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2019-01-18

相撲編集部が選ぶ 初場所6日目の一番

※写真上=「いつもより気合が入っていた」という玉鷲が、逸ノ城を押し出した
写真:月刊相撲

玉鷲(押し出し)逸ノ城

 この日、3敗を喫していた横綱鶴竜が休場。上位陣では一番いい相撲を取っていた御嶽海が初黒星を喫し、左ヒザを痛めて車イスで退場と気持ちも沈む。特にすごい熱戦もなく、今日の一番にどれを選ぶのか悩んだが、気迫あふれる相撲で逸ノ城を降した玉鷲を取り上げることにした。

 玉鷲は逸ノ城に対戦成績で5勝6敗と1つ負け越している。五分にしたいと燃えていたのか、玉鷲は仕切りから気合十分。同じモンゴル出身で玉鷲が9歳年上。決して仲が悪いわけではないが、「今日はなぜかいつもより気合が入っていた」と鼻息が荒い。

 軍配が返り、逸ノ城は右を差しにいくが、玉鷲は左からおっつけて許さず、顔面を突っ張って突き起こして前進。「逸ノ城の胸や腹を押しても、手が肉の中にめり込んで力が伝わらないんだ。だからアゴのあたりをピンポイントで狙って突っ張った」と玉鷲は語る。

 逸ノ城はマンガ『北斗の拳』に登場する敵役のハート様のような体質なのだろう。玉鷲は土俵際に追い詰めると、逸ノ城の廻しの上からグイと押して押し出した。この場所なら肉に埋もれることはない。

「最後はしっかり腰も降りていたし、完璧だったね」と、2横綱2大関を破っているモンゴルの後輩を降して上機嫌。4勝2敗と白星を先行させ、中盤以降の土俵が楽しみになった。

文=山口亜土

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