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2019-05-24

相撲編集部が選ぶ夏場所13日目の一番 朝乃山(寄り切り)栃ノ心

12日目を終えて、幕内の優勝争いは2敗で鶴竜、朝乃山の2人、3敗で栃ノ心が追う展開。この日は優勝を争う栃ノ心と朝乃山の直接対決が組まれた。

※写真上=朝乃山一気の寄りを突き落とした栃ノ心だが、物言いの末大関復帰はお預けとなった
写真:月刊相撲

 これまで2人は1回顔があって、栃ノ心が勝っている。栃ノ心にとっては四つ相撲の朝乃山は取りやすいタイプだと言える。しかし、大関復帰にリーチが掛かってからの相撲は、勝ち急いだり、慎重になりすぎたりと歯車がかみ合っていない。

 行司軍配が返り、いい立ち合いを見せたのは朝乃山。低く鋭く踏み込むと、右を差して一気に前に出た。俵に詰まった栃ノ心は右に回り込みながら、右から突き落とすと小さくガッツポーズ。行司軍配は栃ノ心に上がったが、物言いがついた。

 栃ノ心が回り込むときに右足のかかとが出たという物言いだ。スローで見ると、栃ノ心の右足が俵の上に乗って、かかとが蛇の目についたか、ついてないか、非常に微妙。栃ノ心の右足があった場所には朝乃山がダイブしており、蛇の目を確認することはできない。映像で見る限りは浮いているように見えた。

 協議は約6分間と異例の長さになった。勝負が決まった場所に近かった放駒審判(元関脇玉乃島)と湊審判(元幕内湊富士)は「かかとがついたのが見えた」と主張。他の審判は「よくわからない」。ビデオ室からは「浮いているように見える」だった。

 結局、阿武松審判長(元関脇益荒雄)は、「かかとがついた」と主張する2人の審判の意見を尊重して、朝乃山の勝ちとした。

 栃ノ心は「足は出ていない」と憮然。大関復帰はまたもお預けとなったが、相撲内容は負けていた。「こんな相撲を取った自分が悪い」と切り替えるしかないだろう。

 2敗を守った朝乃山は「相手の足が出たかどうかは、必死だったのでわからない。でも、いい形で前に出られた」と振り返った。

 結びの一番で鶴竜が敗れ、再び単独トップに立った朝乃山。14日目は大関豪栄道と組まれることになった。こういう展開になった以上、千秋楽結びの一番で、鶴竜と平幕の朝乃山を当てるしかないだろう。

文=山口亜土

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