close

2026-09-11

【アメフト】IBM切り札ホーンの2ポイントを、気迫のハードヒットで防いだ富士通DB林

【富士通 vs IBM】IBMの切り札ホーンの2ポイントコンバージョンを、気迫のハードヒットで防いだ富士通♯29 DB林=撮影:小座野容斉

全ての画像を見る

一つのプレーが、試合の流れを変える。どんなスポーツにもそういう場面はある。アメリカンフットボールの国内最高峰「Xリーグ プレミア」第5節で、8月30日にあった富士通フロンティアーズ対IBM ビッグブルーの一戦で、まさにそういうプレーに遭遇した。

富士通フロンティアーズ ○41-19● IBMビッグブルー
8月30日@青葉の森陸上競技場(千葉市)


ゲームMVPは、富士通TEダニエル・バーカーだった。 65ヤード、43ヤード、32ヤードの3TDレシーブで、文句なしの活躍だった。だが、勝負のターニングポイントは別にあった。それは、あるディフェンス選手のハードヒットだった。

191センチ101キロを食い止めた
【富士通 vs IBM】第3Q8分57秒、IBMのQB #2 政本悠紀から切り札のWR #17 リース・ホーンへ7ヤードのTDパスが決まる=撮影:小座野容斉


第3Qの8分57秒、IBMはQB #2 政本悠紀から切り札のWR #17 リース・ホーンへ7ヤードのTDパスが決まった。

WRホーンは、33歳のベテラン。NCAAディビジョン2(上から3番目のカテゴリー)のインディアナポリス大で活躍し、NFLではタイタンズ、ドルフィンズ、ベンガルズでサマーキャンプに参加。しかし生き残れなかった。その後、欧州の各チームを渡り歩き、79試合5881ヤード75TDという実績と経験は貴重だ。この試合でも、マンツーマンカバーの富士通DBに競り勝って、レシーブを重ねていた。

スコアはIBMの19-21。エクストラポイントでは、IBMは当然2ポイントコンバージョンをチョイスした。QB政本、ここまでレシーブ144ヤード、2TDと獅子奮迅のホーンを狙うのは明らかだった。

政本は左サイドに展開したホーンへ短いパス、ホーンがエンドゾーン左隅めがけて走った。同点か。その時インサイドから、富士通の選手が矢のように走り、ゴールライン直前でホーンに渾身の一撃を見舞った。191センチ101キロのホーンを食い止め、ホーンは膝から崩れるようにサイドラインを割った。

政本とホーンのホットラインに苦しめられてきた富士通が正念場を守り切ったのだった。大型のホーンを一発で止めたハードヒットは、LBかと思ったが、♯29のDB林奎佑だった。




林の気迫が呼びこんだ木村和喜のリターンTD

何度リードしても、この日のIBMは食らいついてきた。その執念を、気迫で止めたプレーに、富士通の選手たちは盛り上がった。直後のキックオフ。最深部にいたリターナーの木村和喜に、林の気迫が乗り移っていると感じた。「ビッグプレーになる」。その予感通り、木村は素晴らしいスピードと、躊躇ないコース取りで、IBMのキックカバーを切り裂いた。

99ヤードのリターンTD。K納所のエクストラポイントも決まり、28-19。富士通は、この試合で始めて、IBMに2ポゼッション差をつけたのだった。

【富士通 vs IBM】IBMの2ポイントコンバージョンを防いだ直後、富士通の木村和喜がキックオフリターンTD。後方には山本洋HCの姿も=撮影:小座野容斉

ハードヒットを食らったWRホーンは、傷んだのか、この後スタッツがない。IBMはこの後得点できず、富士通はRB三宅昂輝のパスレシーブTD、さらにTEバーカーの3本目のTDで試合を決めた。

林のハードヒットが、試合の流れを大きく変えたのだった。

林は28歳。兄の雄太さんは、日大からアサヒビール(当時)シルバースターに進んだ、186センチ98キロの大型WR。世界選手権の日本代表としても活躍した。弟の奎佑は、立命館大から富士通に入社、182センチと、兄ほど身長はないがLB並みのフィジカルを持つDBとして活躍してきた。2023、24年には、Ivyリーグ選抜と対戦した日本選抜チームにも選ばれている。

「あれが僕の強み。もう、何の恐れもなく突っ込んだ」

試合後に、林に話を聞いた。

ーーあれはどういう気持ちで止めに行きましたか。

どのプレーですか?ツーポイントですか。

ーーツーポイント。

いや、あれは、マンツー(マンカバー)のサインで、で、自分がマンツーしてる人はもう完璧にカバーできていたので。で、それでQBの政本さんが球持ってるの見えたので、で、逆サイドから♯17が来ているのが見えたので。もう彼がMOM(=Man Of the Match)なんで、絶対この選手に投げるわと思って。で、もう自分のマンツーは外して、縦で思いっきり、もう向こう側(サイドライン側)に倒すつもりで突っ込んだんですけど、めっちゃ重かったです。

ーー日本人が、体の大きい外国人にヒットで勝つというのは、なかなかない。

味方の選手がほかにも(フォローで)来てくれていたので。

【富士通 vs IBM】IBMの切り札ホーンの2ポイントコンバージョンを、気迫のハードヒットで防いだ富士通♯29 DB林=撮影:小座野容斉

ーーあのプレーでね、富士通の選手みんなに気合いが入った。で、木村和喜君のリターンタッチダウンを呼びこんだと思いました。

ありがとうございます。ありがとうございます。そう言っていただいて。

ーーゲームMVPのTEバーカーはホームラン3本みたいな感じだけど。

そうですね

ーー林選手のクロスプレーで勝負が決まった。

強く当たることだけを考えたし、もう向こう側に倒すことだけ。あれが僕の強みだと思っているので、もう、何の恐れもなく突っ込んでいきました。

ーー今、何キロですか

体重は以前より増えて、今95キロぐらいあります。

ーー95キロですか。

元々ニッケルなんで、今はチーム事情でCBもやっているんですけど。

ーー95キロでコーナーバックなんですね。わかりました。勝利おめでとうございました。

ありがとうございました。

ーー次もナイスヒット期待します。

ありがとうございます。頑張ります。

【富士通 vs IBM】ゲームMVPの富士通♯0 TEバーカーを祝福する♯29 DB林=撮影:小座野容斉

    ◇

Xリーグ、特にプレミアを取材していると、どうしても外国人選手の話が多くなる。能力の高い選手が多いし、必然的に活躍することが多いからだ。選手の国籍を意識することはないし、それに寂しさを感じることはない。とはいえ、それでも、日本の選手が、技や駆け引きではなく、真っ向勝負で外国人選手を倒すのを見ると、嬉しくなる。そしてそれが、ゲームを左右する場面であれば余計にそう感じる。

この日の林のプレーがまさにそれだった。

【小座野容斉】

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事



RELATED関連する記事