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2019-03-12

相撲編集部が選ぶ 春場所3日目の一番

※写真上=御嶽海の術中にはまり、思わず引いてしまった貴景勝が初黒星を喫した
写真:月刊相撲

御嶽海(寄り切り)貴景勝

 貴景勝の大関取りが注目されている中、ライバル意識を燃やしているのが4歳年上の御嶽海だ。昨年の名古屋場所で優勝し、大関が目前に迫っていただけに、先を越されたくない気持ちは強いだろう。

 先場所は左ヒザを痛めて途中休場しながら再出場して8勝。3横綱を破る殊勲で、史上初となる休場して三賞(殊勲賞)を獲得した。今場所前は左ヒザ負傷の影響で、ほとんど稽古ができなかったが、初日に鶴竜を破り地力の高さを見せている。

 貴景勝には対戦成績で大きく勝ち越し4連勝中。御嶽海はとにかく突き押し相撲に強い。突っ張りを下からあてがって半減させる技術に優れている。そして、腰を寄せて密着するのがうまい。

 この日も貴景勝の突き放しに下がらず、下からあてがって右を差すと左はハズにかけて押し上げる。こうなると貴景勝は引くしかない。御嶽海は難なくついていって左を差してモロ差しの体勢で寄り切った。

「イメージどおり。相手に引かせることだけ考えていた」と御嶽海。貴景勝はまんまと術中にはまってしまった。

 初黒星を喫した貴景勝だが、落ち込んだ様子は見られない。「3連勝とか4連勝とか、そんなにうまくいくとは思っていない」とこれまでどおり淡々。「体の感覚にまかせて相撲を取って、それが通用しなかった。気持ちを切り替えて、明日以降やっていくだけです」と前を向いた。

文=山口亜土

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