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2026-09-10

【アメフト】富士通の新兵器TEバーカー3TDの活躍、謙虚だが謙遜はせず Xプレミア

【富士通 vs IBM】第4Q残り3分、富士通TEバーカーが、この日3本目のTDパスレシーブ、IBMを突き放す=撮影;小座野容斉撮影

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アメリカンフットボールの国内最高峰「Xプレミア」第5節で、富士通フロンティアーズ対IBM ビッグブルーの一戦があった。IBMが食らいつき、中盤までは接戦となったが、終わってみれば富士通がダブルスコアの勝利を収めた。勝利の立役者となり、ゲームMVPに輝いたのが、富士通に今季加入したTE#0 ダニエル・バーカーだった。  


富士通フロンティアーズ ○41-19● IBMビッグブルー
8月30日@青葉の森陸上競技場(千葉市)

要所でことごとく決めたビッグプレー

第1Q、IBMは富士通のオフェンスを3シリーズ連続で無得点に抑える、このカードでは近年にない緊迫した展開。そして、パントブロックから先制TD(タッチダウン)を奪った。富士通も第2Qに、QB#18 高木翼のキープでTDを決め同点とした。

7-7の同点で迎えた第2Q残り1分53秒、自陣35ヤードからの富士通の攻撃で一気に試合が動く。QB高木からのロングパスを捕球したバーカーがそのまま駆け抜け、65ヤードのTD。わずか数秒のビッグプレーで、富士通が14-7とリードを奪った。IBMも第2Q残り5秒でK福岡勇斗がFG(フィールドゴール)を決め、富士通14-10で、後半へ折り返した。 
【富士通 vs IBM】第2Q、富士通QB高木が、TEバーカーに1本目のTDパスを決める=撮影:小座野容斉撮影

第3Q、IBMのK福岡が再びFGを決めて14-13と1点差に詰め寄った。しかし、この傾きかけたモメンタムをバーカーが力で引き戻した。直後の残り7分24秒からの富士通のオフェンスシリーズ、2ndダウン6ヤードの場面で、再び高木からの43ヤードパスを見事にキャッチ。この日2本目のTDとして、21-13とIBMを再び突き放した。  
【富士通 vs IBM】第3Q、TEバーカーがパスをキャッチして2本目のTD=撮影:小座野容斉撮影

富士通がリードを15点に広げた第4Q終盤に、みたび見せ場が訪れた。富士通は敵陣32ヤードまで攻め込み、試合残り時間3分38秒、4thダウン残り2ヤードの局面となった。FGを決めれば3ポゼッション差となり、試合はほぼ決まる。しかし初開催の競技場で、名手のK納所幸司といえども、50ヤード近い距離は難しい。富士通はギャンブルを選択した。

この緊迫した場面で、QB高木がターゲットに選んだのはやはりTEバーカーだった。見事に32ヤードのTDパスをレシーブしたバーカー、自身3本目のTDで勝負は決まった。

バーカーはこの日、パスレシーブ5回、計145ヤード(平均29.0ヤード)はチームトップ。要所でことごとくビッグプレーを決め、中盤までの息詰まる攻防を最終的にダブルスコアでの快勝へと導いた。その圧倒的なパフォーマンスは、まさにMVPにふさわしい活躍だった。
【富士通 vs IBM】大型でスピードがあり、歩幅も大きいTEバーカーはIBMのDB陣を苦しめた=撮影:小座野容斉撮影


強豪集うBig10 のイリノイ大、ミシガン州立大でプレー

バーカーは1999年9月23日生まれで間もなく27歳になる。フロリダ州出身で、カレッジフットボール屈指の強豪カンファレンスBig10のイリノイ大学で4シーズンプレー。イリノイ大を卒業後、1シーズンプレー資格が残っていたので、同じBig10のミシガン州立大に転校し1年プレーした。計5シーズンでパスレシーブ1066ヤード、13TDという実績を持つ。特にブレークしたシーズンはないが、毎年コンスタントに200ヤード以上を記録したシュアなプレーヤーだ。

チーム合流が遅かったため、第4節まではなかなか活躍ができなかったが、サマーブレークを経て、その能力が開花しつつある。

身長194センチ、体重112キロ。40ヤード4秒75は、米国ではTEとしても、むしろ遅い部類だが、日本なら十分に速い。スピードだけでなく、長いストライドでパスカバーを外す。デビュー戦となった5月のパナソニック インパルス戦ではマンツーマンのDBジョシュア・コックスを振り切ってTDパスとしている。
【富士通 vs IBM】3TDパスレシーブでゲームMVPに選出、おどけて見せる富士通♯0 TEバーカー=撮影:小座野容斉撮影

サマーブレークを経て才能が開花

バーカーは、この試合では、パスプロテクションをするだけでなく、HBの位置からランのブロッカーを務める場面もあった。IBMのDEマックス・パーキンソンとマッチアップする場面もしばしば見られた。パーキンソンは、試合序盤からQB高木に強いプレッシャーをかけ続けただけに、富士通サイドラインのバーカーのブロック力への信頼が見て取れた。一方で、バーカーがダウンフィールドに走りこむと、サイズとスピードのミスマッチで、IBMディフェンスがカバーしきれないプレーが多々あった。

