
※写真上=優勝の懸かる一番で遠藤を突き落とし、初優勝を決めた玉鷲
写真:月刊相撲
幕内の優勝争いは玉鷲と貴景勝の2人に絞られ、玉鷲が1差リードで千秋楽を迎えた。貴景勝よりも先に取組がある玉鷲の対戦相手は遠藤。過去の対戦は9勝6敗で玉鷲がリードし、最近は連勝中だ。玉鷲が勝つか、負けても貴景勝が豪栄道に敗れれば、玉鷲の初優勝が決まる。
前日の碧山戦は、「頭の中が真っ白になった」と緊張していたが、この日も同様に硬くなっているのが見て取れた。立ち合いで半歩遅れて当たった玉鷲は、低い体勢で突っ込む遠藤を下から突き上げ、左から突き落とすと遠藤はバッタリと落ちた。
この瞬間、玉鷲の初優勝が決定。34歳2カ月での初優勝は、旭天鵬(現友綱親方)の37歳8カ月に次ぐ歴代2位の年長記録。片男波部屋からの優勝は、昭和46年7月場所の玉の海以来48年ぶりの快挙となった。
今場所の玉鷲は序盤で貴景勝、御嶽海に敗れたが、それ以外ほぼ自分の形、相手に差させない押し相撲の形を貫いた。玉鷲が十両に上がったころの11年前、将来的に廻しを取る相撲に変えることはないのか? と聞いたことがある。当時、モンゴル出身の力士は四つ相撲がほとんどだったからだが、「自分はモンゴル相撲の経験もないし、これ(突き押し)しか教えてもらっていない。廻し取っても何もできないですよ。これからも、突き押しを磨いていきます」という返事だった。
入門から15年、突き押し一筋に鍛錬し、ついにつかんだ天皇賜盃。恒例の土俵下インタビューでは、白鵬や鶴竜のように流暢にはしゃべれなかったが、人柄がにじみ出るほのぼのとしたものだった。
文=山口亜土
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