夏場所は序盤の5日間を終えて、勝ちっぱなしは鶴竜、栃ノ心、朝乃山の3人。1敗で平幕力士4人が追走する展開となった。
※写真上=71秒の熱戦を制し、栃ノ心が逸ノ城を降し6戦全勝で突っ走った
写真:月刊相撲
6日目は朝乃山が初黒星を喫し、大関復帰を目指す栃ノ心は逸ノ城と対戦。この2人は右の相四つで、いつもがっぷり四つに組み合い長い相撲となるが、この日も同様の展開となった。
「最初から中に入りたかった」と言う栃ノ心だが、右四つで胸が合う形となっての力比べ。途中、栃ノ心が右から振って崩し、左を差し込んでモロ差しとなるが、すぐに逸ノ城が巻き替えて、再び右四つがっぷり。
しかし、先に逸ノ城のスタミナが切れ始め、引き付けが弱くなったところを、栃ノ心は徐々に体勢を低くし、最後は相手の胸に頭をつける形で227キロを寄り切り、無傷の6連勝。71秒の熱戦だった。
風呂から上がった栃ノ心は、「あー、疲れた。腕がパンパンだよ」と言いながらも、「気分はいいね」と終始笑顔。大関復帰まであと4勝として、自信も戻ってきたようだ。初日から6連勝は大関昇進を決めた昨年夏場所以来となる。
先場所、カド番で千秋楽に負け越して大関陥落となったが、弱くなって負けたわけではない。初場所直前に太モモを痛めて、出場したものの途中休場。春場所はほとんど稽古ができない状態で臨んで7勝8敗だった。
春巡業では師匠(元関脇栃乃和歌の春日野)が巡業部長ということもあり、連日激しい稽古をこなした。稽古ができるまで回復していれば、優勝を争える存在だ。
大関陣は新大関貴景勝が休場し、豪栄道、髙安も3敗目を喫した。今場所の優勝争いは、結びで全勝を守った鶴竜と栃ノ心のマッチレースの様相。引き技が目立ってきた鶴竜よりも、栃ノ心のほうが相撲内容がいい。合い口の悪い白鵬、貴景勝が休場なのも好材料だ。大関から陥落した場所で優勝すれば、史上初の快挙となる。
文=山口亜土
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