HEAT-UPの年間最大ビッグマッチとなる8・11とどろきアリーナで秦野友貴を下して、HEAT-UP認定ユニバーサル王座を奪取してみせたマーティー・スカル。過去には新日本にも参戦し、世界中を転戦する“ザ・ヴィラン”とはいかなるレスラーなのか?(取材・戸井猛道) ――まずは、ユニバーサル王座奪取おめでとうございます。現在の心境はいかがですか?
マーティー 信じられないような最高の気分だし、心から誇りに思っているよ。オレはHEAT-UPという団体に深いリスペクトとあこがれを持っていて、このタイトルマッチに向けて人生最高のコンディションに仕上げてきたんだ。だから、そのハードワークがすべて報われたことが本当に嬉しいよ。
でも本当のことを言うと、ハードワークはここからが本番なんだ。ただ防衛戦をこなすだけのチャンピオンにはなりたくない。オレは「HEAT-UP史上最高のチャンピオン」になりたいと思っているし、それが簡単なことじゃないのも分かっている。
日本で最後にベルトを巻いてから8年が経った。オレがこれほどまでに愛と愛着を持っている国で、再び自分を「チャンピオン」と呼べることに心の底から感謝しているよ。
――世界で幅広く活躍されていますが、現在はどの国や団体で試合をしてるんですか?
マーティー ここ数年は、フリーランスのレスラーとして世界中を飛び回るのをすごく楽しんでいるよ。アメリカ、メキシコ、カナダ、ドイツ、プエルトリコ、フランス、ポルトガル、バハマ、カタール、ポーランド、サウジアラビア、バルバドス、オーストリア、デンマーク、そしてもちろん日本でも試合をしてきた。
幸運なことに、プロジェクトXレスリング、アンリミテッドレスリング、QPW、PTW、ACW、ロブレスプロモーションなど、数え上げればキリがないほど多くの素晴らしい団体に上がらせてもらっている。
毎週が新しい冒険だね。常に新しい対戦相手を前に自分の力を試せるし、まったく違う観客の前で試合ができる。よく「変化こそが人生のスパイス」って言うだろう?
――過去には新日本にも参戦されていましたが、日本との最初のつながりや、日本の印象は?
マーティー オレは日本のプロレスの大ファンとして育ったから、日本で試合をすることは常にオレの最大の夢の一つだったんだ。特にお気に入りだったのは、獣神サンダー・ライガー、グレート・ムタ、三沢光晴だね。
それから、日本にやって来るイギリスやアメリカのレスラーにも魅了されていた。初代ブラック・タイガーのマーク・ロコ、テリー・ファンク、エディ・ゲレロ、スティーブ・ウィリアムスといった選手たちさ。彼らにあこがれて、いつか自分も同じ道を歩みたいと願っていたんだ。
初めて日本に来た瞬間から、この国に恋をしたよ。世界中を旅して35もの国で試合をしてきたけど、日本のような場所は他にない。日本の文化、情熱的なファン、そしてもちろんプロレスを愛している。間違いなく、日本はオレにとって世界で一番試合をするのが好きな場所だよ。
――貴方のユニークなファイトスタイルはどのようにして生まれたのでしょうか?
マーティー オレは2004年にとてもオールドスクールなイギリスのプロレス道場でトレーニングを始めたんだ。1970年代から80年代の「ワールド・オブ・スポーツ(※イギリスの伝説的スポーツ番組)」時代のレスラーたちから教えを受けたから、オレのベースは非常にテクニカルな「キャッチ・アズ・キャッチ・キャン」のスタイル。
それがオレが最初に惚れ込んだスタイルであり、今でもオレのプロレスの背骨になっている。でも年月を重ねる中で、そこに現代的なアレンジを加え、自分が試合をしてきたあらゆる場所から影響を取り入れてきた。日本のプロレスの激しさや闘魂、アメリカンプロレスの心理戦やショーマンシップ、メキシコのルチャリブレもそうだね。
トップになりたいなら、プロレスのあらゆるスタイルを理解する必要があると思っている。オレは自分ならそのすべてができると本気で信じているし、だからこそ、世界中を探してもオレのようなレスラーは他にいないと言い切れるんだ。このスタイルはオレだけのオリジナルであり、すごく誇りに思っているよ。
――最初のHEAT-UPとの接点はどこだったんですか?
