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2019-07-08

相撲編集部が選ぶ名古屋場所2日目の一番 白鵬(上手投げ)朝乃山

先場所、平幕優勝の朝乃山が横綱白鵬に初挑戦。場所前、朝乃山は白鵬のいる宮城野部屋に出稽古し、2勝9敗と圧倒されたが、左上手を引き付けて一気に寄り切る場面もあった。

※写真上=膠着状態にケリをつけたのは、白鵬の強烈な左上手投げだった
写真:月刊相撲

 右の相四つ同士の対戦で、白鵬としてはやりやすい相手も、上手を取られたら厄介だという思いがあったのだろう。互いに右を差し合い、先に左上手を取ったのは白鵬。朝乃山の指先が廻しにかかったが、白鵬はすぐに腰を振って上手を与えない。

 不十分の体勢ながら寄って出る朝乃山だが、白鵬は余裕で残し膠着状態に。じっと動かず勝機を待った。朝乃山が我慢できずに再び前に圧力をかけた瞬間、強烈な左上手投げで約40秒の勝負にケリをつけた。

 初めて結びの一番を取った朝乃山は、「結びは独特の雰囲気でした」と興奮気味。相撲に関しては、「上手が取れなかった。横綱がなかなか攻めてこなかったけど、上手が取れないからこっちも攻められないし。横綱には上手を取られたので、横綱のほうが有利な体勢でしたね」と振り返った。

 若手の挑戦を退けた白鵬は、「まだ譲れない気持ちがある。今思えば、上手を取らせてあげてもよかったけど、勝負だからね」とがっぷり四つになっても、自分のほうが上だと言いたげ。「これでまた朝乃山は成長するんじゃないの」と余裕の発言を繰り返した。

 横綱の貫禄を見せつけられてしまった朝乃山だが、「収穫はあった」と前を向く。「立ち合いをもっと厳しくいかないといけないし、自分の相撲がまだまだだとわからせてくれた」。

 白鵬があれだけ慎重に取ったのは、朝乃山の強さを認めている証拠。今場所は初めての上位総当たりだが、ここで二ケタ勝つようなら、大関候補に名乗りを上げることになる。前半の役力士との対戦を勝ち越せれば、その可能性は大きく広がるはずだ。

文=山口亜土

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