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2019-07-15

相撲編集部が選ぶ名古屋場所9日目の一番 逸ノ城(寄り切り)白鵬

前日の玉鷲戦で左ヒジを痛めた大関髙安は患部にサポーターを二重に巻いて出場したが、左手が使えず正代に敗れて2敗と後退。2敗だった関脇御嶽海も阿炎に不覚を取り、優勝争いはほぼ両横綱に絞られた。

※写真上=左上手を素早く取った逸ノ城が休まず前に出て、白鵬に今場所初の黒星をつけた
写真:月刊相撲

 白鵬の対戦相手は逸ノ城。今年の初場所以来、半年ぶりの対戦となる。今年の春場所では白鵬が全勝優勝で、逸ノ城は14勝1敗だった。このとき2人の対戦が組まれず、逸ノ城は自力で追いつくことができなかった。今日はそのときの悔しさを晴らすかのような相撲となった。

 両者、胸から当たり、白鵬はモロ差し狙いも、逸ノ城に左上手を許してしまう。さらに、右から左差し手をおっつけられて左を抜くと、逸ノ城は右を深く差し込んで前進。左上手が取れず、上体が伸び切った白鵬は、残す腰がなく土俵下に落ちた。

 全勝の白鵬に土をつけた逸ノ城は、「本当にうれしいです。いい相撲が取れました」と満面笑み。

 初黒星を喫した白鵬は、「立ち合いに失敗した」と悔やんだ。いつもなら大きな相手と正対するのを避け、張り差しや少し動いて横から廻しを取りにいくのだが、前日の踏み込みがよく、この立ち合いでいけると思ったのだろう。逸ノ城に左上手をすぐに取られたのも誤算だった。動きが止まれば切りにいく技術はあるのだが、休まず出てこられては、なす術がなかった。

 結びの相撲で鶴竜が勝ち、これで全勝が鶴竜、1敗が白鵬、2敗で髙安ら4人が追う展開となった。白鵬が鶴竜を追いかける展開となったので、優勝争いは面白くなったと言えるだろう。

文=山口亜土

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