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2019-07-16

相撲編集部が選ぶ名古屋場所10日目の一番 鶴竜(寄り切り)逸ノ城

両横綱を追う2敗力士4人は、平幕の照強、友風、妙義龍、大関髙安と全員が白星を挙げ勝ち越しを決めた。

※写真上=巨漢・逸ノ城に力を出させないうまさで退け、ただ一人全勝をキープした鶴竜
写真:月刊相撲

 全勝の鶴竜は、前日白鵬に土をつけた逸ノ城と対戦。立ち合いで頭から低く当たると、踏み込みよく右を差し、左もねじ込んでモロ差しの形をつくった。

 逸ノ城は左右から抱え込んで構わず前に出るが、鶴竜もヒジを張って極めさせず、投げを打ちながら回り込む。さらに右から出し投げを打って逸ノ城を泳がせると、そのまま横について寄り切った。

 巨漢の逸ノ城に廻しを与えず、正対せずに横から崩して勝つという鶴竜のうまさが光った一番だった。

「相手に力を出させないように、自分から先に動いた。体もよく反応した」と鶴竜は振り返った。単独トップを守り、昨年夏場所以来遠ざかっている優勝に一歩前進。「より一層、集中することが大事です」と終盤戦に向けて気持ちを引き締めた。

 この日、3日目から休場していた十両安美錦の幕下陥落が濃厚となり、引退が発表された。相手に力を出さないうまさは鶴竜以上で、鶴竜も初顔から6連敗していたほどだ。「どうすればこの人に勝てるんだろうと、自分にとっては壁でした。自分が強くなるために欠かせなかった人ですね」と、しみじみと語っていた。

 結びの一番に登場した白鵬も玉鷲を難なく下して1敗を堅守。優勝戦線は前日と変わらぬ状況で残り5日間の勝負となる。終盤にどんなドラマが待っているのか、ワクワクするような展開を期待したい。

文=山口亜土

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