12日目を終えて、全勝で鶴竜、1敗で白鵬は変わらず。2敗で追う平幕2人のうち、友風は逸ノ城に敗れたが、照強は2敗を守り、二ケタ勝利を挙げた。今日は照強を取り上げてみたい。
※写真上=10日目に幕内で初めて勝ち越しを決めた照強が、白星を二ケタに乗せた
写真:月刊相撲
照強の相手は関脇経験者の妙義龍。今場所はすでに勝ち越しを決め好調だ。照強は低い立ち合いで相手の胸にぶつかっていくと、下から押し上げるが、妙義龍に左を差されて押し込まれ、土俵際に後退。うまく右に回り込んで体勢を入れ替えると、相手の叩きに乗じて前に出て押し出した。
支度部屋に戻った照強は、「二ケタかあ、実感湧かないなあ」と言う。これまで幕内の2場所は6勝9敗だったのだから当然か。幕内での初勝ち越しで二ケタ勝利となれば、三賞獲得は濃厚だろう。
照強と言えば、平成7年1月17日、阪神・淡路大震災が発生した日、余震が続く中、淡路島で生まれたことで有名。十両筆頭の8勝で入幕し、連続6勝でも十両に落ちなかったように運の強い子なのかもしれない。
今場所は引退を発表した兄弟子の安美錦から部屋を出るときに「頑張れよ」と声をかけられ、「奮い立つものがあった」と言う。それも好調の要因の一つか。
「下から起こして、小兵なりの低さを生かした相撲が取れている。あと3番、勝つチャンスがあるので、集中していく」と残り3日の奮起を誓った。
優勝争いは4大関休場で鶴竜が俄然有利に。白鵬が大関相手でもほぼ勝つのに対し、鶴竜は五分五分の内容だからだ。しかも、合い口の悪い玉鷲戦がなくなり、3敗の友風と組まれたこともラッキーと言えるだろう。
文=山口亜土
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