 敗れた鶴竜は、「あそこで投げに行ったのが一番よくない。早く勝負をつけようと急いだのかな。右を差しているんだから、左を取ってから寄ればよかった」と悔やんだ。ただ、今場所の鶴竜は前に出て勝った相撲がなく、調子はそれほどよくはないのではないか。

 初金星を獲得した朝乃山は、「前に出ながら左上手が取れたので、休まずに攻めたのがよかった」と振り返る。

 先場所は夏場所の優勝力士として上位に初挑戦。白鵬には善戦も、鶴竜には廻しを取らせてもらえなかった。「先場所の対戦では自分の相撲を取らせてもらえなかったので、思い切りいこうと思っていた」とがむしゃらな攻めが殊勲の星につながった。

 場所前、左足に蜂窩織炎を発症し、万全の体調ではない朝乃山だが、大器の片鱗を見せつけた。「これからも今日みたいな相撲を取りたい」と、さらに調子を上げてきそうな気配。

 鶴竜が敗れたことで、優勝争いが面白くなってきたと言えるだろう。

文=山口亜土

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