富士通の山本洋HCは「バーカーは、ワイドでも、ボックス内に入れても、両方プレーできる。IBMディフェンスがバーカーをボックス内でTEのポジションに入れると、カバー3になるというのがゲームの中で分かった。そうすればあの縦が投げやすくなるので、そこはちょっと戦略、戦術的に変えた」という。
【富士通 vs IBM】ブロッカーとしてIBMのDEパーキンソンに立ち向かう富士通TEバーカー=撮影;小座野容斉撮影


QB高木は、バーカーをロングパスで使う準備が、この試合ではできていたという。

「やっぱり春、合流が遅れて。なかなか練習できなくて。そこのところが、やっぱり夏の期間も経て、よくコミュニケーションも取れたので。ただこっちでのスタンダード、ベーシックみたいなもののすり合わせには時間はかかっていました」

ボックス内でHBとしてブロッカー的な使い方が多いことに対しては

「やっぱりラン出さないと勝てないんで、今、僕らは多分、春の4試合終わった時点でラッシングヤードが相当下位なんですよ。それではチャンピオンシップは絶対取れない」


「どうやってランの脅威を与え続けるかというのがやっぱりテーマ。そうじゃないと 4メンラッシュで7メンドロップなり 3メンラッシュ8メンドロップとなって、やっぱり引かれて(パス中心で)守られる。そうなると、何かしらの事故(ターンオーバー)が絶対に起きる」

「TEをあそこで使った上で、いろんなところに展開していくのは一つの課題としてある」と話す。

高木は、TEバーカーの潜在能力を十分に認めたうえで「なんというのか、まだ彼の『トリセツ』は完成していないです。それが完成したら、もっとすごいことになると思います」と締めくくった。

チームメイトの信頼を勝ち取り続けたい
【富士通 vs IBM】3TDパスレシーブでゲームMVPに選出、チームメイトから祝福される富士通♯0 TEバーカー=撮影:小座野容斉撮影


試合後、バーカーに話を聞いた。3TDの活躍は謙虚に振り返ったが、自身の能力については決して謙遜するところなく、終始誇らしげだった。

ーー野球でいえば、1試合3ホーマーのような素晴らしい大活躍でした。

まず、私の主であり救い主であるイエス・キリストに感謝したいのです。あのスピードを発揮できる能力を与えてくださったことに対してです。

私は、自分のストライドが長いこと、そしてフィールドを広く使えることを自覚しています。私がいつも自分を誇りに思っているのは、まさにフィールドを広く使い、いつでもビッグプレーが生まれる状態を保つことなのです。つまり、ボールが私の手にあるときはいつでも、そういう感じなのです。

私はいつも、ビッグプレーを仕掛けるタイプでした。走るたびに、長いヤード数を平均的に稼いでいます。それが、私が得意なことなのです。

得意なのは、フィールドをスプレッドしていくことだから、それを続けていきたいし、これからもただ、チームメイトの信頼を勝ち取り続けたいのです。

ーーあなたは素晴らしいスピードで、ワイドアウトもプレーできると思います。

私は、自分でも多才だと思います。いわゆるハイブリッドTEの1人です。つまり、私はレシーバーもこなせます。私は(オフシーズンになって)家に帰ったり休暇があるときは、いつもレシーバーとしてトレーニングしていることを誇りに思っています。

ですから、それは僕にとって自然なことなのです。でも、自分の能力については、ただ神様に感謝しています。

ーー日本に来る前に、日本のフットボールについて何か知っていましたか?

知りませんでした。日本に来る前にちょっと調べてはいたのですが。まだ毎日、少しずつ理解していっているところです。皆さんには本当に感謝しています。日本の人たちが僕を受け入れてくれて、この文化に馴染ませてくれていることに感謝しています。

ーー日本のフットボールスタンダードについて、どのように考えますか?

つまり、私にとっては、(アメリカも日本もなく)ただ…ただ、フットボールそのものなのです。つまり、私はただフィールドに出て自分の仕事をこなし、求められたことをやり、最終的には結果を出し続けるだけなのです。

ーーあなたは、(引退したRBの)ニクソン選手に代わる、ポイントゲッターになる可能性がありますが。

はい、つまり、それは、それは、(自分のことではなく)やっぱりチーム全体のことなのです。わかりますよね。他にも、サマジー(・グラント)のような仲間がいますし。

今日はたまたま私の出番だっただけかもしれない。だから、ただ求められたことをやっていただけです。誰が(プレーを)決めようが、決まればそれでいい。でも、今日は私でした。だから、そのことについては、神様に感謝しています。

もちろん、まだまだ私には、プレーはありますよ。私は、フィールドに立つたびに、ビッグプレーを決めることを誇りに思っています。まだまだ、これからもたくさん(ビッグプレーが)ありますよ。

【小座野容斉】

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