マーティー 数年前、レスラーのレッド・イーグルが運営しているポルトガルの団体「CTW」で試合をしたんだ。その大会にTAMURA☆GENE☆選手も出ていて、すぐに意気投合して友達になった。その後、彼からHEAT-UPに参戦しないかと日本に誘われたのが、この団体との関係の始まりだね。
HEAT-UPのプロ意識や仕事に取り組む姿勢にはとても感銘を受けたけど、それ以上に、関わっている全員の間に連帯感や絆があることに心を打たれたよ。彼らは信じられないほど熱心で、ファンと一緒に一つの本物のコミュニティのようなものを築き上げている。
HEAT-UPに来るたびに、いつも本当に良くしてもらえるし、多大なリスペクトを示してくれる。愛とハートにあふれた素晴らしい団体だから、もしこれを読んでいてまだHEAT-UPを観たことがない人がいたら、ぜひ一度自分の目で確かめにきてほしいね。
――秦野選手とのタイトルマッチを振り返ってみて、いかがでしたか?
マーティー あのときはアメリカから約20時間の長旅を経て、タイトルマッチ前日の夜に日本へ到着したから、当然ひどい時差ボケだった。疲労が試合に影響するんじゃないかと少し不安だったよ(苦笑)。
でも幸運なことに、この試合に向けてかなりハードなトレーニングを積んできたから、肉体的な準備ができていることは分かっていた。それ以上に重要だったのは、「どれだけ疲れていようと、絶対にHEAT-UPユニバーサル王者としてリングを降りるんだ」と自分自身に強く言い聞かせていたことだ。
オレにとってそれこそがファイティング・スピリットなんだよ。逆境を押し除け、肉体的な限界よりも、勝利への精神的な渇望を勝らせること。秦野にはすごく驚かされたよ。オレのクロスフェイス・チキンウィングから何度も抜け出したし、フィニッシュのパイルドライバーまでキックアウトしてきたんだから。
最後は、長いこと封印していた「スカル・ドライバー」を引っ張り出して、やっとの思いで彼を倒すことができた。秦野は素晴らしいチャンピオンだった。彼の未来はとても明るいと確信しているよ。
――HEAT-UPが今後さらに飛躍するためには、何が必要だと思いますか?
マーティー HEAT-UPは間違いなく勢いに乗っているし、チャンピオンとして、オレがこの団体をさらに高い場所へ引き上げる手助けができると信じている。将来的には、HEAT-UPが日本中でより多くのツアーを行い、全国のファンにこの団体を知ってもらいたいね。
そしてチャンピオンとして、HEAT-UPの名前を国際的にも広めていくつもりだ。オレが行くところなら世界中どこへでも、このベルトを一緒に連れて行くよ。すでに北米やヨーロッパのレスラーたちからHEAT-UPについて聞かれているし、「ぜひあそこで試合をしてみたい」と言われているんだ。
だから、どうなるか分からないよ? いつかオレの友達を何人か連れてくるかもしれない(ニヤリ)。
――最後に、ファンへのメッセージをお願いします。
マーティー まず何よりも、日本のファンが世界最高のプロレスファンであることに感謝を伝えたい。オレのことを決して忘れず、いつも最大のリスペクトで接してくれてありがとう。そして、日本に戻るたびに信じられないほどの優しさと温かさを見せてくれて、本当にありがとう。
オレがここで試合をするときはいつでも、自分のすべてを捧げて最高のショーを見せることを約束するよ。“ザ・ヴィラン”にしかできない最高のショーをね! でも、ファンの存在なしではオレのやっていることは何一つ成り立たない。だから、この旅をオレと一緒に歩み続けてくれてありがとう。
またこうして継続的に日本で試合ができるようになって、ものすごく興奮しているよ。これからの数カ月、数年と、さらに多くの日本のファンに会えるのが楽しみで仕方がない。
これからもプロレスリングHEAT-UPの応援をよろしく。近いうちにまたみんなに会えるのを願っているよ。ヴィラン万歳!