close

2019-03-21

相撲編集部が選ぶ春場所12日目の一番 豪栄道(叩き込み)貴景勝

結びの一番が終わっても、今日の一番をどれにしようか迷った12日目。白鵬が全勝を守り、逸ノ城も1敗をキープした。2敗同士の生き残りを懸けた対戦は、髙安が鶴竜を破った。迷ったが、大関取りの懸かる貴景勝を取り上げることにした。

※写真上=大関取りを意識し固くなったのか、貴景勝は豪栄道の叩きに両手をつき連敗
写真:月刊相撲

 対戦相手の豪栄道には、先場所の千秋楽、一方的に押し出されて敗れている。もし、この相撲に貴景勝が勝っていたら、大関に昇進していただけに、雪辱したいところ。

 しかし、貴景勝は緊張と重圧のためか、立ち合いにいつもの力強さがなく、押し込まれての叩きにバッタリと落ちた。これで4敗目。大関昇進には最低でもあと2番はほしい。

 勝った豪栄道は、「当たり負けしないようにと思っていた。立ち合いがよかった」と振り返った。貴景勝については、「毎場所、力をつけてきている」と語る。

 昨年、豪栄道は貴景勝に2敗を喫しているが、いずれも右を差しにいったところを左から突き落とされている。今後も豪栄道が安易に右を差すことはないだろう。

 豪栄道にとって貴景勝は埼玉栄高の10年後輩に当たる。歳の離れた後輩がかわいくないことはないだろうが、自身も大関昇進には苦労した。関脇を連続14場所経験しての大関昇進だった。貴景勝に「もっと苦労しろ」という愛のムチだ。

 上位陣に貴景勝の相撲を覚えられても、勝てるだけの地力を身につけたとき、大関に昇進できるのだろう。それが今場所になるのか、数場所後になるのか。残り3日の相撲に掛かっている。

文=山口亜土

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事